賃管士 借地借家法 問14:借地借家法(定期借家)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
定期建物賃貸借における事前説明義務(借地借家法38条3項)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア賃貸人は、定期建物賃貸借契約の締結前(または締結と同時)に、賃借人に対して「更新がなく、期間満了で終了する旨」を記載した書面を交付して説明する義務がある。
- イ事前説明の書面は、賃貸借契約書とは別に独立した書面でなければならない(最高裁平成24年判決)。
- ウ事前説明義務を怠った場合、定期建物賃貸借として効力を生じず、通常の(更新のある)建物賃貸借として成立する。
- エ令和4年5月施行の改正により、事前説明書面は電磁的方法(メール・電子ファイルの送付等)によって提供することも認められるようになった。
- オ事前説明書面は、賃貸人または宅地建物取引士等の専門家から説明を受ける必要があり、賃借人本人が読んで理解するだけでは説明の要件を満たさない。正答
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正答はオです。
「宅地建物取引士等の専門家から説明を受ける必要がある」という記述が誤りです。
借地借家法38条3項は「賃貸人は…書面を交付して説明しなければならない」と規定しており、説明者は「賃貸人(またはその代理人)」で足り、「宅建士等の専門家」である必要はありません。
ただし宅建業者が媒介する場合、宅建業法35条の重要事項説明(宅建士が行う)と38条3項の事前説明(賃貸人が行う)は別の義務であり、実務上は宅建士が一体的に行うことが多いです。
エはR4改正で電磁的方法も可能になったという正確な記述です。
38条3項の事前説明義務の内容:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 説明の義務者 | 賃貸人(またはその代理人・管理会社等)※宅建士等に限定されない |
| 説明のタイミング | 契約締結前または契約締結と同時 |
| 方法 | 書面または電磁的方法(R4改正で電磁的方法を追加)で交付し、口頭で説明 |
| 書面の内容 | 「更新がなく、期間満了で終了する旨」 |
| 別書面の要件 | 契約書とは別の独立した書面(最判平24.9.13) |
| 欠いた場合の効果 | 定期借家として無効→普通借家として成立 |
R4改正(令和4年5月)による電磁的提供の追加:
改正前:書面(紙)のみ
改正後:「書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供」が可能
電磁的方法の例:
- メール添付でのPDF送付
- クラウドサービス・電子署名サービスを通じた電子書面
ただし「賃借人が承諾した場合に限り」電磁的方法が許容される(書面優先・電磁的は選択肢)。
各選択肢の整理:
- ア(正): 38条3項の義務の正確な記述。
- イ(正): 最判平24.9.13の通り。別書面が必要。
- ウ(正): 事前説明義務違反→定期借家無効→普通借家成立(38条3項の効果)。
- エ(正): R4年5月施行の改正で電磁的方法も可能になった。
- オ(誤): 説明者は「賃貸人」で足り、宅建士等の専門家資格は不要。
【R4改正と電子契約時代の定期借家—事前説明のデジタル対応と課題】
令和4年5月施行の改正により、定期借家の事前説明書面が電磁的方法(電子メール等)でも提供可能になりました。これはデジタル化・電子契約普及の流れに対応したものです。
電磁的方法による提供の具体的な要件(改正後38条):
1. 賃借人の「承諾」が必要(書面優先・電磁的は任意選択)
2. 電磁的方法の種類:
- 電子メール添付(PDF等)
- 電子署名サービス(クラウドサイン・ドキュサイン等)
- ウェブサービス上でのファイル閲覧・ダウンロード
3. ただし「電磁的方法での提供」は書面交付の代替であり、「口頭での説明義務」は残る
「口頭での説明」義務の維持(重要):
電磁的提供が認められても、「書面を交付して説明する」という条文上の「説明」部分(口頭説明)は維持されます。
つまり:
- 電磁的方法(メール)でファイルを送る→「書面交付」の代替OK
- しかし「口頭で説明する」義務はそのまま→電話・ビデオ通話・直接面談等で口頭説明が必要
電子契約サービスを使った「完全非対面」での定期借家締結でも、「口頭説明」をどのように実施するかは実務上の課題です。電話での説明記録・ビデオ通話の記録保存が推奨されます。
宅建業法35条(重要事項説明)との違いと連動:
| 比較軸 | 宅建業法35条の重説 | 借地借家法38条3項の事前説明 |
|---|---|---|
| 義務者 | 宅地建物取引士 | 賃貸人(または代理人)|
| 対象事項 | 物件・取引条件等(多項目) | 定期借家の「更新なし・期間満了終了」の1点 |
| 書面形式 | 重要事項説明書 | 別書面(独立した1枚) |
| 電磁的対応 | R3改正で可能(宅建士の記名電子化等) | R4改正で可能 |
| 不備の効果 | 業法違反(行政処分)・取消可能性 | 定期借家無効→普通借家 |
実務上、宅建業者が媒介する定期借家契約では「35条重説(宅建士が行う)」と「38条3項事前説明(賃貸人が行う・実際には宅建士が代行することも多い)」を区別して行います。
管理会社の定期借家取扱いのチェックリスト(全要件の確認):
1. 書面または電磁的記録による契約(38条1項)→契約書の形式確認
2. 「更新しない旨の定め」の記載(38条1項)→契約書の文言確認
3. 事前説明書面の独立性(最判平24.9.13)→別紙として独立
4. 事前説明のタイミング(契約前)→説明日と契約締結日の確認
5. 電磁的提供の場合の賃借人承諾(R4改正)→承諾の記録保存
6. 口頭説明の実施と記録→説明内容の確認署名・記録保存
根拠: 借地借家法38条3項(e-Gov 法令検索)、令和4年5月施行改正(電磁的方法による事前説明書面提供)。確認日2026-06-10。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法38条3項(e-Gov 法令検索)、令和4年5月施行改正(電磁的方法による提供) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。