賃管士 借地借家法 問28:借地借家法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
取壊し予定の建物の賃貸借(借地借家法39条)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア法令または契約により一定期間経過後に建物を取り壊すことが明らかな場合には、建物の賃貸借において、建物を取り壊すべき時に賃貸借が終了する旨を定めることができる。
- イ取壊し予定建物の賃貸借を成立させるためには、取壊し事由を記載した書面による契約が必要である。
- ウ取壊し予定建物の賃貸借が成立した場合、賃借人は更新を求めることができないが、取壊し時期の到来以前に中途解約を申し入れることは自由にできる。正答
- エ「法令」により取り壊すことが明らかな場合の例としては、都市計画事業や土地収用の対象となっている場合が挙げられる。
- オ取壊し予定建物の賃貸借は、書面による契約が必要であり、口頭による契約は効力を生じない。
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正答(誤っているもの)はウです。
取壊し予定建物の賃貸借(借地借家法39条)は、一定期間後に取り壊されることが確実な建物について、取壊し時に賃貸借が終了することを定めることができる制度です。この場合、普通借家の正当事由なしに期間終了で明渡しを求めることができます。
ウは「中途解約を申し入れることは自由にできる」としていますが、これは誤りです。取壊し予定の賃貸借は定期的に終了するものであり、一方的な中途解約の自由があるわけではありません(定期借家法同様、合意なしの中途解約は原則不可)。ア・イ・エ・オは正しい記述です。
取壊し予定建物の賃貸借(借地借家法39条):
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 取壊しが明らか | 法令(都市計画事業・土地収用等)または契約により一定期間後の取壊しが確定 |
| ② 書面による契約 | 口頭不可・取壊し事由を記載した書面必要(39条2項) |
| ③ 効果 | 取壊し時に賃貸借終了(更新なし・正当事由不要) |
ウが誤りの理由——中途解約の問題:
取壊し予定の賃貸借は「取壊し時まで継続する」ことを前提としており、賃借人が一方的に中途解約する自由があるとは規定されていません。定期借家の中途解約特例(38条7項)は明文で認められていますが、39条の取壊し予定賃貸借には同様の規定はありません。
「自由にできる」という記述は誤りです。合意解約は別として、法定の中途解約権は39条には存在しません。
各選択肢:
- ア(正): 39条1項の本文を正確に記述。
- イ(正): 39条2項の書面要件を正確に記述。
- ウ(誤・正答): 中途解約の自由は認められていない。
- エ(正): 「法令により取り壊すことが明らか」の具体例として都市計画事業・土地収用は適切。
- オ(正): 書面による契約が必要(39条2項)、口頭は効力なし。
【取壊し予定建物の賃貸借の立法趣旨・定期借家との比較・「明らか」の判断基準・実務上の注意点】
1. 制度の立法趣旨と適用場面
借地借家法39条は1992年(平成4年)改正で設けられた制度です。都市計画事業・土地収用・建替え計画等により将来の取壊しが確定している建物を、暫定的に利用させる場面を想定しています。
正当事由制度(28条)では、取壊しが確実であっても立退料等を支払って明渡しを求めなければならない場合があり、暫定利用が困難でした。39条はこの問題を解決し、取壊し時に賃貸借が自動終了することを可能にしました。
2. 「法令または契約により明らか」の意味
「法令により明らか」の例:
- 都市計画事業の施行予定区域に指定されている
- 土地収用法により収用の決定がなされている
- 再開発事業の施行予定区域
「契約により明らか」の例:
- 建物所有者が取壊し義務を負う契約がある
- 土地の定期借地契約の終了に伴う建物取壊し義務がある場合
単に「老朽化している」「将来建て替えたい」という事情は「明らか」に当たりません。客観的に確定した取壊し時期が必要です。
3. 39条と定期借家(38条)の比較
| 比較項目 | 39条(取壊し予定) | 38条(定期借家) |
|---|---|---|
| 終了時期 | 取壊し時(期間を「取壊し時まで」とする) | 定めた期間満了時 |
| 書面 | 取壊し事由記載の書面 | 契約書面+別書面の事前説明 |
| 更新 | なし(正当事由不要) | なし(正当事由不要) |
| 終了通知 | 特に規定なし | 1年前〜6ヶ月前の通知(1年以上の場合) |
| 中途解約の特例 | なし | 38条7項(居住用200㎡未満・やむを得ない事情) |
4. 取壊し時期の変更・延長の場合
都市計画事業の計画変更等で当初予定した取壊し時期が変わった場合の処理は条文上明確ではありません。実務上は:
- 当初の書面記載の取壊し時期が変更になった場合は、改めて合意・書面作成が必要
- 事業の遅延により取壊しが延期された場合、賃貸借が延長される(合意による変更として処理)
5. 実務上の注意点
書面の作成にあたっては次の点を明記する必要があります:
- 取壊しの事由(法令の具体的名称・条文・契約の内容)
- 取壊し予定時期(○年○月ごろ等)
- 取壊し時に賃貸借が終了する旨
この書面がなければ「普通借家契約」として成立してしまい、正当事由なしに明渡しを求めることができなくなるため、書面の不備は致命的です。
管理業者としては、39条の適用場面(都市計画・取壊し計画中の物件の暫定賃貸)では書面作成の徹底と、取壊し時期・事由の変化への対応プロセスを確立しておくことが重要です。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 借地借家法39条(取壊し予定建物の賃貸借・書面要件・終了)確認済。中途解約の自由の規定はなし(定期借家38条7項とは別)。正答ウ(誤)維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第39条(取壊し予定の建物の賃貸借) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 借地借家法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000090 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。