賃管士 借地借家法 問34:民法(R2改正)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
民法上の個人根保証契約と建物賃貸借における保証に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、民法の規定(令和2年4月1日施行の改正後)に基づいて答えること。
- ア個人根保証契約(民法465条の2)において、主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれない場合でも、極度額を定めなければ効力が生じない。
- イ建物賃貸借の保証人が個人である場合、賃貸借に基づく賃料・損害賠償・原状回復費用等の一切の債務を保証する「個人根保証契約」に当たり、極度額の定めが必要となる(民法465条の2)。
- ウ個人根保証契約で定めた極度額は、書面によって明示する必要があるが、口頭での合意でも契約自体は有効に成立する。正答
- エ個人根保証の元本確定事由(民法465条の4)には、保証人が死亡した場合が含まれる。
- オ建物賃貸借において、賃貸人が賃借人の個人根保証人に対し保証履行を求める場合、保証人に提供を求めることができる額の上限は極度額である。
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正答(誤っているもの)はウです。
民法465条の2第3項は「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」と規定しており、極度額の定めは書面による個人根保証契約の効力要件です(保証契約自体も書面が必要・446条2項)。ウは「口頭での合意でも契約は有効」としていますが、個人根保証は書面なければ保証契約自体が無効(446条2項)であり、極度額を口頭で合意しても契約は有効に成立しません。
ア・イ・エ・オは正しい記述です。特にイの「建物賃貸借の個人保証は個人根保証に当たり極度額が必要」という点は賃管士試験で重要な論点です。
R2改正で変わった個人根保証の規律:
| 改正点 | 内容 |
|---|---|
| 改正前 | 個人根保証(貸金等のみ)に極度額必要 |
| 改正後(R2) | 個人根保証(全ての主債務)に極度額必要 |
| 書面要件 | 保証契約全般に書面必要(446条2項)・極度額も書面で明示 |
ウが誤りの理由:
465条の2第3項は「極度額を定めなければ効力を生じない」としており、極度額の定めは保証契約の効力要件です。また446条2項は「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」と定めています。口頭で合意した個人根保証は、書面要件を満たさないため無効です。
各選択肢:
- ア(正): R2改正で全ての個人根保証に極度額必要(貸金等限定から拡大)。
- イ(正): 建物賃貸借の個人保証は個人根保証に該当→極度額設定必須(実務上の重要論点)。
- ウ(誤・正答): 保証契約は書面必要(446条2項)・極度額も書面で明示必須。口頭での合意では無効。
- エ(正): 465条の4第1号「主たる債務者または保証人が死亡したとき」は元本確定事由の一つ。
- オ(正): 極度額は個人根保証における保証人の責任の上限(465条の2第1項)。
【個人根保証の全体構造・建物賃貸借での実務・極度額の水準・元本確定事由の詳細】
1. R2改正の背景——家賃保証人の「終わりのない保証」問題
改正前の民法では、個人根保証(貸金等債務以外)には極度額の定めが不要でした。このため、建物賃貸借の連帯保証人は、更新後の賃料・損害賠償・原状回復費用まで含む「いくらになるかわからない保証」を強いられていました(保証人が予想外の多額の請求を受ける事例が続出)。
R2改正は、貸金等以外の個人根保証にも極度額を義務付けることで、保証人の責任の上限を明確化しました。
2. 建物賃貸借に適用される個人根保証の特徴
建物賃貸借の保証は「継続的に発生する賃料・損害賠償・原状回復費用等の一切を保証する」性質を持ち、「根保証(特定されていない不特定の債務を保証)」に当たります。個人が保証人であれば「個人根保証」の規律が適用されます。
保証の対象となる債務の例:
- 月々の賃料・共益費
- 賃料延滞に伴う遅延損害金
- 退去後の原状回復費用
- 無断転貸・用法違反による損害賠償
これらの総合を極度額で上限設定します。
3. 極度額の水準(実務上の目安)
法律は極度額の金額を定めていませんが、実務上の相場:
- 月額賃料の12〜24ヶ月分(1〜2年分)が目安
- 賃料が高い物件・長期契約は多め
- 家賃債務保証会社との組み合わせで連帯保証人の極度額を低く設定するケースも
重要: 極度額を超える部分についての保証人の責任は生じません。
4. 元本確定事由(465条の4)の全体
| 確定事由 | 内容 |
|---|---|
| 主債務者・保証人の死亡 | どちらかの死亡で元本確定 |
| 保証人が破産手続開始の決定 | 保証人破産で確定 |
| 主債務者または保証人の強制執行開始 | 強制執行で確定 |
元本確定後は「確定した時点での債務残高」のみが保証の対象となり、その後発生した賃料等には保証が及びません。例えば賃借人の死亡(保証人の死亡ではない)は元本確定事由ではないことに注意(賃借人は主債務者でも保証人でもないから)。
5. 賃貸人側の情報提供義務(465条の10)
R2改正で新設された情報提供義務:
- 主債務者(賃借人)が個人保証人に対して財産・収支状況等の情報を提供する義務(465条の10)
- この義務を怠り保証人が誤った情報で保証した場合、保証人は契約を取り消せる
賃貸管理業者としては、連帯保証人に対して保証の内容・極度額・保証リスクを明確に説明することが重要です(管理業法上の義務ではないが、消費者保護・信義則上)。
6. 保証会社(家賃債務保証業者)との共存
R2改正後、個人保証人への極度額設定義務化により、家賃債務保証会社(法人保証)の利用が増加しています。法人保証には極度額設定義務がありません。賃貸管理業者としては、保証会社の使用を推奨しつつ、個人保証人を求める場合は極度額の適切な設定・書面化を徹底する必要があります。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 民法465条の2(個人根保証・極度額・書面必要)・446条2項(保証契約の書面要件)・465条の4(元本確定事由)・465条の10(情報提供義務)確認済。R2改正で全個人根保証に極度額必要に拡大。正答ウ(誤)維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第465条の2(個人根保証契約)・第465条の4(元本の確定)・R2改正 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 民法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。