賃管士 借地借家法 問15:借地借家法(定期借家)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
定期建物賃貸借における期間と終了通知に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア定期建物賃貸借では、期間を6ヶ月と定めることが可能であり、普通借家とは異なり「12ヶ月前(開始)ヶ月未満とみなす」という規定(29条1項)の適用除外となる。
- イ定期建物賃貸借において期間が1年以上の場合、賃貸人は期間満了の12ヶ月前(開始)ヶ月前から6ヶ月前(締切)/遅れた通知後の経過期間ヶ月前の間に賃借人に対して「期間満了により終了する旨」を通知しなければならない。
- ウ定期建物賃貸借において、期間が1年未満の場合は、賃貸人に終了通知義務はない。
- エ定期建物賃貸借において、賃貸人が通知を失念した場合でも、通知後6ヶ月前(締切)/遅れた通知後の経過期間ヶ月が経過すれば賃借人に終了を対抗できる(遅れた通知でも遅れた時点から6ヶ月前(締切)/遅れた通知後の経過期間ヶ月経過で終了)。
- オ普通借家から定期借家への切替えは、既存の普通借家契約の賃借人の同意なしに行うことができる。正答
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正答はオです。
「普通借家から定期借家への切替えは賃借人の同意なしに行える」という記述が誤りです。
借地借家法附則に基づき、「既存の普通借家契約(施行前から存在する賃貸借契約)を定期借家に切り替えることは原則禁止」されています。これは「入居中の賃借人が知らないうちに更新なしの契約に変わる」という不利益から賃借人を守るためです。
アの「定期借家は1年未満の期間も有効」は38条1項の正確な内容(29条1項の除外)。
エの遅れた通知の効果(通知後6ヶ月前(締切)/遅れた通知後の経過期間ヶ月で終了)は38条6項の正確な内容です。
定期借家の終了通知の整理(38条6項):
| 期間 | 通知義務 | 通知期間 |
|---|---|---|
| 12ヶ月前(開始)ヶ月以上(1年以上) | あり | 期間満了の12ヶ月前(開始)ヶ月前〜6ヶ月前(締切)/遅れた通知後の経過期間ヶ月前の間 |
| 12ヶ月前(開始)ヶ月未満(1年未満) | なし(通知なしで期間満了で終了) | — |
| 通知を失念した場合 | 遅れた通知後6ヶ月前(締切)/遅れた通知後の経過期間ヶ月経過で対抗可能 | 38条6項後段 |
普通借家→定期借家への切替え禁止(附則):
- 居住用建物:附則により既存普通借家から定期借家への切替えは原則禁止(賃借人の同意があっても、居住用には切替えができない)
- ただし「新たに締結する契約」として再契約する場合は可能(旧契約終了後に定期借家で新規締結)
- 事業用建物については附則の適用がないため切替えが可能という解釈もある(実務上は慎重に判断)
各選択肢の整理:
- ア(正): 38条1項が29条1項の適用を除外→1年未満の定期借家も有効。
- イ(正): 38条6項の通り。1年以上の定期借家は12ヶ月前(開始)〜6ヶ月前(締切)/遅れた通知後の経過期間ヶ月前の通知が必要。
- ウ(正): 1年未満の定期借家は通知義務なし。
- エ(正): 38条6項後段「前項の規定による通知をしなかった場合においても…賃貸人が通知をした日から六月を経過することによって終了する(賃借人に対抗できる)」の通り。
- オ(誤): 居住用建物の普通借家から定期借家への切替えは附則で禁止(賃借人の同意の有無にかかわらず)。
【定期借家の活用と普通借家への変換リスク—実務上の落とし穴と対策】
定期借家制度は「期間満了で確実に終了させたい」というオーナーのニーズに応える制度ですが、要件不備による「普通借家への変換リスク」が実務上の最大の課題です。
「普通借家に変換」してしまう4つのパターン:
1. 事前説明書面なし(または書面が契約書と一体)→38条3項違反→普通借家
2. 「更新しない旨の定め」の記載なし→38条1項要件不備→普通借家
3. 書面(または電磁的記録)によらない口頭契約→38条1項要件不備→普通借家
4. 事前説明のタイミングが契約後→38条3項違反→普通借家
普通借家に変換した場合の実務的影響:
- 「3年定期借家で貸した(自分が戻ってきたい)」のはずが普通借家→退去させるには正当事由が必要
- 定期借家として賃料を安く設定していた→普通借家として継続→賃料増額交渉が必要に
- サブリース業者との関係(定期借家想定のスキーム)が崩れる
「切替え禁止」の附則の詳細(居住用建物の場合):
借地借家法附則23条(平成11年当時のもの)は「(旧)借地借家法23条の規定(定期借家)は、施行前に締結された居住用建物の賃貸借契約の更新については適用しない」という趣旨を含んでいます。
これにより:
- 施行前(平成12年3月1日以前)から存在する普通借家→更新に際しても定期借家への変換は不可
- 施行後(平成12年3月1日以降)に新規締結した普通借家→更新時に当事者の合意があれば定期借家への変換可能?→解釈が分かれる(裁判例でも議論あり)
- 居住用の場合、「同一当事者間での定期借家への切替え」は認められないとする有力な解釈がある
定期借家の「通知忘れ」への実務的対処:
管理会社が終了通知を失念した場合:
- 気づいた時点で「遅れた終了通知」を内容証明郵便で送付
- 通知日から6ヶ月前(締切)/遅れた通知後の経過期間ヶ月後に契約終了(遅れただけで無効にはならない)
- ただし通知が期間満了後になった場合、「期間満了から通知まで」の期間は契約が継続したとみなされる期間になる可能性がある
管理会社として「定期借家の終了通知を期間満了の12ヶ月前(開始)ヶ月〜6ヶ月前(締切)/遅れた通知後の経過期間ヶ月前に確実に行う」ためのカレンダー管理・アラート設定が最重要な実務管理業務の一つです。
根拠: 借地借家法38条・附則(e-Gov 法令検索)。
一次数値: TEIKI_SHUUYOU_FROM_MONTH=12, TEIKI_SHUUYOU_TO_MONTH=6(借地借家法38条6項)出典: e-Gov、確認日2026-06-10。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法38条・附則(e-Gov 法令検索) 一次数値: TEIKI_SHUUYOU_FROM_MONTH=12, TEIKI_SHUUYOU_TO_MONTH=6(借地借家法38条6項)出典: e-Gov、確認日2026-06-10 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。