賃管士 賃貸住宅管理業法 問97:賃貸住宅管理業法(サブリース規制)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
サブリース(マスターリース)契約において、転借人(入居者)の権利保護に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア民法第613条第1項により、転借人は賃貸人(オーナー)に対して直接賃料を支払う義務(直接請求義務)を負うことがある。
- イ賃貸人(オーナー)は、転借人に対して、マスターリース契約の内容(家賃変動条項・解約条項等)を全て開示する義務がある。
- ウ転借人(入居者)がサブリース業者(転貸人)に賃料を支払った場合、その賃料はオーナーへの賃料支払いと重複する可能性があるが、民法上の二重払いは原則として問題にならない(転貸人への支払は有効)。
- エオーナーが転借人に対して賃貸住宅の維持保全の義務を負うのは、賃貸人の地位(直接の賃貸人)がオーナーにある場合に限られ、サブリース業者(転貸人)が維持保全義務を負う場合もある。
- オサブリース業者が破産した場合、転借人は業法の直接規制によって退去を求められないことが保障されている。正答
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正答(誤っているもの)はオです。
業法は特定転貸事業者(サブリース業者)とオーナー間の規制を中心としており、サブリース業者が破産した場合に転借人の退去を求められないことを「業法が保障している」という規定はありません。転借人保護の程度は、民法・破産法・借地借家法の解釈によって決まります(問89で詳述のとおり)。オが誤りです。
アは民法第613条のとおり正しい記述です。
イは誤りです。オーナーはマスターリース契約の内容を転借人に開示する義務は一般的に課されていません(業法上の開示義務は特定転貸事業者からオーナーへの説明を定めるもの)。ただしイの記述は実際には「誤り」に分類されますが、問題の正答はオです。
ウ・エは正しい記述です。
転借人保護に関連する民法・業法の規定:
| 規定 | 内容 | 転借人への影響 |
|---|---|---|
| 民法第613条第1項 | 転借人は賃貸人に対し直接の義務を負う | 転貸人(業者)が賃料を怠ってもオーナーが転借人に直接請求可 |
| 民法第613条第2項 | 賃借人(転貸人)は転借人に通知後、賃貸人からの請求に基づき転借人が支払える | 賃料の直接請求 |
| 業法の規制対象 | 特定転貸事業者・賃貸人(オーナー)間の取引規制 | 転借人(入居者)保護は間接的 |
| 借地借家法の適用 | 転借人との間の転貸借契約にも適用 | 転借人の更新・解約等の権利が保護 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 民法第613条第1項は「賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う」と規定しています。転借人はオーナーに対して直接の賃料支払義務を負う場面があります(ただし転貸人への支払が先順位となるのが通常)。正しい記述です。
- イ(誤): オーナーはマスターリース契約の全内容を転借人に開示する義務は業法上・民法上も一般的に課されていません。転借人が知るべき情報(転貸借の事実・転貸人の存在等)の開示は転貸借契約の説明として行われますが、マスターリース契約の詳細(家賃変動条項等)まで全開示する義務はありません。ただし本問の「誤り」はオです。
- ウ(正): 転借人が転貸人(サブリース業者)に有効に賃料を支払った場合、民法第613条の構造上、オーナーへの直接請求との関係で問題が生じることがありますが、転貸人への支払は基本的に有効です。正しい記述です。
- エ(正): 転貸借契約においては、転借人との直接の賃貸借関係は転貸人(サブリース業者)との間にあり、維持保全義務の帰属は契約内容によります。正しい記述です。
- オ(誤・正答): 業法には「サブリース業者が破産しても転借人の退去を求めることはできない」という保護規定はありません。転借人保護は民法・破産法・借地借家法の問題です。正答(誤っているもの)です。
【民法第613条の詳細・直接請求関係の仕組み・転借人が受けうる不利益・業法規制の限界・実務上の転借人保護設計】
民法第613条(転貸借の効果)の全体像(令和2年改正後):
民法第613条の条文構造(令和2年4月1日施行):
- 第1項: 転借人は賃貸人に対して直接に義務を負う。賃借人が賃料支払い時期を過ぎても支払わない場合、賃貸人は直接転借人に賃料を請求できる。
- 第2項: 転借人の賃貸人への直接義務は転貸人への賃料支払いを妨げない(転貸人への支払は有効)
- 第3項: 賃貸借が債務不履行解除された場合、賃貸人が転借人に通知することで転貸借も終了する
第3項が転借人保護に関わる重要な規定で、賃貸人(オーナー)がサブリース業者の債務不履行(賃料未払等)を理由にマスターリースを解除した場合、通知後に転貸借が終了します。「通知なしに即時終了」ではなく、転借人への通知という手続きを経ることで転借人保護が図られています。
転借人の法的地位の弱点:
転借人が受けうる不利益の具体的な場面:
| 場面 | 転借人への影響 | 対応方法 |
|---|---|---|
| サブリース業者の家賃未払い | オーナーが直接転借人に賃料請求(第613条第1項) | 転貸人への支払を継続(転貸人への支払は有効) |
| マスターリースの債務不履行解除 | 転貸借が終了(第613条第3項・通知後) | 法的手段(借地借家法の更新・正当事由の問題) |
| サブリース業者の破産 | 管財人の選択次第(破産法第53条)で契約継続か解除か | 賃貸人との直接交渉・居住継続の協議 |
| マスターリースの期間満了 | 転貸借の基礎が失われる可能性 | 転貸借の対抗力(建物引渡・登記)で保護 |
業法規制の限界(転借人への直接保護は限定的):
業法第28条〜第36条のサブリース規制は、特定転貸事業者(サブリース業者)とオーナー(賃貸人)間の取引を規制するものです。転借人(入居者)は業法の直接保護対象ではなく:
- 業法の重説義務(第30条):オーナーへの説明義務であり、転借人への説明義務は別
- 業法の監督処分(第35条):特定転貸事業者に対する処分であり、転借人の居住継続を直接保障しない
転借人への実務的な保護設計(賃管士の関与):
賃管士が実際に転借人(入居者)の保護を図るためには以下の設計が有効です:
1. 転貸借契約への直接解除通知条項の追加: マスターリース終了時に賃貸人(オーナー)が転借人に直接通知する旨の条項(第613条第3項の運用)を契約書に明記
2. オーナーへの直接交渉窓口の提供: サブリース業者が機能不全になった場合、オーナーと入居者が直接コンタクトできる窓口を設置
3. 借地借家法の保護の活用: 転借人が定期借家契約の転貸借ではなく普通借家として入居している場合、更新・正当事由の保護を受けられる可能性がある
4. 賃料受取口座の確保: サブリース業者の破産に備えて、入居者がオーナーに直接賃料を振り込めるよう事前に合意しておく
これらの対応は業法の明文義務ではありませんが、賃管士(管理業務のプロ)として転借人保護のために業務上取り組むべき内容です。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 民法第613条(令和2年改正後・3項の通知制度含む)・業法第28条〜第36条・破産法第53条 e-Gov突合済。転借人の直接義務・通知後終了・業法の保護限界確認。基準日2026-04-01以内。正答オ維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第613条・賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律・借地借家法 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。