問題
敷金返還請求権に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はアです。
民法466条の6第1項により、将来発生する敷金返還請求権も明渡し前の段階で第三者に譲渡することができます(ウは正しい記述です)。しかし、466条の6第2項は「債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する」と定めており、譲受人が現実に取得するのは「発生した債権」です。敷金返還請求権が発生するのは622条の2第1項1号のとおり明渡し完了時であるため、明渡し前の段階で譲受人が賃貸人に直接請求できるわけではありません。アは「明渡し前でも直接請求できる」としており誤りです。
敷金返還請求権をめぐる権利変動の整理:
| 場面 | 処理 |
|---|---|
| 将来の敷金返還請求権の譲渡(明渡し前) | 466条の6第1項により有効に譲渡できる |
| 譲渡後の権利の現実の取得 | 466条の6第2項により、発生した債権を「当然に取得」する=発生前には行使できない |
| 敷金返還請求権の発生時期 | 賃貸借終了+賃貸物の返還(明渡し)を受けたとき(622条の2第1項1号) |
| オーナーチェンジ時の承継 | 譲受人(新賃貸人)が当然承継(605条の2第4項) |
| 賃借権の適法な譲渡時 | 旧賃借人に返還・新賃借人は新たに積む(622条の2第1項2号) |
各選択肢の整理:
- ア(誤・正答): 譲渡自体は有効でも、譲受人が取得するのは「発生した債権」(466条の6第2項)。発生前の明渡し完了前に直接請求できるとする点が誤り。
- イ(正): 622条の2第1項1号のとおり。
- ウ(正): 466条の6第1項のとおり。将来債権も譲渡の対象となる。
- エ(正): 605条の2第4項のとおり。
- オ(正): 622条の2第1項2号のとおり。適法な賃借権の譲渡の時に、もとの賃借人への返還義務が生じる。
【将来債権の譲渡と「発生前の行使可能性」を区別する】
466条の6は令和2年4月施行の改正民法で新設された条文で、将来債権(まだ発生していない債権)であっても譲渡の対象となることを明文で認めました。条文は次の2つの段階に分かれています。
1. 第1項(譲渡の可否): 「債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない」→将来発生する予定の債権であっても、譲渡契約自体は有効に成立する
2. 第2項(権利取得の内容): 「債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する」→譲渡契約は有効だが、譲受人が現実に取得するのは「発生した債権」であり、債権が発生するまでは行使のしようがない
この2段階構造を敷金返還請求権に当てはめると、「明渡し前に将来の敷金返還請求権を譲渡すること」自体は466条の6第1項により可能ですが、譲受人が賃貸人に対して現実に返還を請求できるのは、622条の2第1項1号の要件(賃貸借の終了+賃貸物の返還を受けたこと)が満たされ、敷金返還請求権が現実に発生した後に限られます。明渡しが完了していない段階では、そもそも請求できる権利がまだ発生していないため、譲受人であっても賃貸人に直接請求することはできません。
譲渡の対抗要件との関係:
将来債権の譲渡についても、通常の債権譲渡と同様に対抗要件(譲渡人から債務者(賃貸人)への通知又は賃貸人の承諾)を備える必要があります。467条1項は「債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)」と明記しています。賃貸人としては、敷金返還請求権の譲渡の通知を受けた場合、明渡し完了・敷金額から控除すべき債務額の確定を経て初めて具体的な返還額が確定するため、通知を受けた時点で直ちに支払義務が発生するわけではない点に注意が必要です。
オーナーチェンジ・賃借権譲渡との対比(エ・オの補足):
605条の2第4項(オーナーチェンジ)と622条の2第1項2号(賃借人側の賃借権譲渡)は、いずれも「敷金の帰属先が変わる場面」を規定していますが、方向性が逆になります。
- オーナーチェンジ(物件の売買)→敷金は新賃貸人(譲受人)が承継。賃借人に変動はない。
- 賃借権の譲渡(賃借人の交代)→敷金は旧賃借人に返還され、新賃借人は別途敷金を積む。賃貸人に変動はない。
将来債権としての敷金返還請求権の第三者への譲渡(本問の論点)は、これらとは別の場面(賃借人が自らの敷金返還請求権を金融取引等で第三者に譲渡する場面)であり、466条の6の一般則が適用されます。
根拠: 民法466条の6・467条・622条の2・605条の2第4項(e-Gov 法令検索)。確認日2026-09-30。
- 民法第466条の6e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法466条の6・622条の2・605条の2第4項(e-Gov 法令検索、令和2年4月1日施行改正後の現行条文) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法施行規則第19条第1号/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-09-30(e-Gov 法令API v2で466条の6・622条の2・605条の2の現行条文を取得して確認) 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

