賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 借地借家法 問25|定期借家の中途解約——床面積200㎡未満の特例

問題

賃管士 | 借地借家法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

定期建物賃貸借契約(定期借家)における賃借人からの中途解約に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はイです。

定期借家は原則として中途解約ができませんが、借地借家法38条7項は「居住用・床面積200㎡未満・やむを得ない事情」という3要件を満たす場合に限り、賃借人側からの中途解約申入れを認めています。申入れから1ヶ月経過で賃貸借が終了します。イが正しい記述です。

アは「一切中途解約できない」としている点が誤りです。ウの「転勤・療養・親族の介護」は例示であり、限定列挙ではありません。エの「違約金として残存期間賃料全額」は法律上の規定はなく、当事者の合意による違約金の有無によります。オは誤りで、この規定は賃借人保護のため強行規定であり、賃借人に不利な変更は無効です。

定期借家の中途解約特例(38条7項)の要件:

要件内容
① 用途居住用(非居住用は対象外)
② 床面積200㎡未満(床面積に上限)
③ 解約理由やむを得ない事情(転勤・療養・介護等の例示・限定ではない)
④ 解約申入れ賃借人から賃貸人への申入れ
⑤ 終了時期申入れから1ヶ月経過後に終了

強行規定であることの意味(オが誤りの理由):

38条7項の中途解約特例は片面的強行規定です(38条8項「前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする」)。賃借人に不利な特約(例:「中途解約を認めない」「解約申入れから3ヶ月必要」等)は無効となります。賃借人に有利な変更(解約申入期間を短縮するなど)は有効です。

各選択肢:

  • ア(誤): 38条7項の要件を満たす場合は中途解約可。
  • イ(正): 3要件(居住用・200㎡未満・やむを得ない事情)を正確に示し、申入れ後1ヶ月で終了としている正しい記述。
  • ウ(誤): 「やむを得ない事情」は転勤・療養・介護の例示であり限定列挙ではない。裁判所が個別に判断する。
  • エ(誤): 賃貸人の同意による中途解約は当事者合意の問題。違約金の有無は契約内容による(法律上「残存期間全額」という強制規定はない)。
  • オ(誤): 片面的強行規定のため賃借人に不利な変更は無効。

【定期借家の中途解約特例の立法趣旨・実務上の「やむを得ない事情」の解釈・非居住用との比較・違約金設計の実務】

1. 定期借家契約の中途解約が原則禁止の理由

定期借家制度(1999年創設・借地借家法38条)は、賃貸人が確実に期間満了で明渡しを受けられる仕組みとして設計されています。したがって原則として中途解約は許容されていません。契約自由の原則から当事者間で中途解約条項を定めることは可能ですが、法定の特例(7項)以外に賃借人から強制的に解約できる権利はありません。

2. 38条7項特例の要件詳解

(1) 「居住の用に供する建物」

非居住用(店舗・事務所等)は38条7項の適用がありません。居住用か非居住用かは契約内容・実態を総合判断します。混合用途(居住兼事務所)は居住用割合の実態で判断されます。

(2) 「床面積が200㎡未満」

建物の床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合は当該一部分の床面積:38条7項括弧書き)で判断します。200㎡以上の場合は7項の特例が使えず、賃借人は合意なしに中途解約できません。

(3) 「やむを得ない事情」

法文は転勤・療養・親族の介護を例示として挙げています。次のような事情も「やむを得ない事情」に当たり得ると考えられます(個別の判断):

  • リストラ・失業による賃料支払い困難
  • 離婚・家族構成の大幅変化
  • 健康上の理由による長期入院

一方、「引越したい」「もっと安い物件を見つけた」等の主観的理由は通常認められません。

3. 申入れから1ヶ月の計算

申入れが賃貸人に到達した日の翌日から1ヶ月を計算します(民法140条)。申入れから1ヶ月が経過した日の終了(日の末日)で賃貸借が終了します。

4. 非居住用定期借家の中途解約—合意による処理

200㎡以上の居住用・非居住用の定期借家で中途解約が必要になった場合:

  • 賃貸人と賃借人の合意による解約(合意解約)→賃貸人が承諾する場合
  • 違約金条項が設けられている場合は当該条項に基づく精算
  • 法律上の違約金規制はなく、当事者が自由に設計可能

実務上の違約金設計:

パターン内容
残存期間賃料の一定割合例:残存期間の2〜3ヶ月分
期間満了まで全額高額になりすぎると無効(公序良俗違反)のリスク
段階的減額残存期間が短いほど違約金を減少させる設計

5. 片面的強行規定の意味

38条7項は賃借人保護のための片面的強行規定です(38条8項):

  • 賃借人に不利な特約(申入期間を1ヶ月より長くする等)→無効
  • 賃借人に有利な特約(申入期間を短縮する等)→有効
  • 賃借人が自ら7項の権利を放棄する特約→争いあり(放棄は有効・特約による事前排除は不利な変更として無効という解釈が有力)

賃管士の実務では、定期借家契約書の中途解約条項の有効性を正確に判断できることが求められます。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第38条第7項(定期借家契約の中途解約) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 借地借家法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000090 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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