問題
法人格を有しないマンション管理組合(法人税法上の人格のない社団等)が、収益事業(区分所有者以外の者への駐車場の貸付け)から得た資金を、駐車場とは関係のない共用部分(エントランスホール等)の修繕工事費に充てた場合の法人税の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
みなし寄附金とは、収益事業の資産から収益事業以外の事業のために支出した金額を、収益事業に係る寄附金とみなして損金算入の計算に含める制度で、法人税法37条6項が「公益法人等」について定めています。法人格のない管理組合は「人格のない社団等」であって「公益法人等」ではないので、この制度は使えません。修繕工事費に充てても、その支出は収益事業の損金になりません。したがってウが正しく、ア・イ・エは誤りです。正答はウです。
法人税法37条6項は、「公益法人等がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額」を、「その収益事業に係る寄附金の額とみなして」寄附金の損金不算入の規定(1項)を適用すると定めています(みなし寄附金)。対象は「公益法人等」(法人税法2条6号:別表第二に掲げる法人)です。法人格のない管理組合は、「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの」である「人格のない社団等」(同条8号)に当たり、公益法人等ではありません。人格のない社団等は、法人とみなされたうえで(3条)、収益事業を行う場合等に限って法人税を納める義務を負い(4条1項ただし書)、収益事業から生じた所得以外の所得には法人税が課されません(6条)。したがって、収益事業の資金を修繕工事費に充てても、みなし寄附金として損金に算入することはできません(イは誤り、ウが正しい)。アの「所得がゼロとみなされる」、エの「10%を消費税として納付」は、いずれも法令上の根拠がありません。正答はウです。
管理組合法人(区分所有法47条)の場合も結論は同じですが、理由の筋道が異なる点に注意が必要です。区分所有法47条13項は、管理組合法人を、法人税法その他法人税に関する法令の適用については「公益法人等とみなす」と定めています。つまり、管理組合法人は法人税法上は公益法人等として扱われ、収益事業から生じた所得にだけ法人税が課されます。そのうえで同項後段は、法人税法37条を適用する場合には同条4項中「公益法人等(」とあるのを「公益法人等(管理組合法人並びに」と読み替えるとしています。37条4項のかっこ書は、4項から6項までの「公益法人等」から一定の法人を除く定めなので、この読替えにより、管理組合法人は37条6項のみなし寄附金の対象となる「公益法人等」から除かれます。整理すると、①法人格のない管理組合は、そもそも公益法人等ではないため、みなし寄附金の対象外です。②管理組合法人は、法人税法上は公益法人等とみなされますが、37条の適用については読替えにより除かれるため、やはりみなし寄附金の対象外です。どちらの場合も、区分所有者以外の者への駐車場の貸付けなど収益事業に当たる部分の所得は、その資金を修繕に充てるかどうかにかかわらず課税の対象となります。収益事業の所得の計算で損金になるのは、その収益事業に係る原価・費用・損失(法人税法22条3項)であり、本問のように駐車場の貸付けと関係のない共用部分の修繕のための支出は、これに当たりません。試験では、「人格のない社団等」と「公益法人等」の違い、管理組合法人が公益法人等とみなされることと、みなし寄附金の対象からは除かれることの両方が問われます。正答はウです。
- 建物の区分所有等に関する法律第47条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

