問題
賃貸不動産の売却(オーナーチェンジ)に伴う敷金の承継に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイです。
民法605条の2第4項(R2改正で明文化)は「第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する」と規定しています。
新オーナーが敷金を引き継ぐのに賃借人の同意は不要(オが誤り)。旧オーナーが敷金を費消していても新オーナーの義務は変わりません(ウが誤り)。
605条の2第4項の敷金承継の要件と効果:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 承継の条件 | 賃貸人の地位が移転した場合(当然に承継) |
| 賃借人の同意 | 不要(605条の2第4項) |
| 旧オーナーが費消していた場合 | 新オーナーが承継→新オーナーが返還義務を負う |
| 売買代金への反映 | 実務上、敷金相当額を売買代金から控除するか別途引渡し |
各選択肢の整理:
- ア(誤): 旧オーナーは地位移転後は賃貸人でなくなるため、退去時の敷金返還義務は新オーナーが承継する。
- イ(正): 605条の2第4項の通り。敷金返還義務は新オーナーに当然承継。
- ウ(誤): 旧オーナーが敷金を費消していた場合でも、新オーナーが敷金返還義務を承継する(新オーナーが損害を受けた場合は旧オーナーに売買上の損害賠償を求めることになる)。
- エ(誤): 原状回復費用の負担は新オーナー(現在の賃貸人)が処理する。旧・新オーナーで按分する制度はない。
- オ(誤): 三者合意(賃借人の同意)は不要。
【オーナーチェンジ時の敷金トラブルと実務的な予防策—売買側と管理側の役割分担】
オーナーチェンジ時の敷金問題は、不動産売買・賃貸管理の双方で対応が必要な複合的な問題です。
旧オーナーが敷金を費消していた場合の連鎖:
1. A(旧オーナー)が賃借人 C から敷金100万円を受け取った
2. A が売却前に100万円を費消(手元に残っていない)
3. A が D(新オーナー)に売却→D が敷金返還義務を承継(605条の2第4項)
4. C が退去→D は100万円の返還義務を負う(手元に資金がない可能性)
5. D は A に売買上の損害賠償を請求する(売買契約での表明保証違反等)
この連鎖を防ぐために実務では:
売買時の予防策(売買仲介の宅建業者・管理会社の役割):
1. 敷金額の正確な把握: 全賃借人の敷金残高を売買前に明確にする(残高一覧の作成)
2. 売買代金への反映: 敷金相当額を売買代金から差し引く(または別途精算)
3. 買主への情報提供: 賃借人ごとの敷金の額と承継の扱いを買主に正確に伝える(売買の重要事項説明(宅建業法35条1項)の列挙事項として明記された項目ではないが、取引判断に重要な情報として説明しておくことが望ましい)
4. 交付確認: 旧オーナーが敷金実額を売買時点で新オーナーに引き渡す(または口座移管)
管理会社の役割(敷金管理の適正実施):
賃貸住宅管理業法16条の分別管理義務により、管理会社が管理受託契約に基づいて受領した敷金等は、管理会社自身の固有財産や他の管理受託契約に基づく金銭と分別して管理されています。物件の売買があった場合:
1. 管理会社が管理する敷金残高を新・旧オーナーに報告
2. 旧オーナー名義の口座(分別管理口座)から新オーナー名義の口座へ移管
3. 管理受託契約の当事者変更(旧オーナー→新オーナー)の手続き
4. 賃借人への「オーナー変更のお知らせ」発送
これら一連の処理を適切に行うことが、管理会社が「安心できる管理パートナー」として新・旧オーナー双方から信頼される要素です。
「敷金ゼロ物件」のオーナーチェンジ:
敷金ゼロ(保証会社利用)の物件では、承継すべき敷金がないため手続きがシンプルです。ただし保証会社との業務委託契約の名義変更(旧オーナー→新オーナー)の手続きは必要になります。
管理会社が「オーナーチェンジ時の標準処理フロー」として上記を整備しておくことが、賃貸住宅管理業者としての専門性を示す重要な実務能力です。
根拠: 民法605条の2第4項(e-Gov 法令検索)、賃貸住宅管理業法16条(分別管理義務)(e-Gov 法令検索)。確認日2026-06-10。
- 民法第605条の2e-Govで原文を読む
- 宅地建物取引業法第35条e-Govで原文を読む
- 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第16条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法605条の2第4項(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法施行規則第19条第1号/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

