賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 民法 問23|原状回復特約の効力と消費者契約法10条の判断枠組み

問題

賃管士 | 民法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

原状回復に関する特約の効力に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はオです。

消費者契約法10条は、①法令中の公の秩序に関しない規定(任意規定)の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、②民法1条2項の基本原則(信義則)に反して消費者の利益を一方的に害するもの、を無効とする規定です。無効になるには①と②の両方が必要で、①だけでは足りません。オは②を要件から外しているため誤りです。

ア・イ・ウ・エはいずれも正しい記述です。ガイドラインはそれ自体に法的な拘束力がないため、ガイドラインと違う内容の特約だというだけでは無効になりません。

ガイドラインと消費者契約法10条の関係整理:

項目内容
ガイドラインの性格負担割合等の一般的な基準。ガイドライン自身が「法的な拘束力を持つものでもない」と述べている(第1章Ⅰ)
ガイドラインと違う特約それだけでは無効とならない
10条で無効となる条項①任意規定に比べて消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、②信義則に反して消費者の利益を一方的に害するもの(①②の両方が必要)
10条の対象消費者契約(消費者と事業者の間の契約。2条3項)の条項

各選択肢の整理:

  • ア(正): ガイドライン本文(第1章Ⅰ)の記述どおり。
  • イ(正): ガイドラインに拘束力がない以上、ガイドラインとの違いだけでは無効の根拠にならない。
  • ウ(正): 通常損耗は民法621条により原状回復義務から除かれているため、その費用を負担させる特約は①に当たりうる。②も満たせば10条により無効となる。
  • オ(誤・正答): ②(信義則に反して一方的に利益を害すること)は10条の条文そのものに書かれた要件である。
  • エ(正): 2条1項の定義どおり。事業のために契約する個人は「消費者」ではない。

【「ガイドライン違反」と「消費者契約法10条による無効」を混同しないこと】

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」は、第1章Ⅰで「ガイドラインは、あくまで負担割合等についての一般的な基準を示したものであり、法的な拘束力を持つものでもない」と述べています。したがって「ガイドラインに反する特約だから無効」という図式は成り立たず、特約の効力は法令(民法・消費者契約法など)に照らして判断されます。

消費者契約法10条の条文構造:

10条は、次の2つをともに満たす消費者契約の条項を無効とします。

1. 「法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する」条項であること(前段)

2. 「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」であること(後段)

前段だけで無効になるわけではなく、後段の要件もあわせて満たす必要があります。オはこの後段を要件から外しているので誤りです。

原状回復特約への当てはめ(ウ):

民法621条は、賃借人の原状回復義務の対象から「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化」を除いています。通常損耗の回復費用まで賃借人に負担させる特約は、この任意規定の場合に比べて賃借人の義務を加重するものですから、前段に当たりえます。そのうえで後段(信義則に反して一方的に利益を害するか)を満たせば無効となります。

10条が使える契約の範囲(エ):

10条は「消費者契約」(消費者と事業者との間で締結される契約。2条3項)の条項にだけ適用されます。「消費者」は個人に限られ、事業として又は事業のために契約の当事者となる個人は除かれます(2条1項)。たとえば個人が店舗や事務所として建物を借りる場合、その個人は通常「事業のために」契約しているので、10条ではなく民法の一般原則で特約の効力が判断されることになります。

ガイドラインが示す特約の要件との関係:

ガイドラインは第1章Ⅰ2(2)「特約について」で、判例等を踏まえた賃借人に特別の負担を課す特約の要件として、①特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること、②賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること、③賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること、の3つを挙げ、あわせて最高裁判決と消費者契約法9条1項1号・10条を紹介しています。そのうえで、特約を設けるときは契約書面に明確に定め、賃借人の十分な認識と了解をもって契約することが必要だとしています。管理会社が特約付きの契約書を扱うときは、負担する箇所・金額(単価)を具体的に書き、契約前に説明しておくことが、この要件を満たすうえでも紛争を防ぐうえでも欠かせません。

根拠: 消費者契約法2条1項・3項・10条、民法1条2項・621条(e-Gov 法令検索)、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」第1章Ⅰ・第1章Ⅰ2(2)。確認日2026-09-30。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 消費者契約法2条1項・3項・10条、民法1条2項・621条(e-Gov 法令検索、現行条文)、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月)第1章Ⅰ・第1章Ⅰ2(2)「特約について」 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法施行規則第19条第1号/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-09-30(e-Gov 法令API v2で消費者契約法2条・10条、民法1条・621条の現行条文を取得し、国土交通省掲載のガイドライン本文PDFで該当箇所を確認) 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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