賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 借地借家法 問23|定期借家契約の要件——書面交付と事前説明の有効性

問題

賃管士 | 借地借家法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

定期建物賃貸借契約(定期借家)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はアです。

定期借家契約は「書面による契約」が必須であり(借地借家法38条1項)、口頭では成立しません(ウは誤り)。

また、事前説明書面(「更新がなく期間満了で終了する」旨の説明書面)は、賃貸借契約書とは別の書面でなければなりません(イは誤り)。最高裁平成24年9月13日判決が「契約書と一体の書面は不可」と判示しています。

事前説明書面を交付しないで締結した場合、定期借家契約としての効力が生じず、普通借家契約として有効になります(アが正しい)。

定期借家の期間は1年未満も可能(エは誤り)。期間1年以上の定期借家の終了通知は期間満了1年前〜6ヶ月前の間に行いますが、通知が遅れても普通借家に転換するのではなく、通知から6ヶ月経過後に終了を対抗できます(38条6項ただし書。オは誤り)。

定期借家契約の成立要件(借地借家法38条):

要件内容
① 書面による契約38条1項:公正証書等の書面による締結が必要
② 事前説明書面の交付・説明38条3項:更新なし・期間満了終了を記載した書面を「別途」交付して説明
③ 事前説明書面の別書面性最高裁H24.9.13:契約書と同一書面は不可(別個の書面が必要)
④ 電磁的方法による提供R4改正で書面交付に代えて電磁的提供も可(賃借人の承諾要件あり)

事前説明書面の欠缺の効果(アが正しい理由):

借地借家法38条5項(2022年改正前は3項)は「建物の賃貸人が第三項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする」と定めています。これにより、更新なし条項のみが無効となり、残りの契約条件(賃料・期間等)は有効なまま「普通借家契約」として存続します。

各選択肢:

  • ウ(誤): 定期借家は書面による締結が必須(38条1項)。
  • イ(誤): 事前説明書面は賃貸借契約書と別の書面(最高裁H24.9.13判決)。契約書と一体の書面では事前説明要件を満たさない。
  • ア(正): 事前説明書面の欠缺→更新なし条項が無効→普通借家として有効継続。
  • エ(誤): 定期借家は1年未満の期間も有効(普通借家は1年未満が「期間の定めなし」とみなされるが、定期借家はこの制限なし)。
  • オ(誤): 通知期間内に通知しなくても普通借家には転換しない。期間1年以上の場合、通知期間経過後に通知すれば、その日から6ヶ月経過後に終了を対抗できる(38条6項ただし書)。

【定期借家の成立要件の詳細・最高裁判例の射程・電磁的提供の要件・実務上の落とし穴】

1. 書面契約の意義と「公正証書」

38条1項は「公正証書等の書面によって」としており、「等」の部分が重要です。「公正証書に限定されない」の意味であり、私文書(通常の賃貸借契約書)でも有効です。公正証書は強制執行認諾条項を付けることができるという別のメリットがあります。

2. 事前説明書面の「別書面性」の要件(最高裁平成24年9月13日判決)

最高裁は「借地借家法38条2項(現3項)の書面は、賃貸借契約書とは別個の書面であることを要する」と判示しました。理由:

  • 賃借人が定期借家の「更新なし」という重要事項を明確に認識・理解するための仕組み
  • 契約書と一体であると、賃借人が気づかずに署名するリスクがある
  • 条文が「前もって」(契約締結前)の交付・説明を要求している趣旨

実務上の落とし穴: 最高裁は説明書面が契約書とは「別個独立の書面」であることを要するとしています。契約書の条項や契約書と一体の別紙として交付すると要件を満たさないおそれがあるため、管理業者としては独立した書式を用いることが安全です。

3. 事前説明欠缺の効果の分析

38条5項「建物の賃貸人が第三項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする」の構造:

  • 「定期借家契約そのものが無効」にはならない
  • 「更新がない旨の特約のみ」が無効になる
  • 残存した契約は「普通借家契約」として有効(期間の定めがある普通借家)

この「部分無効」の構成は実務上重要です。賃貸人が事前説明書面を欠いた場合、定期借家として扱われず、普通借家の正当事由が要求されることになります。

4. R4改正:電磁的方法による事前説明

令和4年(2022年)5月18日施行の改正で、事前説明書面の「電磁的方法による提供」が可能になりました(38条4項)。要件:

  • 賃借人の承諾を得ること
  • 電子メール・PDF等の方法で交付
  • 内容は紙書面と同等のもの

なお電磁的提供の場合も、別個独立の書面を求める判例の趣旨から、契約書の電子ファイルとは別のファイルで提供するのが安全です。

5. 終了通知の仕組みと「6ヶ月後終了」の意味

期間が1年以上の定期借家の場合、賃貸人は期間満了の1年前から6ヶ月前の間に「終了通知」を発する義務があります(38条6項)。

通知の時期効果
期間満了12〜6ヶ月前適正な通知→期間満了で終了
6ヶ月を切った通知(遅延通知)期間満了では終了せず→通知後6ヶ月が経過した時点で終了
通知なし賃貸人は期間満了後、改めて通知→通知後6ヶ月で終了

この「遅延通知でも6ヶ月後に終了」という規定は定期借家特有のものです(普通借家の法定更新とは異なる)。

6. 1年未満の定期借家と期間満了後の再契約

普通借家では1年未満の期間を定めた場合は「期間の定めなし」とみなされますが(借地借家法29条1項)、定期借家はこの規定の適用を受けません(38条1項の特則)。したがって1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の短期定期借家も有効です。

期間満了後に再契約する「再契約型定期借家」は合法ですが、「実質的に普通借家と同じ」と評価されないよう、新たな事前説明書面の交付・説明を毎回行う必要があります。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第38条(定期建物賃貸借) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 借地借家法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000090 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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