賃管士 賃貸住宅管理業法 問99:賃貸住宅管理業法(サブリース規制)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
定期建物賃貸借(定期借家)形式で締結されたサブリース契約(特定賃貸借契約)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア特定賃貸借契約を定期建物賃貸借(借地借家法第38条)の形式で締結することは法律上可能であり、この場合は更新されない旨を書面で説明する事前説明書面の交付が必要となる。
- イ定期借家形式のマスターリース契約では、借地借家法第38条第1項に基づく書面を作成しなければ、普通建物賃貸借として扱われ更新が生じる。
- ウ定期借家形式のマスターリース契約において「不増額特約」を設けた場合、特定転貸事業者からの家賃増額請求は有効に封じられる一方、不減額特約も同様に有効に設けられる。正答
- エ定期借家形式のサブリース契約が期間満了で終了した場合、特定転貸事業者が同一物件で再度サブリース契約を締結することは可能である(再契約型定期借家として活用可能)。
- オ定期借家のサブリース契約では、期間(例えば5年)を定めた後は原則として更新がなく、オーナーとサブリース業者は期間満了に向けた計画的な対応が可能である。
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正答(誤っているもの)はウです。
定期借家(借地借家法第38条)において「不増額特約」は有効ですが、「不減額特約」は借地借家法第32条第1項の強行規定に反するため無効です(最判H15.10.21)。「不増額と同様に有効に設けられる」という記述が誤りです。
ア・イは定期借家の要件(事前説明書面・書面による契約)について正しい記述です。
エは定期借家の「再契約型」活用として正しく、サブリース実務でも利用されます。
オは定期借家の更新なし(原則)という特徴を正確に説明しており正しい記述です。
定期借家形式のサブリース契約の特徴と制約:
| 事項 | 定期借家(第38条)| 普通借家(第26条〜)|
|---|---|---|
| 更新の有無 | 更新なし(原則)。期間満了で終了 | 法定更新あり(正当事由なければ更新) |
| 成立要件 | 書面(または電磁的記録)による契約・事前説明書面の交付必要 | 書面不要(口頭でも成立) |
| 不増額特約 | 有効(第32条1項但書) | 有効 |
| 不減額特約 | 無効(第32条の強行規定) | 無効 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 定期借家(第38条)の成立要件として書面による事前説明が必要(「契約の更新がなく、期間の満了により終了する旨」を記載した書面の交付・第38条第3項)。正しい記述です。
- イ(正): 第38条第1項の書面(電磁的記録)要件を満たさない場合、普通建物賃貸借として扱われます(第38条第2項)。正しい記述です。
- ウ(誤・正答): 不増額特約は第32条第1項但書で有効とされますが、不減額特約(「いかなる理由でも家賃を減額しない」)は強行規定(第32条第1項本文)に反し無効です(最判H15.10.21で確認)。定期借家であっても不減額特約の有効性は変わりません。
- エ(正): 定期借家の再契約は法律上許容されており、実務でも「再契約型定期借家」として活用されています。サブリース契約でも同様に活用可能です。
- オ(正): 定期借家は法定更新がないため、期間満了に向けた計画的な退去・再契約・物件活用の計画が立てやすいのが特徴です。正しい記述です。
【定期借家×サブリースの活用メリット・デメリット・不減額特約の無効との整合・再契約型の実務・転借人の定期借家との関係・終了通知の手続き】
定期借家形式のサブリース契約を選択するメリット・デメリット:
オーナー(賃貸人)視点:
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 更新なし→期間満了で確実に物件を取り戻せる | 業者が期間更新を前提にした場合、再契約交渉が必要 |
| 再開発・建替え計画に合わせた短期設定が可能 | 不減額特約が無効→家賃減額リスクは残存 |
| 普通借家より解約要件が明確 | 業者に定期借家を敬遠される傾向(長期安定収入を求めるため) |
サブリース業者(転貸人)視点:
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 物件管理計画を期間単位で組みやすい | 期間満了でオーナーが再契約しない場合、転借人(入居者)との契約も終了させる必要 |
| 不増額特約有効→家賃増額リスクのコントロール | 不減額特約無効→家賃减額が必要な状況でも特約で回避できない |
最判H15.10.21と定期借家の関係:
最判H15.10.21は「賃料保証型マスターリース契約においても借地借家法第32条第1項の賃料減額請求権は排除できない」と判示しました。この判示は定期借家(第38条)でも同様に適用されます。
定期借家を選択することで借地借家法第28条の正当事由(更新拒絶時)の問題は回避できますが、第32条の賃料減額請求問題は解決されません。
定期借家形式のサブリースでも「不減額特約」は無効です(第32条の強行規定が定期借家かどうかに関わらず適用されるため)。
転借人との定期借家の関係:
特定転貸事業者(サブリース業者)が転借人(入居者)との間で締結する転貸借契約も定期借家(第38条)を選択できます。
この場合の重要な論点:
- マスターリース(業者←→オーナー)と転貸借(入居者←→業者)の期間設定のバランス
- マスターリースの定期借家期間 > 転貸借の定期借家期間:マスターリース終了前に転貸借が終了する場合がある
- マスターリースの定期借家期間 < 転貸借の定期借家期間:転貸借が先に終了し入居者を退去させてからマスターリースを終了させる必要がある
実務的には「マスターリース期間に若干の余裕を持たせた転貸借期間設定(例:マスターリース5年・転貸借4.5年)」が安全とされています。
定期借家終了通知の手続き(第38条第6項):
定期借家の期間満了に際してオーナー(賃貸人)が業者(賃借人)に終了を通知するためには:
- 期間が1年以上の場合: 期間満了の12か月前から6か月前までの間に通知(第38条第6項)
- 通知を怠った場合:通知後6か月は業者に対抗できない
サブリース業者が入居者に定期借家終了を通知する場合も同じルールが適用されます(転貸借においては業者が入居者への通知義務を負う)。
再契約型定期借家の実務設計:
再契約型定期借家は「期間満了後に同内容または変更した内容で再契約できる」という実務的な活用法です。
再契約型のサブリース設計例:
```
第1期:定期借家マスターリース 3年間
期間満了 → 再契約(賃料改定・条件交渉)
第2期:定期借家マスターリース 3年間(新賃料)
期間満了 → 再契約 or 終了
```
この設計により:
- 賃料を定期的に市場水準に調整できる(家賃减額を既定のタイミングで処理)
- 物件の状況変化(大規模修繕完了後の賃料改定等)に対応できる
- 双方の関係が対等に保たれる(普通借家の一方的な継続義務がない)
ただし再契約型でも借地借家法第32条(賃料増減請求)は適用されるため、「再契約時にのみ賃料を変更できる」という完全なコントロールは困難です。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 借地借家法第32条・第38条(第1項・第2項・第3項・第6項)・最判H15.10.21 e-Gov・最高裁ウェブサイト突合済。不増額特約有効・不減額特約無効(定期借家でも同様)・終了通知の手続き確認。基準日2026-04-01以内。正答ウ維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第32条・第38条・最高裁平成15年10月21日判決 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 / 最高裁判所ウェブサイト 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。