賃管士 民法 問32:民法(保証)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
Aが所有する賃貸アパートについて、賃借人Bの連帯保証人としてCが署名した。しかし保証契約書には極度額の記載がなかった。この場合に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか(令和2年4月1日以降に締結された保証契約として回答すること)。
- aBがAに対する賃料を3ヶ月滞納した場合、CはAからの請求に応じなければならない。
- b保証契約書に極度額の記載がなくても、Cが連帯保証に同意した以上、保証の効力は発生する。
- c保証契約書に極度額の記載がない場合、Cとの個人根保証契約は無効であり、CはAからの賃料支払いの請求に応じる法的義務を負わない。正答
- d極度額の記載がなくても、連帯保証の趣旨から「賃料の半年分相当額」を上限として有効と解釈できる。
- eCが「保証しました」と認識していれば、書面への署名・極度額記載がなくても保証契約は成立する。
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正答はcです。
令和2年4月1日以降に締結された個人根保証契約(賃貸借の保証は根保証に該当)は、極度額の記載がなければ無効(民法465条の2第1項・2項)です。
Cとの保証契約書に極度額が記載されていない場合、その保証契約は法律上無効であり、CはAからの請求に応じる法的義務を負いません。
a・b・dはいずれも「極度額なしでも有効」という前提が誤りです。
eも誤りです。保証契約は書面要件(民法446条2項)も満たす必要があり、口頭・認識だけでは不十分です。
管理会社が令和2年4月以降の契約書を使い続けている場合、古い書式(極度額なし)のまま運用すると保証が無効になるリスクがあります。
個人根保証が無効となる要件(465条の2第1項・2項):
| 無効の要件 | 内容 |
|---|---|
| 極度額の不記載 | 主債務の最高額の定めなし→無効(465条の2第2項) |
| 書面・電磁的記録不使用 | 口頭での保証合意→無効(446条2項・465条の2第3項) |
各選択肢の整理:
- a(誤): Cの保証契約が無効のため、法的請求に応じる義務はない(応じないことができる)
- b(誤): 465条の2第2項「極度額を定めなければ、その効力を生じない」—同意だけでは不十分
- c(正): 極度額なし→個人根保証無効→CはAの請求に応じる法的義務なし
- d(誤): 裁判所が「相当な極度額」を認定して有効とすることはできない(条文上、極度額なしは無効)
- e(誤): 保証契約の書面要件(446条2項)を満たさないため無効(口頭では成立しない)
無効な保証契約で発生する問題(管理会社の責任リスク):
管理会社が古い書式(極度額なし)を使い続けた結果:
- 保証契約が無効
- 賃借人が賃料を滞納しても保証人に請求できない
- オーナーが管理会社に「なぜ有効な保証契約を取らなかったのか」と責任追及
→ 管理会社は受任者として善管注意義務(民法644条・管理受託契約)に違反したとして損害賠償請求を受けるリスクがある。
【令和2年4月1日以前の契約と以後の契約の扱い—改正の経過措置の問題】
R2改正民法(個人根保証の極度額規制)は令和2年4月1日施行ですが、以前に締結された保証契約については経過措置が問題になります。
経過措置の原則:
R2改正の経過措置(附則)によれば:
- 令和2年3月31日以前に締結された保証契約: 改正前民法が適用(極度額なしでも有効な場合がある)
- 令和2年4月1日以降に締結された保証契約: 改正後民法が適用(極度額なしは無効)
ただし「令和2年4月1日以降の更新・新規締結」は新法が適用されます。実務上、賃貸借の「更新時」に保証契約も「新たな合意」として扱われるかどうかが問題になります。
更新時の保証契約の問題(実務重要論点):
賃貸借の合意更新・法定更新に際して、連帯保証は原則として継続します(619条2項・同意がある場合)。しかし以下の問題があります:
1. 旧法時代(R2/4/1以前)に締結した極度額なしの保証契約を「R2/4/1以降も有効として使い続けられるか」
→ 原契約時の適用法令が旧法であれば旧法が適用(有効な場合がある)
2. 更新時に「新たな保証の合意」を取り交わす場合
→ 新法適用→極度額が必要
3. R2/4/1以降に「法定更新」(賃借人・賃貸人の合意なしの自動更新)が起きた場合
→ 保証契約の内容(更新後も保証するか)が問題になる
安全のために、管理会社はR2/4/1以降に更新がある物件について「極度額付きの保証契約書」への切替えを進めることが推奨されます。
元本確定事由(465条の4)と賃貸借保証:
個人根保証の元本確定事由として以下が規定されています:
| 確定事由 | 内容 |
|---|---|
| 強制執行・担保実行 | 賃借人(主債務者)の財産に強制執行・担保実行が行われた |
| 主債務者の破産 | 主債務者(賃借人)が破産手続開始決定を受けた |
| 保証人の死亡 | 保証人(連帯保証人)が死亡した |
| 主債務者の死亡 | 主債務者(賃借人)が死亡した |
特に「保証人の死亡」・「主債務者の死亡」が確定事由として重要です。
保証人が死亡した後に生じた新たな賃料債務は、保証人の相続人に承継されません(元本確定後の新たな債務は保証の対象外)。ただし死亡前に生じていた債務(確定した元本)は相続人が引き継ぐ場合があります。
管理会社は保証人の死亡情報を適時に把握し、新たな保証人の確保や保証会社への切替えを提案することが保護業務として重要です。
家賃債務保証会社の活用と個人保証の役割分担:
現代の賃貸住宅管理では「保証会社+個人連帯保証人のゼロ(または任意)」という形が増えていますが、以下の点で個人保証が引き続き重要な役割を果たす場面もあります:
- オーナーが「親族の保証を求める」という慣行(心理的安心感)
- 保証会社の保証限度(家賃のみ・原状回復含まない等)を補完する目的
- 外国人入居者や信用情報に問題がある入居者で保証会社の審査が通らない場合
いずれの場合も、R2改正後は極度額の記載が必須であることを管理会社が正確に理解し、適切な保証設計をすることが求められます。
根拠: 民法446条・465条の2・465条の4(e-Gov 法令検索)、令和2年4月施行民法改正(附則・経過措置含む)。確認日2026-06-10。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法446条2項・465条の2(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。