賃管士 民法 問30:民法(保証)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
賃貸借における保証に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア連帯保証人は、賃貸人からの請求に対して「まず賃借人本人に請求せよ」という催告の抗弁権を有する。
- イ連帯保証人は、賃貸人からの請求に対して「賃借人本人には財産があるので、そちらから取り立てよ」という検索の抗弁権を有する。
- ウ連帯保証人は、賃借人に先立って賃貸人から賃料の請求を受けた場合でも、これを拒絶する法律上の手段を持たない。
- エ単純保証(通常の保証)と連帯保証の最大の違いは、連帯保証人には催告の抗弁権と検索の抗弁権が認められていない点にある。正答
- オ連帯保証人の責任は、賃借人の債務が消滅したときに当然消滅するが、賃借人の債務が増額された場合には連帯保証人の責任範囲は自動的に増額されない。
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正答はエです。
単純保証(普通保証)には「催告の抗弁権(先に主債務者に請求せよ)」と「検索の抗弁権(主債務者の財産から先に取り立てよ)」がありますが、連帯保証にはこれらの抗弁権が認められていません(民法454条)。
これが単純保証と連帯保証の最大の違いです。住宅賃貸の保証人は通常「連帯保証人」とされているため、賃貸人は連帯保証人に対して賃借人本人より先に請求することも可能です。
アとイは連帯保証人には認められない権利を持つかのように記述しており誤りです。ウは「拒絶する法律上の手段を持たない」という記述は連帯保証人の特性として正しい部分がありますが、エがより正確に両者の違いを説明しています。
単純保証と連帯保証の比較(民法452条〜454条):
| 区分 | 単純保証 | 連帯保証 |
|---|---|---|
| 催告の抗弁権(452条) | あり(「まず主債務者に請求せよ」) | なし(454条) |
| 検索の抗弁権(453条) | あり(「主債務者の財産から先に取り立てよ」) | なし(454条) |
| 分別の利益 | あり(複数保証人の場合・頭割り) | なし(各自全額責任) |
| 主債務者への先行請求の要否 | 保証人が抗弁を行使すれば先行請求が必要 | 不要(保証人への先行請求が可能) |
各選択肢の整理:
- ア(誤): 連帯保証人に催告の抗弁権(民法452条)はない(454条で排除)
- イ(誤): 連帯保証人に検索の抗弁権(民法453条)はない(454条で排除)
- ウ(正): 連帯保証人には催告・検索の抗弁権がないため、先行請求を拒絶できない—実質的に正しいが...
- エ(正): 「催告の抗弁権と検索の抗弁権が認められていない」という差異の説明が正確かつ核心をついている。ウより直接的・正確な記述。
- オ(一部正・一部誤): 保証債務の附従性(主債務消滅→保証債務消滅)は正しい。しかし「賃借人の債務が増額されても連帯保証人の責任は増額されない」というのは、賃貸借の更新・賃料増額等の場面では連帯保証人の責任範囲の問題として複雑(保証契約の内容による)。単純に「増額されない」とは言えない。
【個人根保証の R2改正と賃貸借保証—連帯保証人の責任範囲の限定化】
賃貸借における連帯保証の問題は、R2改正(民法465条の2〜465条の10の新設)によって大きく変化しました。特に「個人根保証」への規制が、賃貸借の保証に直接影響しています。
個人根保証と賃貸借保証の関係:
賃貸借の保証は「主債務の範囲が特定されていない(賃料・損害賠償・原状回復費用など多様な債務が発生する)」という点で、「根保証(不特定の債務を保証する保証)」に該当します。
保証人が個人の場合(法人ではない場合)→ 個人根保証として規制の対象になります。
個人根保証の規制(R2改正で新設・民法465条の2):
「個人根保証契約は、極度額を定めなければ無効」(465条の2第1項・2項)
「極度額」とは「保証人が責任を負う最大限の金額の上限」です。
賃貸借の連帯保証人(個人)は、R2改正(2020年4月1日施行)以降、契約書に極度額(例:「賃料の○ヶ月分」「○○万円」等)が記載されていない場合は、保証契約自体が無効となります。
極度額の設定実務(賃管士の重要チェックポイント):
改正後の標準的な記載例:
「連帯保証人は、本賃貸借契約から生ずる賃借人の一切の債務(賃料・共益費・損害賠償・原状回復費用を含む)について、極度額○○万円を限度として連帯して保証する」
極度額の金額設定の考え方:
- 賃料の24ヶ月分(退去・手続き・空室期間を想定した合理的な上限)
- 月額賃料×24 + 敷金相当額 等
管理会社(賃貸住宅管理業者)は管理受託契約・重要事項説明において、個人根保証の極度額規制を遵守した契約書使用を確認することが義務的な実務対応です。
催告・検索の抗弁権がない実務上の意味:
連帯保証人には催告・検索の抗弁権がないため、賃貸人(またはその代行者たる管理会社)は:
1. 賃借人本人への請求と並行して連帯保証人に請求できる
2. 賃借人が行方不明・音信不通になった場合に連帯保証人に直接請求できる
3. 連帯保証人が「賃借人に財産があるから先に取り立てろ」と言っても拒否できる
保証会社(家賃債務保証)との比較:
現代の賃貸住宅では個人の連帯保証人に代わって「家賃債務保証会社(保証会社)」が利用されるケースが増えています:
| 比較 | 個人連帯保証人 | 保証会社 |
|---|---|---|
| 極度額規制 | R2改正で必要 | 法人なので適用なし(別途保証会社の審査基準) |
| 代位弁済の速度 | 賃借人が行方不明でも請求できるが回収は個人の財産状況次第 | 審査条件充足で1〜2ヶ月分の代位弁済が迅速 |
| オーナーの安心度 | 連帯保証人の資力次第 | 保証会社の信用力による |
| 費用負担 | 保証料なし(賃借人にコストなし) | 保証料(入居時・更新時)が賃借人負担 |
個人根保証の極度額規制強化により、保証会社の利用が増加する傾向があります。管理会社として「個人保証」か「保証会社」かの選択肢を適切に提案できることが重要な実務スキルです。
根拠: 民法452条・453条・454条・465条の2(e-Gov 法令検索)、令和2年4月施行民法改正(個人根保証の極度額規制)。確認日2026-06-10。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法452条・453条・454条(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。