問題
借地借家法33条の造作買取請求権に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウです。
造作買取請求権(借地借家法33条)は、賃貸人の同意を得て付加した造作について、契約終了時に時価で買い取るよう請求できる権利です。しかしこの規定は強行規定ではなく任意規定であり、特約によって排除することができます。「造作買取請求権を行使しない」という特約は有効です(ウが正しい)。
アは誤りで、賃貸人の同意を得た造作が対象です(記述は合っていますが選択肢の組み合わせで考える必要あり)。イは「必ず買い取らなければならない」が誤りで、特約があれば行使できません。エは債務不履行解除の場合は認められないとするのが一般的な解釈です。オの費用負担は賃借人が負います。
造作買取請求権の要件と性質:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる造作 | 賃貸人の同意を得て建物に付加した動産・建具等(エアコン・畳等) |
| 請求の時期 | 賃貸借終了時(期間満了・解約申入れ後) |
| 請求の効果 | 時価での売買の成立(形成権) |
| 強行規定か | 任意規定(特約で排除可) |
特約の有効性(ウが正しい理由):
借地借家法37条は「第三十一条、第三十四条及び第三十五条の規定に反する特約で建物の賃借人又は転借人に不利なものは、無効とする」と定め、33条(造作買取請求権)を挙げていません。したがって33条は任意規定で、特約で排除できます。
実務では賃貸借契約書に「造作買取請求権を行使しない」旨を明記することが通例であり、これは有効な特約です。
各選択肢:
- ア(誤): 造作の対象は「賃貸人の同意を得て付加した造作」。独自設置は対象外とする点は正しいですが、選択肢ア全体の流れとしては正しいようにも見えるため注意。問題の正答はウ。
- イ(誤): 特約があれば行使できない(任意規定)。また形成権ではあるが「必ず買い取る」は誤り(同時履行の問題も絡む)。
- ウ(正): 任意規定のため特約排除は有効。
- エ(誤): 賃借人の債務不履行による解除の場合は造作買取請求権が認められないとするのが判例・通説(信義則上)。
- オ(誤): 造作の取り外しにかかる費用は原則として賃借人が負担。
【造作買取請求権の法的構造・任意規定性の根拠・実務上の特約設計・判例の射程】
1. 「造作」の定義と範囲
造作とは、建物に付加した動産であって、建物の使用・居住に便宜をもたらすものをいいます(判例・通説)。
| 造作に該当するもの(例) | 造作に非該当(例) |
|---|---|
| エアコン(賃貸人の同意あり) | 賃借人が無断で設置した設備 |
| 建具・畳(交換・追加) | 建物に付合した(一体化した)増改築部分 |
| 洗浄便座・温水器(取外し可能) | 庭の植栽・立木 |
取り外し可能性が重要な判断基準です。建物に固着して取り外せないものは「付合」(民法242条)として建物の構成部分となり、造作ではなく建物所有者の所有になります。
2. 造作買取請求権の任意規定性——条文解釈の詳細
借地借家法37条は「第三十一条、第三十四条及び第三十五条の規定に反する特約で建物の賃借人又は転借人に不利なものは、無効とする」と定め、33条を強行規定の対象に含めていません。旧借家法では造作買取請求権を排除する特約は無効とされていましたが、借地借家法(平成4年施行)で任意規定に改められました。
任意規定とされた背景として挙げられる点:
- 造作買取請求権は賃借人の利益のための規定だが、賃借人が自らの利益を放棄することは自己決定の範囲内
- 強行規定とすると賃貸人が造作の設置に同意しなくなる→居住環境の向上を妨げる
- 実務・取引慣行として特約排除が定着している
3. 賃借人の債務不履行解除の場合(エが誤りの理由)
通常の期間満了・解約申入れによる終了では造作買取請求権が認められますが、賃借人の債務不履行(賃料滞納等)による解除の場合は認められないというのが判例・通説の立場です(33条も「期間の満了又は解約の申入れによって終了するとき」と規定)。
理由: 自ら債務不履行を犯した賃借人に造作買取の利益を与えることは信義則に反する。
4. 実務上の特約設計
賃貸管理における標準的な扱い:
- 賃貸借契約書に「賃借人は造作買取請求権を放棄する」条項を設ける(ほぼ全件で採用)
- エアコン・温水洗浄便座等の設置同意書に「退去時に取り外すか、残置する場合は価値ゼロとして扱う」旨を明記
- 設置同意の対象を明確化(何を設置するか・誰の費用で・退去時の処理方法)
5. 造作と有益費の混同に注意
| 概念 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 造作買取請求権 | 借地借家法33条 | 動産的な造作を時価で買い取らせる権利 |
| 有益費の償還請求 | 民法608条2項 | 建物の価値を増加させた費用の返還請求 |
有益費は「建物に投じて価値を増加させた費用」であり、造作と異なり動産の買取ではなく費用の償還です。賃貸人が賃貸借終了時に償還する義務があります(価格の増加が現存する場合に限り、賃貸人の選択で支出額又は増価額を償還。裁判所は賃貸人の請求により相当の期限を許与できる:608条2項)。実務では有益費と造作を混同しないよう注意が必要です。
- 借地借家法第33条・第37条e-Govで原文を読む
- 民法第242条・第608条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第33条(造作買取請求権)・第37条(同法強行規定の範囲) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 借地借家法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000090 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

