借地借家法26借地借家法・民法

賃管士 借地借家法 問26:借地借家法・民法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10

建物賃借権の対抗要件に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 民法605条は「不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後にその不動産について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」と定め、賃借権の登記が対抗要件となる。
  • 建物賃借権については、民法605条の登記に加え、借地借家法31条1項が「建物の引渡し」を対抗要件として認める特則を設けており、登記がなくても引渡しを受けていれば新オーナー等に対抗できる。
  • 賃借人が借地借家法31条の対抗力を取得するためには、賃借人自身が建物に居住していることが必要であり、賃借人が転出した場合には対抗力を失う。正答
  • 賃貸人がAからBに建物を売却した場合、賃借人Cが建物の引渡しを受けていれば、Cは新賃貸人Bに対して賃借権を対抗できる。
  • 賃借権の登記と建物の引渡しの両方を備えている賃借人は、対抗力をより強固に持つことになるが、どちらか一方でも対抗要件として有効である。
正答:賃借人が借地借家法31条の対抗力を取得するためには、賃借人自身が建物に居住していることが必要であり、賃借人が転出した場合には対抗力を失う。

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正答(誤っているもの)はウです。

借地借家法31条1項の「建物の引渡し」による対抗力は、賃借人が「建物を占有していること」を要件とします。必ずしも賃借人本人が居住している必要はなく、賃借人の家族が居住していたり、転貸がある場合(転借人が占有)でも対抗力は維持されます。ウの「賃借人自身が居住していること」「転出すると対抗力を失う」は誤りです。

ア・イは正しい記述です。エは引渡しによる対抗が新オーナーへの対抗例として正しい記述です。オも両方の対抗要件を持つことができる点が正しい記述です。

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建物賃借権の対抗要件:

| 対抗要件 | 根拠 | 内容 |

|---|---|---|

| 賃借権の登記 | 民法605条 | 賃貸人の協力が必要(義務なし)→実務上ほとんど使われない |

| 建物の引渡し | 借地借家法31条 | 賃借人が占有を取得(引渡しを受ける)→登記不要・多くの場合に対抗可能 |

「建物の引渡し」の占有の範囲:

借地借家法31条の「占有」は賃借人本人の占有に限りません:

  • 賃借人の家族(同居人)が居住している場合→対抗力維持
  • 転貸(適法な転貸)の転借人が占有している場合→対抗力維持
  • 賃借人本人が転出し、誰も占有していない場合→対抗力喪失

ウは「賃借人自身が居住していること」と「転出で対抗力喪失」としている点が誤りです。転出しても家族等が継続して占有していれば対抗力は維持されます。

各選択肢:

  • ア(正): 民法605条の賃借権登記を正確に示しています。
  • イ(正): 借地借家法31条の引渡しによる対抗要件の特則を正確に示しています。
  • ウ(誤・正答): 占有は賃借人本人に限らない(家族・転借人の占有でも可)。
  • エ(正): 引渡しがあればオーナーチェンジ後の新賃貸人への対抗が可能。
  • オ(正): 登記と引渡しの双方は共存可能で、どちらも有効な対抗要件。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【建物賃借権の対抗要件の深層・オーナーチェンジと賃貸人地位移転・占有喪失と対抗力の問題・民法R2改正の影響】

1. 民法605条の登記——なぜ使われないか

民法605条は賃借権の登記を対抗要件として定めていますが、実務ではほとんど利用されません。理由は「賃貸人が登記に協力する義務を負わない」からです(判例:大判大正10年7月11日)。賃借人が登記を求めても賃貸人が拒否した場合、賃借人は強制できません。

借地借家法31条の引渡しによる対抗要件が整備された結果、登記に依存する必要がなくなったため、実務上は建物の引渡しを受けることで対抗力を確保するのが通常です。

2. 借地借家法31条の「建物の引渡し」の意義

「建物の引渡し」は、鍵の受領・実際の占有開始等を指します。「引渡し」後は、第三者が当該建物について所有権・担保権・賃借権等の権利を取得しても、先に引渡しを受けた賃借人が対抗できます。

占有の継続が必要かという問題については、判例・通説は「対抗要件としての引渡しは対抗力発生の要件であり、対抗力を維持するためには継続的な占有が必要」という立場です(占有喪失で対抗力喪失)。

3. 占有の主体——誰の占有が認められるか

| 占有の形態 | 対抗力の維持 |

|---|---|

| 賃借人本人が直接占有 | 維持 |

| 賃借人の家族(同居)が占有 | 維持(賃借人の間接占有) |

| 適法な転借人が占有(転貸) | 維持(賃借人の間接占有) |

| 賃借人が転出・家族も転出(空室) | 喪失 |

| 無断転貸の転借人が占有 | 争いあり(無断転貸の問題があるため) |

ウが誤りなのは、「賃借人自身が居住していること」という要件を加えている点と「転出=対抗力喪失」としている点です。家族の居住継続は間接占有として対抗力を維持します。

4. オーナーチェンジと賃貸人地位移転(民法R2改正・605条の2)

民法R2改正で新設された605条の2は「不動産の譲受人に対して賃借権を対抗できる場合(登記or引渡し)、賃貸人の地位は譲受人に移転する」と明示しました。これにより:

  • 対抗要件を備えた賃借人→新所有者(買主)が当然に賃貸人になる(賃借人の同意不要)
  • 対抗要件を備えていない賃借人→新所有者に賃借権を主張できない(明渡しを求められる可能性)

5. 賃貸人地位移転の「留保」(605条の2第2項)

譲渡人(旧賃貸人)と譲受人(新賃貸人)の間で「賃貸人の地位を留保する」旨と「譲渡人が賃借人に賃貸する」旨を合意することで、賃貸人の地位移転を留保できます(民法605条の2第2項)。この場合、賃借人はその合意に拘束され、旧賃貸人が引き続き賃貸人として扱われます。

6. 実務的なポイント

管理業者としては以下の点を押さえることが重要です:

  • 新規契約では鍵渡しと同時に入居(引渡し)を行い、賃借人の対抗力確保を確認する
  • オーナーチェンジの際は賃借人への通知と賃貸人地位の移転を書面で明確化
  • 賃借人が長期不在になる場合は占有維持の確認(家族の同居・転貸の有無)

<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 借地借家法31条(引渡しによる対抗力・占有継続の要否)・民法605条・R2改正605条の2確認済。占有は賃借人本人に限らず家族・転借人の間接占有も含む。正答ウ(誤)維持。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第31条(建物賃借権の対抗力)・民法第605条 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 借地借家法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000090 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。

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