賃管士 民法 問50:民法(賃貸人の地位移転・相続)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
賃借人が死亡した場合の賃貸借関係に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア賃借人が死亡した場合、賃貸借契約は直ちに終了する。
- イ賃借人の死亡後、相続人が賃借権を相続した場合、相続人は当然に当該物件に居住し続けることができる。
- ウ賃借人の内縁の配偶者は法律上の相続人ではないため、賃借人の死亡後に当該物件に居住し続ける法的根拠がなく、直ちに退去しなければならない。
- エ賃借人が死亡した場合、同居していた内縁の配偶者は、賃借権を相続した相続人の意思に関係なく、借地借家法36条の規定により居住を継続することができる場合がある。正答
- オ賃借人の相続人全員が相続放棄をした場合でも、賃借権は消滅せず相続人がいるものとして処理される。
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正答はエです。
借地借家法36条は「居住用建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合、その建物に同居していた事実婚の内縁配偶者や生計を同じにしていた養子縁組していない者は、賃借人の権利義務を承継する」と規定しています。
ウの「直ちに退去しなければならない」は誤りです。36条の保護が及ぶ場合、内縁配偶者は退去しなくてよいのです。
なお、相続人がいる場合に内縁配偶者が保護されるかどうかは、最判昭42.2.21において「相続人が賃借権を相続し、内縁配偶者は相続人の賃借権を援用して使用継続できる」という解釈が示されています。
賃借人死亡と居住権の処理(場面別):
| 場面 | 処理 |
|---|---|
| 相続人あり・内縁配偶者なし | 相続人が賃借権を相続(896条)。賃貸借継続 |
| 相続人あり・内縁配偶者も同居 | 相続人が賃借権を相続+内縁配偶者は相続人の賃借権を援用できる(最判昭42.2.21) |
| 相続人なし・内縁配偶者あり | 借地借家法36条が保護(内縁配偶者が賃借権を承継) |
| 相続人全員が相続放棄 | 賃借権の行方は複雑(国庫帰属・相続財産管理人等)→賃貸人は明渡請求の手続きが必要 |
各選択肢の整理:
- ア(誤): 賃借人死亡で賃貸借は当然終了しない(相続人が承継)。
- イ(正): 相続した賃借権に基づいて当然に居住継続可能(承継した賃借権の正当な行使)。
- ウ(誤): 借地借家法36条・最判昭42.2.21の保護があるため「直ちに退去」は誤り。
- エ(正): 借地借家法36条(相続人なしの場合)または最判昭42.2.21の援用(相続人ありの場合)により、内縁配偶者が居住継続できる場合がある。
- オ(誤): 全員が相続放棄した場合、相続人がいない状態→賃借権は相続財産法人に帰属し、最終的には清算→消滅(または相続財産管理人が処理)。「消滅せず相続人がいるとして処理される」は誤り。
【内縁配偶者の居住保護—最判昭42.2.21と借地借家法36条の使い分け】
賃借人死亡後の内縁配偶者の居住保護は、判例(最判昭42.2.21)と借地借家法36条の二本立ての保護体系を理解することが重要です。
最判昭42.2.21(相続人あり・内縁配偶者の援用):
事案:賃借人Aが死亡。相続人(Aの子B)が賃借権を相続。Aの内縁の妻Cが同居していた。
判旨:「Cは、BがAの賃借権を相続したことによって生じたBの賃借人たる地位を援用して、当該建物に居住し続けることができる」
援用の条件(実務上の解釈):
- Bが賃借権を正式に相続して賃貸借を継続している限り、CはBの賃借権を「借りて」使用できる
- Bが「賃借権を放棄する(解約する)」または「Cに出ていくよう求める」場合はどうなるか→議論がある(Bの相続後の処分に対するCの保護の限界)
借地借家法36条(相続人なし・内縁配偶者の承継):
借地借家法36条は「賃借人が相続人なしに死亡した場合の特別規定」:
1号:「居住用建物の賃借人が相続人なくして死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する」
2号:1号の場合、賃貸人が1号の規定による権利義務の承継を好まないときは、相続人の死亡後1ヶ月以内に反対の意思を表示することができる(この場合、権利義務の承継は生じない)
→ 賃貸人が1ヶ月以内に反対を通知しなければ、内縁配偶者等が賃借権を承継する。
管理会社の実務対応(賃借人死亡時):
1. 賃借人の死亡を把握→速やかに相続人の確認
2. 同居者の有無を確認(内縁配偶者・親族等)
3. 相続人がいる場合:相続人に連絡・賃借権の相続の確認
4. 相続人なし・同居者あり:借地借家法36条の処理→1ヶ月以内に賃貸人(オーナー)に報告・「承継を認めるか反対するか」の判断を促す
5. 全員相続放棄の場合:家庭裁判所に相続財産管理人選任申立てを検討(賃貸人が申立てる場合もある)
これらの判断は法的に複雑であり、管理会社だけで判断せずに弁護士・司法書士等の専門家と連携することが望ましいケースも多くあります。
根拠: 民法896条・938条・939条(e-Gov 法令検索)、借地借家法36条(e-Gov 法令検索)、最判昭42.2.21(内縁配偶者の借家権援用)。確認日2026-06-10。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法896条・915条・938条(e-Gov 法令検索)、借地借家法36条(e-Gov 法令検索)、最判昭42.2.21(内縁配偶者の借家権援用) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。