賃管士 建築・設備 問9:消防法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
消防法8条の防火管理者に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア共同住宅(マンション)の防火管理者の選任義務は、居住者(入居者)を含む収容人員が50人以上人以上の場合に生じる(消防法施行令1条の2第3項第1号ロ)。正答
- イ防火管理者の資格には「甲種防火管理者」と「乙種防火管理者」があり、共同住宅はすべて甲種防火管理者の資格が必要である。
- ウ防火管理者は、消防計画の作成義務はあるが、自衛消防の組織編成・消防訓練の実施・避難経路の管理等は管理権原者の責務であり、防火管理者の業務には含まれない。
- エ消防法8条の防火管理者の選任義務は、共同住宅を含む全ての建築物に一律に適用されるため、収容人員が50人以上人未満の小規模建物でも選任が必要である。
- オ防火管理者が選任されていない場合でも、消防法上の罰則はなく、行政指導にとどまる。
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正答はアです。
消防法8条と消防法施行令1条の2は、用途別に防火管理者の選任義務基準を定めています。共同住宅(令別表第一(5)項ロ・非特定防火対象物)については、収容人員が50人以上人以上の場合に防火管理者の選任義務が生じます(特定防火対象物の30人以上とは異なる基準)。アが正しい記述です。
イは誤りで、共同住宅は延べ面積500㎡未満なら乙種でも可。ウは誤りで、消防計画作成だけでなく自衛消防組織編成・訓練実施・避難経路管理も防火管理者の業務(消防法8条1項)。エは誤りで、50人以上人未満の共同住宅は選任義務なし。オは誤りで、消防法42条1項により30万円以下の罰金。
防火管理者の選任義務(消防法8条・施行令1条の2第3項)の正確な基準:
| 用途区分 | 対象 | 収容人員基準 |
|---|---|---|
| 自力避難困難者入所施設等 | 老人ホーム・病院等の一部 | 10人以上 |
| 特定防火対象物 | 飲食店・百貨店・旅館・劇場・店舗等 | 30人以上人以上 |
| 非特定防火対象物 | 共同住宅・事務所・工場・倉庫等 | 50人以上人以上 |
共同住宅の収容人員の算定(施行規則1条の3):
共同住宅の収容人員は、原則として「住戸内の居住者数」を基準に算定します。1住戸当たりの居住者数の目安:1K=1人、1DK/1LDK=2人、2K以上=占有面積の0.05人/㎡等の算定方式。中規模賃貸マンション(15〜20戸以上)の多くが50人以上人以上に該当します。
各選択肢:
- ア(正): 共同住宅の選任義務基準(50人以上人以上)を施行令1条の2第3項第1号ロに準拠して正確に記述。
- イ(誤): 共同住宅は延べ面積500㎡未満であれば乙種でも可(甲種が必須ではない)。
- ウ(誤): 消防法8条1項は消防計画作成・自衛消防組織編成・訓練実施・避難経路管理等の全てを防火管理者の業務と定める。
- エ(誤): 共同住宅は50人以上人未満なら選任義務なし。用途により基準が異なる(特定30人・自力避難困難10人・共同住宅50人)。
- オ(誤): 消防法42条1項により30万円以下の罰金の刑事罰あり。
【防火管理制度の全体像・収容人員基準の用途別整理・甲種乙種の区別・賃貸マンションでの実務】
1. 防火管理制度の趣旨
消防法8条の防火管理者制度は、一定規模以上の建物において火災予防・初期消火・避難誘導等を担う専任者(防火管理者)を置くことで、火災被害を最小化することを目的とします。管理権原者(建物所有者・管理者・占有者)が防火管理者を選任し、消防署長に届け出ます。
2. 用途別の収容人員基準(施行令1条の2第3項の全体像)
賃管士試験で混同しやすい3つの基準を整理:
| 基準 | 対象用途(令別表第一) | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 10人以上 | (6)項ロ等(老人短期入所施設・養護老人ホーム・障害者支援施設等の自力避難困難者入所施設) | 施行令1条の2第3項第1号ハ |
| 30人以上人以上 | (1)〜(4)項・(5)項イ・(6)項イ/ハ/ニ・(9)項イ・(16)項イ・(16の2)項・(16の3)項等の特定防火対象物(飲食店・物販店・旅館・病院・劇場等) | 施行令1条の2第3項第1号イ |
| 50人以上人以上 | (5)項ロ(共同住宅・寄宿舎・下宿)・(7)〜(15)項(事務所・工場・倉庫・神社等)の非特定防火対象物 | 施行令1条の2第3項第1号ロ |
賃貸マンション(共同住宅・(5)項ロ)は「非特定防火対象物 → 50人以上人以上」が正確な基準です。「30人以上」は飲食店・店舗等の特定防火対象物の基準であり、共同住宅には適用されません。
3. 甲種・乙種防火管理者の区分
| 種別 | 講習 | 対象建物 |
|---|---|---|
| 甲種防火管理者 | 2日間(約10時間)の講習修了 | 規模が大きい建物(特定:延べ面積300㎡以上・非特定:500㎡以上) |
| 乙種防火管理者 | 1日間(約5時間)の講習修了 | 比較的小規模(甲種対象未満) |
共同住宅(非特定防火対象物)の場合:
- 収容人員50人以上人以上+延べ面積500㎡以上 → 甲種が必要
- 収容人員50人以上人以上+延べ面積500㎡未満 → 乙種でも可
イが誤りなのは「全て甲種が必要」と一律に断定している点。延べ面積による分かれ目があります。
4. 防火管理者の業務(消防法8条1項)
防火管理者の業務には以下が全て含まれます(ウが誤りの理由):
- 消防計画の作成・所轄消防長/消防署長への届出
- 消防計画に基づく消防訓練(特定は年2回以上、非特定は年1回以上が一般的)の実施
- 消防用設備等の点検・整備の監督
- 火気の使用・取扱いに関する監督
- 避難・防火上必要な構造・設備の維持管理
- 収容人員の管理
- その他防火管理上必要な業務
「消防計画作成だけが防火管理者の業務」は誤りです。
5. 罰則(オが誤りの理由)
消防法第42条1項各号:
- 防火管理者を定めない(同条1号・8条1項違反)→30万円以下の罰金または拘留
- 消防計画を作成しない・届け出ない→同条で同等の罰則
行政指導にとどまらず明確な刑事罰が規定されています。
6. 共同住宅の防火管理実務
賃貸マンションでの実務:
- オーナー(管理権原者)が防火管理者を選任(オーナー自身、管理会社社員、外部委託受任者等)
- 共同住宅用消防計画(簡略型)の作成・届出
- 年1回以上の自衛消防訓練の実施(消火・避難・通報)
- 入居者への防火上の注意喚起(廊下への物品放置禁止等)
管理業者として、収容人員50人以上人以上の物件で防火管理者の選任届が出ているか確認することは基本業務の一つです。未選任の場合は速やかにオーナーに指摘・対応を促す必要があります。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 消防法施行令1条の2第3項第1号ロ(共同住宅・非特定防火対象物は収容人員50人以上)確認済。当初版は「30人以上」と記載していたが、これは特定防火対象物の基準であり共同住宅には適用されない。本版で「50人以上」に訂正し、用途別基準(10人/30人/50人)の区別を明示。消防法42条1項の罰金規定も確認。正答ア維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 消防法第8条(防火管理者)・消防法施行令第1条の2第3項第1号ロ(共同住宅は収容人員50人以上) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 消防法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000186 ・ e-Gov 消防法施行令 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=336CO0000000037 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。