賃管士 民法 問45:民法(賃貸人の地位移転・相続)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
民法605条の2第2項の「賃貸人の地位の留保特約」に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア不動産の譲渡人(売主・旧オーナー)と譲受人(買主・新オーナー)が合意することで、旧オーナーが引き続き賃貸人の地位を有する旨の特約(地位の留保)を設けることができる。
- イ地位の留保特約が設けられた場合、旧オーナーは賃借人との賃貸借契約上の貸主としての地位を維持し続ける。
- ウ地位の留保特約が有効なためには、賃借人の同意が必要である。正答
- エ地位の留保特約がある場合、譲受人(新オーナー)は旧オーナーに不動産を賃貸し、旧オーナーが賃借人に転貸する形になる。
- オ地位の留保特約は、サブリース(一括借上げ)スキームにおいて、物件がオーナーチェンジしても引き続きサブリース業者との関係を維持するために利用できる。
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正答はウです。
地位の留保特約(605条の2第2項)は、旧オーナーと新オーナーの二者間の合意で設けることができ、賃借人の同意は不要です。ウの「賃借人の同意が必要」という記述が誤りです。
ただし、留保特約の結果として「新オーナーが旧オーナーに賃貸→旧オーナーが賃借人に転貸」という構造になるため(エの記述)、賃借人は「貸主(地位)が変わった」という実質的な影響を受けないことになります。
アとイとオは地位の留保特約の正確な説明です。
605条の2第2項の構造(地位の留保特約):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特約の当事者 | 旧オーナー(売主)と新オーナー(買主)の二者 |
| 賃借人の同意 | 不要 |
| 留保後の法的関係 | 新オーナー→旧オーナーに賃貸(賃貸借)・旧オーナー→賃借人に転貸(転貸借)の構造 |
| 用途 | サブリース維持・管理受託業者の継続性確保等 |
地位の留保特約が使われる場面(実務):
1. サブリース継続: オーナーチェンジ後も旧オーナー(サブリース業者との契約当事者)が賃貸人地位を維持することで、サブリース業者との関係を継続する
2. 管理体制の維持: 特定の管理会社・オーナー法人が管理を継続するための法的フレーム
3. 複合的な不動産取引: 売買と同時にリースバック契約を設定する場面
各選択肢の整理:
- ア(正): 605条の2第2項「前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をした場合」—旧・新オーナーの二者間合意で可能。
- イ(正): 留保特約により旧オーナーが賃貸人の地位を維持。
- ウ(誤): 賃借人の同意は不要(605条の2第2項参照)。
- エ(正): 留保特約後の法的構造は「新オーナー→旧オーナーへの賃貸」+「旧オーナー→賃借人への転貸(転貸承諾あり)」。
- オ(正): サブリースの維持目的での活用が典型例。
【地位の留保特約とサブリース業界の実務—オーナーチェンジ時のリスク管理】
地位の留保特約(605条の2第2項)はR2改正で条文化されましたが、改正前から実務上は「リースバック契約」「マスターリース継続の売買特約」等の形で行われていた取引を明文化したものです。
サブリースにおける地位の留保特約の実務的活用:
通常のサブリース(マスターリース)構造:
- オーナー A → サブリース業者 B(マスターリース契約・BがAの物件を一括借上)
- サブリース業者 B → 入居者 C(転貸借・CがBの「転借人」)
オーナーチェンジ(A が D に売却)が起きた場合:
留保特約なし(通常の605条の2第1項の適用):
- A の賃貸人地位は D に移転
- D がサブリース業者 B との関係を引き継ぐ(D がマスターリースの貸主になる)
- Bとの関係を D が維持するかどうかが問題
留保特約あり(605条の2第2項の活用):
- D が A に物件を賃貸(A が D から借りる)
- A が B との旧来のマスターリース関係を維持
- B と A の関係は変わらない(B は変更を感じない)
- 実質的に「投資目的の D がオーナーになっても賃貸管理体制が変わらない」
留保特約の注意点(賃管士の視点):
1. 終了時の問題: 留保特約は「D が A に賃貸している間」有効。D から A へのサブリース期間が終了すれば、留保特約も終了し、通常の605条の2第1項の地位移転が生じる可能性がある。
2. 賃貸住宅管理業法の規制との整合: サブリース業者(特定転貸事業者)は業法28〜32条の規制を受ける。地位の留保特約があっても、オーナー(D)への重要事項説明義務は継続する。
3. 借地借家法28条(正当事由)との関係: サブリース業者 B が「家賃を下げてほしい」と言い出した場合、D(実質的なオーナー)が A(名目的な貸主)に賃料減額を求める形になり、複雑な権利関係が生じる。
「リースバック」契約との混同に注意:
地位の留保特約とよく混同される「リースバック」は、「不動産を売却した後に売主が買主から賃借して住み続ける契約形態」です。高齢者の生活資金確保等で利用されます。
リースバックと地位の留保特約の違い:
- リースバック:売主が売却後に「賃借人」として建物に住む(賃借人は元オーナー)
- 地位の留保:旧オーナーが売却後も「賃貸人の地位」を維持する(旧オーナーは転貸人)
賃管士試験では両者の法的構造を正確に区別することが求められます。
根拠: 民法605条の2(e-Gov 法令検索)、令和2年4月施行民法改正。確認日2026-06-10。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法605条の2第2項(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。