賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 借地借家法 問21|居室内の残置物——モデル契約条項と賃借人死亡時の処理

問題

賃管士 | 借地借家法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

賃借人の死亡後に居室内に残された動産(残置物)の処理に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。なお、国土交通省・法務省が策定した「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(2021年)を参照すること。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はアです。

国土交通省・法務省が2021年(令和3年)に策定した「残置物の処理等に関するモデル契約条項」は、単身高齢者の孤独死後の残置物問題に対応するために作成されました。このモデル条項では、賃借人が生前に受任者(親族・友人・家賃債務保証会社等)を指定し、賃借人の死亡後に受任者が残置物を処理できる仕組みを整備しています。アが正しい記述です。

民法上、賃貸人が自力で残置物を処分することは原則として許されません(自力救済禁止・イは誤り)。また残置物は相続財産です(ウは誤り)。モデル条項の受任者は、特別な規定によって死後も代理権を維持できます(オは誤り)。

残置物処理モデル契約条項の概要:

項目内容
策定者国土交通省・法務省
策定年令和3年(2021年)6月(6月7日公表)
目的単身高齢者の孤独死後の居室明渡・残置物処理を円滑化
仕組み賃借人が生前に「受任者」を指定し、死亡後の処理を委任
受任者親族・友人・家賃債務保証会社・NPO等
民法の例外処理委任の死後効(民法653条の例外)を明示的に設計

各選択肢の解説:

  • イ(誤): 民法は自力救済を禁止しており、賃貸人単独での残置物処分は不可(不法行為・横領に問われるリスク)。相続人や管理人の同意が必要です。
  • ア(正): モデル契約条項の核心です。受任者を事前指定することで死後の処理が可能になります。
  • ウ(誤): 残置物は相続財産(動産)に含まれ、賃貸人は所有権を取得しません。無断処分は相続人への不法行為となります。
  • エ(誤): 家庭裁判所の許可は相続財産清算人(2023年4月施行の改正前は相続財産管理人)が一定の処分をする場面などで問題になりますが、全ての残置物処理に裁判所の許可が必要なわけではありません。相続人が同意すれば任意処分も可能です。
  • オ(誤): モデル契約条項は民法653条(委任者死亡による代理権消滅)の例外を設け、受任者の代理権が賃借人死亡後も維持されるよう設計されています。これがモデル条項の意義です。

【残置物モデル契約条項の法的構造・民法の壁と解決策・実務運用の詳細】

1. 問題の背景——単身高齢者の孤独死と残置物問題

日本の賃貸住宅市場では単身高齢者の入居拒否が社会問題化しています。その原因の一つが、入居者が孤独死した際の「居室内残置物処理の困難さ」です。

残置物処理が困難な理由:

  • 自力救済禁止の原則: 賃貸人が独自に残置物を処分すると、相続人から不法行為・横領の責任を追及されるリスクがある
  • 民法651条・653条の壁: 委任契約は委任者(賃借人)の死亡によって当然終了するため、生前に家賃債務保証会社等に処理を委託していても、死亡後は法的根拠を失う
  • 相続人不明・相続人が対応しない: 遠方の相続人が関与せず、居室が長期間放置されるケース

2. モデル契約条項の構造(2条の委任)

モデル契約条項は、賃貸借契約に「2つの委任契約」を付随させる設計です:

委任内容委任者受任者
第1委任(解除関係委任)賃借人の死亡後に賃貸借契約を解除する代理権の付与賃借人受任者
第2委任(残置物処理委任)賃借人の死亡後に残置物を処理する権限の付与賃借人受任者

民法653条の例外処理: 通常、委任者の死亡により代理権は消滅しますが(民法111条・653条)、モデル条項は「賃借人の死亡後も受任者の代理権は消滅しない」旨を明示的に合意することで、この問題を回避します。これは民法の任意規定からの外れで、特約として有効です。

3. 受任者の範囲と費用

モデル条項で想定される受任者:

  • 家賃債務保証会社(最も現実的・費用の見通しが立てやすい)
  • 親族・友人(無償が多いが確実性に課題)
  • NPO法人・後見人

費用負担: 残置物処理費用は原則として賃借人の相続財産から充当し、不足分は受任者が立て替える設計。相続人が判明した場合は相続人に請求。

4. 賃貸人が踏んではいけない地雷(実務)

NG行為リスク
相続人・受任者の同意なく残置物を勝手に処分相続人への不法行為(損害賠償)・横領罪(動産の所有権は相続人に帰属)
残置物を「廃棄物」として業者に委託(許可なし)廃棄物処理法違反
賃料滞納を口実に残置物を担保として保管民法上の自力救済・不当利得

5. 賃管士試験での出題傾向

モデル契約条項は令和3年策定であり、令和5年度以降の試験で出題が増加しています。ポイントは:

  • 「受任者の事前指定」という仕組みの理解
  • 「民法653条の例外を特約で設ける」という法的構造
  • 「受任者≠賃貸人」(賃貸人は受任者に選任されることができるが、利益相反の観点から注意)
  • 「高齢者・単身者の入居拒否問題への政策的対応」という立法趣旨
この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国土交通省・法務省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(令和3年6月7日公表)・民法第651条・第653条(委任の終了) 確認日: 2026-06-10 出典: 国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr5_000001.html 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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