賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 民法 問43|賃貸人の地位移転

問題

賃管士 | 民法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

令和2年4月施行の改正民法で新設された賃貸人の地位の移転(民法605条の2)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はイです。

民法605条の2(R2改正新設)は「賃貸不動産が売却・譲渡された場合、賃借人が対抗要件(建物の引渡し等)を備えていれば、新たな所有者(買主・新オーナー)は当然に賃貸人の地位を承継する」と規定しています。

賃借人の同意は不要(ウが誤り)です。また地位移転に際して新オーナーから賃借人への対抗には移転の登記が必要です(605条の2第3項)。

エは誤りです。地位の留保には「賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨」と「その不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨」の両方の合意が必要です(605条の2第2項)。

605条の2の構造(賃貸人の地位移転):

項目内容条文
移転の要件賃借人が対抗要件を備えている+不動産の譲渡605条の2第1項
賃借人の同意の要否不要(当然に移転)605条の2第1項
留保特約「地位を譲渡人(旧オーナー)に留保する旨」と「譲受人が譲渡人に賃貸する旨」を合意すれば留保できる605条の2第2項
対抗の登記新オーナーが賃借人に賃貸人の地位を主張するには登記が必要605条の2第3項
敷金・担保の承継地位移転に伴い敷金・担保は新オーナーに承継605条の2第4項

各選択肢の整理:

  • ア(誤): 通知は対抗要件ではなく、移転は「対抗要件を備えている賃借人」に対して当然に生じる(登記不要で移転するが、対抗には登記が必要)。
  • イ(正): 対抗要件があれば当然に承継(賃借人の同意不要)+賃借人への対抗には所有権移転登記が必要(605条の2第1項・3項)。
  • ウ(誤): 賃借人の同意は不要(605条の2第1項)。
  • エ(誤): 605条の2第2項は、留保の合意に加えて「その不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨」の合意も要件としている。留保の合意だけでは地位は留保されない。
  • オ(誤): 605条の2第4項で敷金は新オーナーに承継される。

【オーナーチェンジと賃貸管理業の実務—地位移転・敷金・保証の三点整理】

賃貸不動産の売買(オーナーチェンジ)は、賃貸住宅管理業者にとって最も複雑な局面の一つです。605条の2のR2改正による明文化により、法的関係は整理されましたが、実務的には多くの確認事項があります。

オーナーチェンジ時の「三点セット」確認事項:

1. 賃貸人の地位移転(605条の2)

- 賃借人が対抗要件(建物引渡し)を備えていれば当然移転

- 移転の登記(所有権移転登記)が新オーナーから賃借人への対抗の要件

- 賃借人の同意不要

2. 敷金の承継(605条の2第4項)

- 敷金は新オーナーが当然承継

- 旧オーナーが敷金を費消していた場合でも新オーナーが返還義務を負う

- 売買代金に敷金相当額の控除を組み込むことが売買実務での対応

3. 個人保証の継続(605条の2・保証の附従性)

- 保証は主債務に附従するため、賃貸人の地位移転(賃貸人が変わる)だけでは保証は消滅しない

- ただし個人根保証の元本確定事由(例:保証人の死亡)があれば別問題

留保特約(605条の2第2項)の実務的活用(マスターリース構造):

R2改正で条文化された「留保特約」は、以下の場面で実務的に重要です。

サブリース(マスターリース)の構造:

  • オーナー(所有者)→売買により新オーナーに
  • オーナーとサブリース業者の間のマスターリース契約(旧オーナーが賃借人)
  • オーナーチェンジ後の処理:
    • 留保特約なし→サブリース業者(旧賃借人のまま)の地位はどうなるか
    • 留保特約あり→旧オーナーが引き続きマスターリース契約の賃貸人として機能し、入居者との直接関係はサブリース業者が維持

留保特約を活用することで、オーナーチェンジ後もサブリース業者が中間者として存在する構造を維持できます。

対抗要件(登記)と賃借人保護の関係:

605条の2第3項は「第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない」と規定しています。

これは「新オーナーが賃借人に賃料を要求するには登記が必要」という意味です。未登記の状態では賃借人は旧オーナーと新オーナーのどちらに賃料を払っても問題ないという立場を取れます。

管理会社として「物件の売買があった場合は速やかに登記状況を確認し、登記が完了したら賃借人に新オーナーへの賃料支払いを案内する」という手順を整備することが重要な実務対応です。

根拠: 民法605条の2(e-Gov 法令検索)、令和2年4月施行民法改正。確認日2026-06-10。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法605条の2(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法施行規則第19条第1号/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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