賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 借地借家法 問11|造作買取請求権

問題

賃管士 | 借地借家法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

借地借家法33条(造作買取請求権)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。 ア. 賃借人が賃貸人の同意を得て建物に取り付けた造作は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、賃借人が賃貸人に対して時価で買い取るよう請求することができる。 イ. 造作買取請求権は、賃借人が賃貸人の同意なく取り付けた造作には適用されない。 ウ. 造作買取請求権は、特約によって排除することができる。 エ. 造作買取請求権の行使によって、賃貸人が造作の買取代金を支払うまで賃借人は建物を明け渡さなくてよい(同時履行の抗弁)。 オ. 転借人(転貸借の借主)が賃借人(転貸人)の同意を得て取り付けた造作は、賃貸人に対して造作買取請求権を行使することができる。

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正解は a
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解説

正答はa(アとイとウ)です。

ア(正): 借地借家法33条1項の通り。賃貸人の「同意を得て取り付けた造作」を時価で買い取るよう請求できます。

イ(正): 33条1項「賃貸人の同意を得て建物に付加した造作」が対象であり、同意なく取り付けた造作には適用されません。

ウ(正): 33条は任意規定(賃借人に不利な特約を無効とする37条は31条・34条・35条だけを挙げ、33条を含まないため)→特約で排除可能。

エ(誤): 造作買取請求権は形成権であり行使により売買契約が成立しますが、同時履行の抗弁(明渡しを拒絶できる権利)は認められません(判例の立場)。

オ(誤): 33条2項は転借人が「賃貸人の同意を得て」取り付けた造作に適用(賃借人の同意だけでは不十分)。

借地借家法33条の要件・効果の整理:

項目33条1項(借主→賃貸人)33条2項(転借人→賃貸人)
対象の造作賃貸人の同意を得て取り付けた造作賃貸人の同意を得て取り付けた造作
請求先賃貸人賃貸人(転貸人ではなく賃貸人)
買取価格時価時価
排除特約可能(任意規定)可能
同時履行の抗弁認められない(判例)同上

「造作」の定義(実務上の判断基準):

造作とは「建物に取り付けられて建物と一体化し、建物の使用価値を増加させる物」です。

典型的な造作の例:

  • エアコン(賃貸人の同意を得て設置した場合)
  • 洗面台・浴室設備の追加設置
  • 特注の収納棚・カウンター(取り外しが困難なもの)

造作に該当しない可能性があるもの:

  • 家具(独立して移動できるもの)
  • 電球・照明器具(取り外し可能なもの)

各選択肢の整理:

  • ア(正): 33条1項の通り。
  • イ(正): 同意なし取付は対象外。
  • ウ(正): 任意規定→特約で排除可能。
  • エ(誤): 同時履行の抗弁は認められない(最高裁の立場)→造作買取代金の支払いを求めながら退去を拒否することはできない。
  • オ(誤): 33条2項「賃貸人の同意を得て…」が要件→賃借人(転貸人)の同意だけでは不十分。

【造作買取請求権の実務—管理会社が押さえるべき排除特約と「造作」の範囲の判断】

造作買取請求権(33条)は実務上「排除特約が一般的に盛り込まれている」という現状があります。その背景と実務的な注意点を整理します。

排除特約が一般化している理由:

賃貸人(オーナー)にとって「賃借人が取り付けた造作を時価で買い取らなければならない」というのは経済的な負担です。特に:

  • 退去時に「このエアコンは時価20万円で買い取れ」と言われる問題
  • 賃借人の趣味・用途に合わせた改造(賃貸人が必要としない)を買い取らされる問題

これらを防ぐために「造作買取請求権を排除する旨の特約」が広く用いられています。

代表的な特約文言:

「退去時において、賃借人が取り付けた造作その他の付加物(賃貸人の承諾の有無を問わず)について、賃借人は賃貸人に対して買取りを請求する権利を有しない。また撤去して原状に復するか、または貸主の承諾を得て撤去しないことができる」

排除特約と「原状回復」の連動:

造作を取り外して原状回復する義務(賃借人が設置した造作を持ち帰る義務)と、造作買取請求権の排除は連動して設計されることが一般的です。

  • 排除特約なし・造作の取り外しを求めた場合→賃借人は33条の請求権行使→賃貸人が時価で買い取る義務
  • 排除特約あり→賃借人は時価請求できない→自分で造作を撤去して退去するか、賃貸人の同意を得て置いていく

エアコンの取り扱い(最重要実務論点):

賃貸住宅に設置されているエアコンは「賃貸人所有(賃貸設備)」か「賃借人が取り付けた造作(私物)」かの区分が重要です:

  • 賃貸人所有エアコン→退去時に持ち帰れない(賃貸設備)→故障修繕は賃貸人の義務
  • 賃借人が設置したエアコン(排除特約なし)→33条の対象になりうる
  • 賃借人が設置したエアコン(排除特約あり)→時価請求不可・撤去して退去が原則

管理会社は入居時に「物件内の設備の所有区分(賃貸人設備 vs 賃借人設備)」を明確にした「設備一覧表」を賃借人に交付し、退去時のトラブルを防止することが専門業者としての実務です。

根拠: 借地借家法33条(e-Gov 法令検索)。確認日2026-06-10。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法33条(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法施行規則第19条第1号/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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