賃管士 民法 問44:民法(賃貸人の地位移転・相続)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
賃借権の対抗要件に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア民法605条によれば、不動産の賃借権はその登記をしなければ第三者に対抗できない。
- イ建物の賃借権については、借地借家法31条により、建物の引渡しを受けることで賃借権の対抗要件を備えることができる。
- ウ賃貸人には登記に協力する義務があり、賃借人の請求があれば必ず登記に応じなければならない。正答
- エ借地借家法31条による対抗要件(建物の引渡し)は、賃借権の登記がない場合でも、新たな所有者に賃借権を対抗するために利用できる。
- オ賃借権が登記されている場合、その賃借権はその後に当該不動産を取得した第三者に対しても対抗することができる。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・国土交通省ガイドラインも明記。
正答はウです。
「賃貸人には登記に協力する義務があり、必ず応じなければならない」という記述が誤りです。
民法上、賃貸人(所有者)には賃借人の賃借権登記に協力する義務はありません。賃貸人の協力が得られない場合、賃借人は賃借権の登記ができないという問題があります。
これが建物賃貸借において「登記に代わる対抗要件」として借地借家法31条(建物の引渡し)が設けられている実質的な理由です。建物を引き渡してもらえば(入居できれば)、賃借人は賃貸人の協力なしに第三者への対抗要件を備えられます。
イとエは借地借家法31条の正確な記述です。
建物賃貸借の対抗要件の比較:
| 対抗要件 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 賃借権の登記 | 民法605条 | 不動産登記法に基づく登記。賃貸人の協力が必要 |
| 建物の引渡し | 借地借家法31条 | 登記に代わる対抗要件。賃貸人の協力不要(鍵の受渡しで達成) |
各選択肢の整理:
- ア(正): 民法605条の通り。登記が原則的な対抗要件。
- イ(正): 借地借家法31条「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」—正確な記述。
- ウ(誤): 民法上、賃貸人に登記協力義務はない。「必ず応じなければならない」は誤り。なお、賃借人が登記を求めて訴訟(登記請求訴訟)を起こした場合に裁判所の命令で登記が実現する可能性はあるが、当然の義務ではない。
- エ(正): 借地借家法31条の利用について(登記がなくても引渡しで対抗可)正しい記述。
- オ(正): 605条の通り。登記がある賃借権は登記後の第三者取得者に対抗できる。
【対抗要件制度と賃借権の特殊性—物権変動の公示原則と賃借権の非公示問題】
対抗要件制度の基本原則は「物権変動は登記によって公示する」ですが、賃借権(債権)は原則として第三者に対抗できません(債権の相対効)。民法605条は「不動産の賃借権は登記をすれば対抗できる」という例外を設け、借地借家法31条はさらに「建物の引渡し」を代替の対抗要件として認めました。
借地借家法31条の「建物の引渡し」の意味:
「引渡し」=鍵の引渡し・建物への入居実現(現実の支配移転)です。法律上の「引渡し」(現実の引渡し・簡易の引渡し・指図による占有移転等)のうち、建物の賃貸借では「現実に建物を使用収益できる状態になった」ことを指すと解されます。
「引渡し」がない状態での対抗問題(契約締結後・入居前の期間):
入居予定日前に「賃貸借契約は締結済みで鍵はまだ渡していない」という状態では、借地借家法31条の対抗要件(建物の引渡し)を満たしていません。この期間中に不動産が売却された場合、賃借人は新オーナーに賃借権を対抗できない可能性があります。
実務上の対応:入居予定日から逆算した管理(引渡し前に売却が生じた場合の処理方針を管理受託契約に明記)。
「賃借権の登記」が実務でほとんど行われない理由:
理論上は605条の登記で対抗要件を備えられますが、実際の住宅賃貸では賃借権の登記はほぼ行われません。理由:
1. 賃貸人に登記協力義務がない(協力してもらえない場合が多い)
2. 登記申請の費用・手間(賃借人側が登録免許税等を負担)
3. 建物の引渡しで代替できる(実用上は借地借家法31条で足りる)
これが「実務では建物の引渡し(鍵の受渡し)が入居の実質的な完了であり、この時点で賃借権の対抗要件が備わる」という実務慣行の法的根拠です。
定期借家・借地権の登記問題(賃管士試験関連):
定期借家(借地借家法38条)でも借地借家法31条の引渡し対抗要件が適用されます。また借地権(土地の賃借権)については、借地借家法10条「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」という代替対抗要件があります。
住宅賃貸借(建物の賃貸)では「建物の引渡し」、借地(土地の賃貸)では「土地上の建物の登記」が、それぞれ登記に代わる対抗要件として機能します。
根拠: 民法605条(e-Gov 法令検索)、借地借家法10条・31条(e-Gov 法令検索)。確認日2026-06-10。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法605条(e-Gov 法令検索)、借地借家法31条(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。