問題
マンション管理組合が区分所有者Aに対して有する管理費の未収金10万円について、Aが長期にわたり無資力状態であり回収が極めて困難と判断された場合の会計処理として、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
回収が難しくなった未収管理費の処理は2段階です。①回収困難が見込まれる時点:「貸倒引当金」という費用の見込みを計上します。②実際に回収不能が確定した時点:引当金と相殺して未収管理費を取り崩します。選択肢イがこの2段階の処理を正確に説明しています。帳簿から消しても、Aに対する請求権そのものは消えません(選択肢アは誤り)。正答はイです。
貸倒引当金の会計処理は保守主義の原則(損失の見込みは早期に計上する)に基づきます。引当金設定時:「貸倒引当金繰入(費用)借方100,000円/貸倒引当金(資産の評価勘定)貸方100,000円」。これにより貸借対照表では「未収管理費100,000円-貸倒引当金100,000円=実質0円」と表示されます。実際の貸倒確定時:「貸倒引当金(借方)100,000円/未収管理費(貸方)100,000円」。引当金と相殺することで収支計算書への追加的な費用計上はありません。選択肢アは誤りです。会計上の処理(帳簿からの消去)は、管理組合が区分所有者に対して持つ債権を法的に消滅させるものではありません。選択肢ウは「永久に計上し続ける」としており、財務諸表の適正表示に反します。選択肢エは誤りです。管理費等の債権にも民法166条1項の消滅時効(権利を行使することができることを知った時から5年、行使することができる時から10年)が適用されます。
管理費の未収金処理は、管理組合の財務健全性と回収戦略の両面から検討が必要です。会計上の貸倒引当金設定は「経済的実態の適正表示」が目的ですが、法的な債権放棄とは別物です。引当金を設定・計上しても、区分所有者への請求権は引き続き存続します。滞納管理費の消滅時効は、民法166条1項(権利を行使することができることを知った時から5年・行使することができる時から10年)によります。内容証明郵便などによる催告は、催告の時から6か月を経過するまで時効の完成を猶予するだけで(150条1項)、時効を更新(リセット)するものではありません。支払督促の申立てや訴えの提起(裁判上の請求)は、その手続が終わるまで時効の完成を猶予し、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときに時効が新たに進行を始めます(147条1項・2項)。確定した権利の時効期間は10年となります(169条1項)。また滞納者が債務を承認したときも時効は新たに進行を始めます(152条1項)。標準管理規約の別添3(滞納管理費等回収のための管理組合による措置に係るフローチャート)は、督促→法的措置(先取特権の実行・債務名義に基づく強制執行)→区分所有法59条の競売請求の検討、という段階的な流れを示しています。これらを尽くしても回収不能が確定した段階で、引当金の取崩しや貸倒損失の計上を行います。貸倒損失は収支計算書上の支出として当期収支差額を減らすため、大きな滞納処理は期末決算に大きな影響を与えます。
- 民法第166条e-Govで原文を読む
- 建物の区分所有等に関する法律第59条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 マンション管理業協会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

