賃管士 借地借家法 問22:借地借家法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
賃貸人による普通借家契約の更新拒絶に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア賃貸人が更新を拒絶するためには、賃貸人に正当事由(借地借家法28条)が必要であり、正当事由がない更新拒絶は効力を生じない。
- イ借地借家法28条の正当事由の判断要素には、建物の使用を必要とする事情、建物の現況、賃借人が建物の使用を必要とする事情等が含まれ、財産上の給付(立退料)の申出も考慮される。
- ウ賃貸人が賃借人に対して立退料を支払うことを申し出た場合、その申出があれば直ちに正当事由が充足されたとみなされる。正答
- エ賃貸人が建物を自己使用するために更新拒絶をする場合でも、賃借人の建物使用の必要性が高ければ正当事由が認められないことがある。
- オ賃貸人が更新拒絶の通知をする場合、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に行わなければ効力が生じない。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・国土交通省ガイドラインも明記。
正答(誤っているもの)はウです。
借地借家法28条の正当事由は、賃貸人・賃借人双方の「建物使用を必要とする事情」「建物の利用状況」「建物の現況」等を総合的に比較衡量して判断されます。立退料の申出は正当事由を「補完する要素」の一つにすぎず、立退料さえ支払えば自動的に正当事由が充足されるわけではありません。ウが誤りです。
ア・イ・エは正しい記述です。オも正しく、更新拒絶通知は期間満了1年前から6ヶ月前(借地借家法26条1項)の間に行う必要があります。
正当事由判断の要素(借地借家法28条):
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| ① 賃貸人の使用必要性 | 自己使用・建替え・立退要求の必要性・緊急性 |
| ② 賃借人の使用必要性 | 居住・営業の必要性・代替物件確保の困難性 |
| ③ 建物の利用状況 | 適切に使用されているか・空室か否か |
| ④ 建物の現況 | 老朽化・耐震性の問題 |
| ⑤ 財産上の給付(立退料) | 補完要素(充足要件ではない) |
立退料の位置づけ(重要):
立退料は正当事由を「補完」するものであり、立退料の申出があれば直ちに正当事由が充足されるわけではありません(ウが誤りである理由)。賃貸人の使用必要性が極めて低く、賃借人の使用必要性が高い場合、どれほど高額の立退料を申し出ても正当事由が認められないことがあります。
各選択肢:
- ア(正): 正当事由なき更新拒絶は効力がなく、法定更新となります(借地借家法26条)。
- イ(正): 28条の判断要素を正確に列挙しています。
- ウ(誤・正答): 立退料の申出は必要条件でも充分条件でもなく、補完要素にすぎません。
- エ(正): 自己使用目的でも賃借人の必要性が高い場合は認められないことがあります(比較衡量)。
- オ(正): 借地借家法26条1項の通知期間(1年前〜6ヶ月前)は正確です。
【正当事由制度の立法趣旨・判断枠組みの全体像・立退料算定の実務】
1. 正当事由制度の趣旨
借地借家法28条の正当事由制度は、居住の安定を図るために設けられたものです。民法上、期間の定めのある契約は期間満了で終了するのが原則ですが、借家については賃借人の「居住の継続性・生活基盤」を保護するため、賃貸人が自由に更新拒絶できないよう制限を加えています。
この保護は借家人保護のためであり、賃貸人は原則として更新拒絶できず、正当事由があって初めて拒絶可能という構造です。
2. 正当事由の比較衡量構造
最高裁の判例(昭和58年1月20日ほか多数)は、正当事由を「両当事者の使用必要性の比較衡量」として構成しています:
| 賃貸人側が高い場合 | 賃借人側が高い場合 |
|---|---|
| 自己・家族の居住が急迫している | 居住歴が長く生活の根拠を形成 |
| 建物が著しく老朽化・危険 | 高齢・障害で転居が著しく困難 |
| 土地の有効活用(賃貸人の財産管理) | 事業の継続が不可能になる |
比較衡量の結果、賃貸人の必要性が賃借人の必要性を「相当程度上回る」場合に正当事由が認められます。
3. 立退料の「補完」機能と算定方法
立退料(財産上の給付)は正当事由の補完要素であり、賃貸人の使用必要性が相当程度はあるが賃借人の不利益も大きいという「正当事由が足りない部分を金銭で補完する」位置づけです。
主な算定基準:
- 引越費用: 転居に要する実費
- 新居の差額賃料: 転居先の賃料が上がる場合の数年分(慣行上2〜5年分)
- 借家権価格: 借家権の財産的価値(地域の取引慣行による)
- 建物投下費用: 造作や内装に投じた費用(回収できない分)
最高裁や高裁の判例では「立退料の金額が正当事由の可否を左右する」事例も多く、実務では立退料の提示額が交渉の核心になります。ただしどれほど高額でも正当事由なしでは更新拒絶できない場合があります(例:賃借人が重篤な病気で移転不可能な場合)。
4. 通知期間(26条1項)の厳守と法定更新
| 通知期間 | 内容 |
|---|---|
| 1年前〜6ヶ月前 | この期間内に更新拒絶通知必要 |
| 6ヶ月を切った通知 | 効力なし→法定更新(26条2項) |
| 通知せずに満了 | 法定更新(同条件で更新) |
法定更新後に解約申入れをする場合は、6ヶ月前予告が必要(27条)。この場合も正当事由が必要です。
5. 「建替え目的」の正当事由——最頻出パターン
築年数の経過した建物を取り壊して建て替えるため更新拒絶をするケースが賃管士試験でよく出ます。判断のポイント:
- 建物の老朽化の程度(耐震基準不適合・安全上の問題があると有利)
- 建替え計画の具体性・緊急性
- 賃借人の代替物件の確保可能性
老朽化が著しい場合は、建替え計画との相乗効果で正当事由が認められやすくなります。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 借地借家法26条(更新拒絶通知期間)・28条(正当事由判断要素・立退料の補完性)確認済。立退料は充足要件でなく補完要素が判例・通説。正答ウ(誤)維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第26条・第28条(更新拒絶・正当事由) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 借地借家法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000090 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。