賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 民法 問44|対抗要件としての登記

問題

賃管士 | 民法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

賃借権の対抗要件に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はオです。

「賃貸人には登記に協力する義務があり、必ず応じなければならない」という記述が誤りです。

民法上、賃貸人(所有者)には賃借人の賃借権登記に協力する義務はありません。賃貸人の協力が得られない場合、賃借人は賃借権の登記ができないという問題があります。

これが建物賃貸借において「登記に代わる対抗要件」として借地借家法31条(建物の引渡し)が設けられている実質的な理由です。建物を引き渡してもらえば(入居できれば)、賃借人は賃貸人の協力なしに第三者への対抗要件を備えられます。

イとエは借地借家法31条の正確な記述です。

建物賃貸借の対抗要件の比較:

対抗要件根拠内容
賃借権の登記民法605条不動産登記法に基づく登記。賃貸人の協力が必要
建物の引渡し借地借家法31条登記に代わる対抗要件。賃貸人の協力不要(鍵の受渡しで達成)

各選択肢の整理:

  • ア(正): 民法605条の通り。登記が原則的な対抗要件。
  • イ(正): 借地借家法31条「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」—正確な記述。
  • オ(誤): 民法上、賃貸人に登記協力義務はない。「必ず応じなければならない」は誤り。特約がない限り、賃借人は賃貸人に対して賃借権の登記を請求する権利を持たない(判例:大判大正10.7.11)。登記協力の特約がある場合に限り、その特約に基づいて登記を求めることができる。
  • エ(正): 借地借家法31条の利用について(登記がなくても引渡しで対抗可)正しい記述。
  • ウ(正): 605条の通り。登記がある賃借権は登記後の第三者取得者に対抗できる。

【対抗要件制度と賃借権の特殊性—物権変動の公示原則と賃借権の非公示問題】

対抗要件制度の基本原則は「物権変動は登記によって公示する」ですが、賃借権(債権)は原則として第三者に対抗できません(債権の相対効)。民法605条は「不動産の賃借権は登記をすれば対抗できる」という例外を設け、借地借家法31条はさらに「建物の引渡し」を代替の対抗要件として認めました。

借地借家法31条の「建物の引渡し」の意味:

「引渡し」=鍵の引渡し・建物への入居実現(現実の支配移転)です。法律上の「引渡し」(現実の引渡し・簡易の引渡し・指図による占有移転等)のうち、建物の賃貸借では「現実に建物を使用収益できる状態になった」ことを指すと解されます。

「引渡し」がない状態での対抗問題(契約締結後・入居前の期間):

入居予定日前に「賃貸借契約は締結済みで鍵はまだ渡していない」という状態では、借地借家法31条の対抗要件(建物の引渡し)を満たしていません。この期間中に不動産が売却された場合、賃借人は新オーナーに賃借権を対抗できない可能性があります。

実務上の対応:入居予定日から逆算した管理(引渡し前に売却が生じた場合の処理方針を管理受託契約に明記)。

「賃借権の登記」が実務でほとんど行われない理由:

理論上は605条の登記で対抗要件を備えられますが、実際の住宅賃貸では賃借権の登記はほぼ行われません。理由:

1. 賃貸人に登記協力義務がない(協力してもらえない場合が多い)

2. 登記申請の費用・手間(賃借人側が登録免許税等を負担)

3. 建物の引渡しで代替できる(実用上は借地借家法31条で足りる)

これが「実務では建物の引渡し(鍵の受渡し)が入居の実質的な完了であり、この時点で賃借権の対抗要件が備わる」という実務慣行の法的根拠です。

定期借家・借地権の登記問題(賃管士試験関連):

定期借家(借地借家法38条)でも借地借家法31条の引渡し対抗要件が適用されます。また借地権(土地の賃借権)については、借地借家法10条「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」という代替対抗要件があります。

住宅賃貸借(建物の賃貸)では「建物の引渡し」、借地(土地の賃貸)では「土地上の建物の登記」が、それぞれ登記に代わる対抗要件として機能します。

根拠: 民法605条(e-Gov 法令検索)、借地借家法10条・31条(e-Gov 法令検索)。確認日2026-06-10。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法605条(e-Gov 法令検索)、借地借家法31条(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法施行規則第19条第1号/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。