賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 建築・設備 問28|漏水事故時の損害賠償——土地の工作物責任・民法717条

問題

賃管士 | 建築・設備 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

集合住宅の漏水事故等における土地の工作物責任(民法717条)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ

タップするとすぐ答え合わせ

答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)

解説

正答はオです。

民法717条1項は「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」と定めています。オはこの条文のとおりです。

アは誤りで、まず占有者が責任を負い、占有者が必要な注意をした場合に限り所有者に移ります。イは誤りで、2項により竹木にも準用されます。ウは誤りで、3項により求償権を行使できます。エは誤りで、共用配管の設置・保存の瑕疵であれば占有者・所有者の717条責任の問題であり、専有部分の入居者個人の責任とは別の枠組みです。

民法717条の構造:

項内容
1項土地の工作物の設置・保存の瑕疵による損害は、まず占有者が賠償責任を負う。占有者が損害防止に必要な注意をしたときは、所有者が賠償責任を負う(所有者については、必要な注意をしたときに免れるという定めがない)
2項前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する
3項損害の原因について他に責任を負う者があるときは、占有者又は所有者はその者に対して求償権を行使できる

各選択肢:

  • ア(誤): 占有者が必要な注意をした場合に限り所有者に責任が移る。「常に所有者」ではない。
  • イ(誤): 2項により竹木にも準用される。
  • ウ(誤): 3項により求償権を行使できる。
  • エ(誤): 共用配管(土地の工作物である建物の一部)の瑕疵による損害は717条の枠組みで占有者・所有者が責任を負う問題であり、専有部分の入居者個人の責任に限定されない。
  • オ(正): 1項の条文どおり。

【土地の工作物責任の構造・占有者と所有者の責任の順序・準用規定・求償権・賃貸管理における漏水対応の実務】

1. 717条1項——占有者の責任と所有者の責任

民法717条1項は、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じた場合の責任を定めています。建物やその配管設備は、この「土地の工作物」の典型です。責任の構造は次のとおりです。

  • 占有者の責任(本文):まず工作物の占有者が被害者に対して損害賠償責任を負います。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、占有者は責任を負いません(ただし書)。
  • 所有者の責任(ただし書):占有者が必要な注意をしたときは、所有者が損害を賠償しなければなりません。条文には、所有者が必要な注意をしたときに責任を免れるという定めはありません。

つまり、責任の所在は「占有者→(占有者が免責されれば)所有者」という順序で決まり、常に所有者が第一次的に責任を負うわけではありません。

2. 2項——竹木への準用

2項は「前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する」と定めています。庭木の倒壊等による損害についても、工作物責任と同様の枠組み(占有者→所有者)が適用されます。

3. 3項——求償権

3項は「前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる」と定めています。例えば施工業者の欠陥施工が漏水の原因である場合、被害者に賠償した占有者又は所有者は、その施工業者に対して求償することができます。

4. 共同住宅における占有者・所有者の考え方

賃貸住宅の共用配管のように建物全体に関わる設備の瑕疵が原因の漏水では、717条の「占有者」「所有者」が誰に当たるかを、建物の所有関係と誰がその設備を管理・支配しているかの実態から考えることになります。上階の入居者であるというだけで、共用配管の瑕疵による損害を個人として負うことにはなりません(エが誤り)。一方、入居者が自分の過失で室内の設備を壊して水を漏らした場合は、工作物の瑕疵の問題ではなく、不法行為(民法709条)や賃貸借契約上の責任として検討することになります。

5. 賃貸管理における実務

漏水事故が発生した場合、原因(専有部分の設備か共用部分の設備か、施工不良か経年劣化か)を調査した上で、717条の責任の所在(占有者か所有者か)、入居者総合保険・施設賠償責任保険の適用可否を整理することが、管理会社の初動対応として重要です。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法717条1項・2項・3項(e-Gov 法令API v2・law_id 129AC0000000089・2026-09-30取得の現行全文で確認) 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_717 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

この問題の関連トピック

  • 漏水事故時の損害賠償——土地の工作物責任・民法717条
  • 頻出度A

関連する問題

ページの先頭へ