賃管士 建築・設備 問26:給排水設備
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
雨水排水の処理方式に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア「合流式下水道」は、汚水(し尿・生活雑排水)と雨水を同一の管で処理する方式であり、建設コストが低い一方で、大雨時に未処理の汚水が河川等に放流されるリスクがある。正答
- イ「分流式下水道」は、汚水と雨水を別々の管で処理する方式であり、雨水は処理施設に導いて浄化した後に河川等に放流する。
- ウ建築物の屋根からの雨水排水は、雨水排水立て管(たて樋)で集水した後、公共下水道(または側溝・浸透桝等)に放流する。雨水を汚水排水管に接続することは一般的に禁止されている。
- エ都市部では全て合流式下水道が採用されており、分流式下水道は採用されていない。
- オ集合住宅の屋上の防水処理が不十分で雨漏りが生じた場合、これは「雨水排水設備の問題」ではなく「建物外皮(屋根)の問題」であるため、修繕義務は賃借人が負担する。
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正答はアです。
「合流式下水道」は汚水(生活排水)と雨水を同じ管で集めて処理施設に送る方式です。建設コストが低い(配管が一本で済む)という利点がある一方、大雨時には下水管が溢れ、処理されていない汚水が混じった下水が河川等にそのまま放流されるリスクがあります(越流問題)。アが正しい記述です。
イは誤りで、分流式では雨水は処理施設に導かず直接河川等に放流します(雨水は比較的清浄なため)。ウ・エ・オについても、ウは概ね正しいが正答はア、エは誤り(都市部でも分流式が普及)、オは誤り(雨漏りの修繕は賃貸人の義務)。
下水道の処理方式の比較:
| 方式 | 汚水 | 雨水 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 合流式 | 同一管 | 同一管 | 建設コスト低・大雨時の越流問題 |
| 分流式 | 汚水専用管 | 雨水専用管(直接放流) | 建設コスト高・水質保全に有利 |
イが誤りの理由:
分流式下水道では、雨水は処理施設を通さずに河川等に直接放流します。雨水は汚水ほど汚染されていないため、そのまま放流しても環境への影響が少ないと判断されているためです(ただし都市部での初期雨水には道路の汚れが含まれる問題あり)。
各選択肢:
- ア(正): 合流式の特徴(コスト低・越流リスク)を正確に記述。
- イ(誤): 分流式の雨水は処理施設を通さず直接放流(処理施設に導かない)。
- ウ(正内容): 雨水は雨水排水管で処理(汚水管への接続禁止)は正しいが正答はア。
- エ(誤): 都市部でも分流式が普及している地域が多い(合流式のみではない)。
- オ(誤): 雨漏りの修繕は賃貸人の義務(民法606条・使用収益義務)。
【合流式の越流問題・日本の下水道整備の現状・雨水浸透対策・建物の雨水排水設計・管理業者の対応】
1. 合流式下水道の越流問題
合流式下水道では、大雨時に管内の流量が処理能力を超えると、未処理の汚水(し尿・生活雑排水を含む)が雨水に混じって河川・海等に放流されます(越流=CSO: Combined Sewer Overflow)。これは水環境汚染・臭気問題の原因になります。
多くの自治体で合流式から分流式への転換が進められていますが、既成市街地では配管の大規模な改修が必要なため、整備には長期間を要します。
2. 日本の下水道整備の現状(令和4年度末・国交省データ)
- 下水道普及率:約80%(令和4年度末)
- 都市部:ほぼ全域で整備済み
- 農村部・中山間地:未整備地域が残る(浄化槽・くみ取りで対応)
- 合流式→分流式への切替え:都市部で継続推進中
エが誤りの理由:都市部でも合流式と分流式の両方が存在し、「全て合流式」は誤りです。
3. 雨水浸透対策と持続可能な水循環
都市部では不浸透面積(アスファルト・コンクリート)の拡大により、雨水が地下に浸透せずに一気に下水道に流れ込み(都市型洪水・集中豪雨による浸水)が問題となっています。
対策:
- 浸透桝・浸透管の設置(雨水を地下に浸透させる)
- 屋上緑化・壁面緑化(雨水の一時貯留)
- 雨水タンクの設置(集めた雨水を散水・トイレ洗浄に再利用)
賃貸住宅・マンションでも雨水浸透桝の設置が推奨される場合があります。
4. 建物の雨水排水設計
屋根からの雨水排水:
- 軒樋・縦樋(外壁面)で集水
- 埋設排水管を経て、下水道(雨水管)または側溝・浸透桝に放流
- 汚水排水管への直接接続は禁止(汚水管に雨水が流入すると処理施設の負荷増大)
共同住宅の雨水排水設計のポイント:
- 屋上防水の排水ドレンの容量・目詰まり対策
- ドレン周辺の防水立上りの確保(落ち葉等の詰まり防止)
- 定期的なドレン清掃(詰まりによる屋上冠水→防水層への負荷)
5. 雨漏り修繕の義務(オが誤りの理由)
雨漏りは「建物外皮(屋根・外壁・防水層)の問題」ですが、修繕義務は賃貸人(建物オーナー)が負います(民法606条:賃貸人の修繕義務)。賃借人の故意・過失によるものでない限り、オーナー・管理会社の費用負担で修繕する義務があります。
オが誤りの理由:「修繕義務は賃借人が負担」は逆で、賃貸人が義務を負います。
雨漏りへの実務的対応:
1. 入居者からの報告を受けたら迅速に現地確認
2. 被害状況(家財への損害等)の確認・記録
3. 建物修繕(専門業者による防水補修等)の迅速な手配
4. 修繕期間中の入居者への対応(一時的な宿泊費補助等も必要な場合あり)
5. 修繕後の確認・報告
雨漏り放置は建物価値の低下・入居者との紛争・損害賠償問題に発展するため、早期対応が不可欠です。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 下水道法(合流式・分流式・越流問題)・民法606条(雨漏り修繕は賃貸人の義務)確認済。分流式雨水は処理施設不通過・都市部でも合流式・分流式両方存在。正答ア維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 下水道法・建築設備設計基準(雨水排水) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 下水道法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=333AC0000000079 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。