賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 民法 問47|賃貸人の地位移転と賃借人の同意要否

問題

賃管士 | 民法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

A所有のマンション(入居中の賃借人あり)をBに売却した場合の、賃貸人の地位の移転に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。 ア. 賃借人が対抗要件(建物の引渡し)を備えている場合、Aの賃貸人としての地位はBに移転するが、賃借人の承諾が必要である。 イ. 賃借人が対抗要件を備えている場合、Aの賃貸人としての地位はAとBの合意だけでBに移転し、賃借人の承諾は不要である。 ウ. 賃貸人の地位がBに移転した後、賃借人がAに賃料を支払い続けても、その支払いはBへの支払いとして扱われる。 エ. 賃借人が対抗要件を備えていない場合(建物の引渡しを受けていない場合)には、AとBが賃貸人たる地位を移転させる旨の合意をしても、賃借人の承諾がなければ、Aの賃貸人としての地位はBに移転しない。 オ. BはAから賃貸人の地位を承継した後、「自己が所有者であり賃貸人である」ことを賃借人に主張するには、移転登記が必要である。

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答え合わせ

正解は a
  • a
  • b
  • c
  • d
  • e

自信の3択

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解説

正答はa(イとオ)です。

イ(正): 民法605条の2第1項により、賃借人が対抗要件を備えている場合、不動産が売主(A)から買主(B)に譲渡されれば賃貸人の地位はBに移転します(賃借人の承諾不要)。

オ(正): 605条の2第3項「第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない」—BがAから地位を承継したとしても、移転登記なしでは賃借人に「私が新しい賃貸人です」と主張できません。

アは「賃借人の承諾が必要」が誤り。ウは「Aへの支払いが当然Bへの支払い」という説明が誤りで、実際には支払先の変更通知が必要です。エも誤りで、605条の3により、AとBの合意があれば賃借人の承諾なしに賃貸人たる地位を移転させることができます(賃借人の対抗要件の有無を問いません)。

605条の2の「移転と対抗」の二段階整理:

段階内容賃借人の同意
移転(発生)A・Bの合意+賃借人が対抗要件を備えている→当然に移転不要
対抗(主張できる)BがAから移転した旨を賃借人に主張するには登記が必要—

各選択肢の整理:

  • ア(誤): 「賃借人の承諾が必要」→605条の2第1項により不要。
  • イ(正): A・Bの合意のみで移転し、賃借人の承諾は不要(605条の2第1項)。
  • ウ(誤): 賃借人がAに賃料を支払い続けた場合、Bへの支払いとみなされるわけではない。移転後はBへの支払いが正当であり、Aへの支払いが無効とはならないが、AがBに転送しなければトラブルになる。「当然Bへの支払いとして扱われる」という自動振替は生じない。
  • エ(誤): 605条の3は「不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる」と定める。賃借人が対抗要件を備えていなくても、A・Bの合意で移転させられる(605条の2第1項は、対抗要件がある場合に合意がなくても当然に移転するという規定)。
  • オ(正): 605条の2第3項の通り。Bが賃借人に賃貸人たる地位を主張するには移転の登記が必要。

【605条の2の「移転と対抗」の法的構造—「対抗できない」の意味の深掘り】

「賃貸人の地位移転を賃借人に対抗するには登記が必要」(605条の2第3項)という規定は、一見すると「登記がなければ移転の効力がない」とも読めますが、正確には「移転は発生しているが、賃借人はその移転を認める義務はない」という意味です。

「対抗できない」=「賃借人が否定できる」という意味:

移転の登記前の状態:

  • 所有権はAからBに移っている(売買契約による。登記は未了)
  • 賃貸人の地位は法律上Bに移転している(605条の2第1項の条件充足)
  • しかし賃借人はBを「自分の賃貸人」として認識する義務はない(対抗できない)
  • 賃借人はAを賃貸人と認識し、Aに賃料を支払い続けることも許容される

移転の登記後の状態:

  • BはAが賃貸人であった時の地位を完全に引き継ぐ
  • 賃借人はBを賃貸人として認識し、Bに賃料を支払う義務が生じる

実務上の問題(登記前に賃料をどちらに払うか):

オーナーチェンジ後、移転登記が完了する前の期間(通常は数日〜1ヶ月程度)に生じる問題:

  • 賃借人はAを賃貸人として認識し続けることが許容される
  • AはBに代わって賃料を受領する権限(代理等)を持っていないかもしれない
  • 混乱が生じるリスクがある

実務的な解決策:

  • 売買契約に「引渡し日以降の賃料はBに支払うよう賃借人に通知する」旨を明記
  • A・B連名の通知書を賃借人に送付(「賃貸人がAからBに変わりました・〇月〇日以降はBに賃料を支払ってください」)
  • 管理会社が引き続き賃料収納を行い、収納先口座をBのものに変更する

管理受託契約の切替え(実務チェックポイント):

オーナーチェンジ時に管理会社が行うべき手続きの標準フロー:

1. 新旧オーナーの確認(売買契約書・登記簿確認)

2. 管理受託契約の名義変更(A→B)または新規締結

3. 賃借人への「オーナー変更のお知らせ」発送(賃料支払先・問合せ先の変更告知)

4. 敷金の口座移管(Aの管理口座→Bの管理口座)

5. 各種保険(火災保険等)の名義変更の確認

6. 鍵・管理書類の引継ぎ確認

これらの処理を「物件引渡し日」に合わせてスムーズに行うことが、管理会社が新オーナー(B)から信頼される管理業務の実践です。

根拠: 民法605条の2第1項・第3項(e-Gov 法令検索)、令和2年4月施行民法改正。確認日2026-06-10。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法605条の2第1項・第3項・605条の3(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法施行規則第19条第1号/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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