民法22民法(敷金・原状回復)

賃管士 民法 問22:民法(敷金・原状回復)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10

善管注意義務違反と原状回復に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 退去時の鍵交換費用は、賃借人の善管注意義務違反の有無にかかわらず、常に賃貸人が負担すべきである。
  • 退去時の鍵交換費用については、防犯上の必要性から賃貸人が負担するとするのが国交省ガイドラインの考え方であり、特約による賃借人負担は無効である。
  • 賃借人が結露を発見したにもかかわらず換気等の対策をとらず、カビを発生させた場合、善管注意義務違反として賃借人が原状回復費用を負担する可能性がある。正答
  • ペット飼育が禁止されていない物件においてペットを飼育し、通常の範囲を超えた傷・汚損が生じた場合、賃借人の善管注意義務違反とは認められない。
  • 善管注意義務違反による損傷は、賃貸借の残存期間が1年以下の場合は賃借人の責任が免除される。
正答:賃借人が結露を発見したにもかかわらず換気等の対策をとらず、カビを発生させた場合、善管注意義務違反として賃借人が原状回復費用を負担する可能性がある。

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正答はウです。

ウ(正): 結露を知りながら換気もせず放置してカビを発生させた場合、「善良な管理者として当然取るべき対策(換気・除去)をしなかった」として善管注意義務違反となり、カビによる損傷の原状回復費用が賃借人負担となります。

ア(誤): 鍵交換費用は国交省ガイドラインでは「賃貸人負担」が原則ですが、特約で賃借人負担とすることもできます(最判平17.12.16の3要件を満たせば)。

エ(誤): ペット飼育が禁止されていない場合でも、通常の範囲を超えた損傷は善管注意義務違反として賃借人負担となる可能性があります。

オ(誤): 残存期間による責任免除の制度はありません。

標準試験対策の基準レベル

善管注意義務違反の具体例と原状回復の判断:

| 状況 | 判断 | 根拠 |

|---|---|---|

| 結露を知りながら放置→カビ発生 | 賃借人負担(善管注意義務違反) | 換気義務の不履行 |

| 結露が異常に多い(建物構造の問題)→カビ | 賃借人・賃貸人の双方の問題 | 原因が複合的→状況判断 |

| タバコのヤニ汚れ(多量・徹底的) | 賃借人負担 | 通常使用超過 |

| ペット飼育可の物件での過度の損傷 | 賃借人負担(善管注意義務違反) | ペット飼育許可が「過度の損傷を許可」ではない |

| 鍵の紛失による鍵交換 | 賃借人負担(賃借人の責) | 鍵の管理義務違反 |

鍵交換費用の特別論点(ガイドラインの解釈):

  • 退去時の鍵交換費用: ガイドラインは「賃貸人負担が妥当」(防犯・セキュリティの観点)
  • 鍵を紛失した場合: 賃借人の責任(管理義務違反)→賃借人負担
  • 特約による賃借人負担: 最判平17.12.16の3要件を満たせば有効(金額明示・明確な合意)
  • イが誤りな理由: 特約による賃借人負担は「無効」ではなく、要件を満たせば有効

各選択肢の整理:

  • ア(誤): 常に賃貸人負担ではない。特約がある場合は賃借人負担も有効。
  • イ(誤): 特約が「無効である」は誤り。最判平17.12.16の3要件を満たす特約は有効。
  • ウ(正): 結露放置によるカビ→善管注意義務違反→賃借人の原状回復費用負担。
  • エ(誤): ペット飼育許可は「通常使用の許可」であり、過度の損傷まで免責するわけではない。
  • オ(誤): 残存期間による責任免除規定なし。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【善管注意義務違反の因果関係と立証責任—退去精算での実務問題】

善管注意義務違反による原状回復費用の請求には、① 賃借人が注意義務に違反したこと、② その違反と損傷との間に因果関係があること、③ 損傷によって損害(修繕費用)が生じたこと、の立証が必要です。

立証責任の配分(実務上の問題):

原則として「賃貸人が賃借人の義務違反を立証する」ことが必要ですが、退去立会確認書に損傷内容が記録されていれば、「損傷の存在と入居後の発生」は証明されます。善管注意義務違反(賃借人の責に帰すべき事由)であるかどうかが問題となります。

結露・カビの立証問題:

結露・カビのケースは特に複雑です:

1. 結露の原因が「入居者の生活習慣(洗濯物の部屋干し・過度な加湿器使用)」か「建物の断熱性能不足」かの判断が難しい

2. 入居者が「換気を怠ったわけではない」と主張する場合の立証

3. 入居時すでにカビがあった場合の入退去時の比較問題

管理会社は入居時の「現状確認書」に結露・カビの有無を記録し、退去時の比較を可能にしておくことが最重要の実務対応です。

ペット飼育と善管注意義務の実務判断:

「ペット可」物件であっても賃借人には「通常のペット飼育の範囲内」での善管注意義務があります。例えば:

  • 犬・猫の爪による壁・フローリングへの傷→通常の範囲内の損傷は通常損耗(賃貸人負担)に近いが、過度・多数の傷は賃借人負担
  • ペットの尿による床材の変色・腐食→善管注意義務違反(清掃不足)として賃借人負担
  • 体臭・ペット臭による脱臭費用→「ペット飼育可物件」であっても異常な臭気は賃借人負担

特約例:「ペット飼育可とするが、退去時のハウスクリーニング費用○万円(ペット対応)は賃借人の負担とする」→最判17.12.16の3要件を満たせば有効。

管理会社の「入居のしおり」の重要性:

善管注意義務の内容(換気の重要性・結露対策・ペット飼育時の注意事項等)を「入居のしおり」として入居時に提供し、入居者に署名してもらうことで:

  • 入居者の認識が明確化→「知らなかった」という言い訳を防ぐ
  • 善管注意義務の内容が書面化→後の立証に活用
  • 管理会社のプロフェッショナル性を示し、トラブルを予防

根拠: 民法400条・621条(e-Gov 法令検索)、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(H23)、最判平17.12.16。確認日2026-06-10。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法400条・621条(e-Gov 法令検索)、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(H23) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。

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