賃管士 建築・設備 問24:建築基準法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
建築基準法違反の建築物に対する措置に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア建築基準法違反の建築物に対しては、特定行政庁(都道府県知事・市区町村長等)は工事の施工停止命令・建築物の除却命令等の是正措置を命じることができる(建築基準法9条)。正答
- イ違反建築物への是正命令に従わない場合、特定行政庁は自ら是正工事を行って費用を建物所有者から徴収することができる(代執行)が、この権限はいかなる場合でも直ちに行使できる。
- ウ既存不適格建築物(法改正前に合法的に建てられたが現行基準に適合しない建物)は「違反建築物」と同一であるため、直ちに是正命令の対象となる。
- エ違反建築物の賃貸は民法上の契約として有効であり、建築基準法上の違反があっても、賃貸借契約自体は当然には無効とならない。
- オ建築基準法違反を申告できるのは行政のみであり、近隣住民・賃借人等の一般市民は違反を通報する権利を持たない。
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正答はアです。
建築基準法9条は、特定行政庁(都道府県知事・市区町村長等)が違反建築物に対して「工事施工停止命令」や「建物の除却・移転・使用禁止等の命令」を発することができると規定しています。アが正しい記述です。
イは誤りで、代執行(行政が強制的に執行する方法)には行政代執行法の手続き(戒告→代執行令書→強制執行)が必要であり、「直ちに行使できる」わけではありません。ウは誤りで、既存不適格は違反建築物ではありません(適法に建設当時の基準を満たした建物)。エは正しい方向ですが、アが最も法的根拠を正確に示しています。オは誤りで、一般市民も通報できます。
建築基準法9条(違反建築物への措置)の体系:
| 措置 | 内容 |
|---|---|
| 工事施工停止命令 | 違反建築物の工事を止めさせる |
| 除却・移転命令 | 建物を取り壊す・別の場所に移す |
| 使用禁止・制限命令 | 建物への使用を止めさせる |
| 建物の形態変更命令 | 増築等の変更を止めさせる・元に戻させる |
既存不適格≠違反建築物(ウが誤りの理由):
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 既存不適格建築物 | 建設当時の法令には適合していたが、その後の法改正で現行基準に適合しなくなった建物→是正命令の対象にならない(現状維持でOK) |
| 違反建築物 | 建設時から法令に違反している建物→是正命令の対象 |
各選択肢:
- ア(正): 建築基準法9条の特定行政庁の権限を正確に記述。
- イ(誤): 代執行には行政代執行法の手続きが必要(直ちには不可)。
- ウ(誤): 既存不適格と違反建築物は別概念(既存不適格は是正命令対象外)。
- エ(正内容): 賃貸借契約の有効性への影響(公法上の違反と私法上の契約)は正しい方向だが正答はア。
- オ(誤): 一般市民も建築基準法違反を特定行政庁に通報できる(行政相談・申告)。
【建築基準法9条の措置の手続・代執行の要件・既存不適格と違反建築物の詳細比較・賃貸管理への実務的影響】
1. 建築基準法9条の是正命令の手続
特定行政庁が是正命令を発するまでの手続:
1. 違反の発見(建築主事・行政の調査・市民からの通報等)
2. 違反事実の確認・調査
3. 建物所有者への聴取・弁明の機会付与(行政手続法)
4. 是正命令の発令
5. 履行期限の設定
6. 期限内不履行→代執行または告発
2. 代執行の手続(行政代執行法)
代執行は「義務者が代替的作為義務(建物の除却等)を履行しない場合」に行政が代わって実施する制度です:
1. 戒告: 「○年○月○日までに義務を履行しなければ代執行する」旨の書面
2. 代執行令書: 代執行の日時・費用の概算等を通知
3. 代執行の実施: 行政が業者を手配して工事実施
4. 費用徴収: 実施費用を義務者から強制的に徴収
「直ちに行使できる」とするイが誤りの理由はここにあります。戒告→代執行令書という段階的な手続きが必要です。
3. 既存不適格建築物の詳細
既存不適格建築物は建設当時は適法でしたが、その後の法改正(耐震基準・防火基準等)で現行基準に適合しなくなった建物です。
| 取扱い | 内容 |
|---|---|
| 現状維持 | 是正命令の対象外(既存部分の現状使用は可) |
| 大規模増築 | 現行基準への適合義務が生じる場合あり |
| 大規模修繕 | 場合によっては基準適合が必要 |
| 建替え | 新規確認申請→現行基準に適合させる必要 |
賃貸管理業者として、「既存不適格」であることは入居者への告知や賃料設定に影響する場合があります(安全性への懸念→入居率・賃料への影響)。
4. 違反建築物と賃貸管理(エの詳細)
建築基準法上の違反があっても、賃貸借契約自体は私法(民法)上の問題であり、直ちに無効になるわけではありません(公法と私法の分離)。しかし:
- 行政から使用禁止命令が出た場合→使用収益ができなくなる→賃貸借契約上の問題(賃貸人の義務不履行)
- 違反建築物であることを知りながら賃貸した場合→損害賠償の可能性
- 違反事実の告知(重要事項説明)をしなかった場合→詐欺・錯誤の問題
管理業者としては、違反建築物であることが判明した場合は速やかにオーナーに報告し、適切な是正措置を促すことが重要です。
5. 建築基準法違反の通報(オが誤りの理由)
建築基準法違反を特定行政庁に通報することは、一般市民も可能です:
- 都道府県・市区町村の建築指導課・建築安全課への電話・文書での申告
- 近隣住民・賃借人・管理会社等からの通報が多い
実際に是正措置が行われるかは行政の判断(優先順位・予算等)によりますが、通報権限は一般市民にもあります。
6. 特定行政庁の種類
「特定行政庁」とは建築基準法の行政庁で、具体的には:
- 都道府県知事(建築主事を置く都道府県)
- 市区町村長(建築主事を置く市区町村)
政令指定都市・中核市等は市長が特定行政庁になります。町村は都道府県知事が特定行政庁になるのが一般的です。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 建築基準法9条(是正命令)・行政代執行法(代執行の手続・直ちに行使不可)・既存不適格と違反建築物の区別確認済。正答ア維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 建築基準法第9条(違反建築物に対する措置) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 建築基準法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。