管業 民法・区分所有法 問103:債権・契約
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
マンションの売買における手付に関する次の記述のうち、民法の規定によれば最も適切なものはどれか。
- ア解約手付による解除は、相手方が契約の履行に着手した後であっても、自らが履行に着手していなければいつでも行うことができる。
- イ手付解除は「相手方が契約の履行に着手するまで」の間のみ許される。買主が申込金を交付したのみで未だ登記申請手続きを行っていない段階では、売主による手付解除は可能である。
- ウ売主が手付倍返しで契約を解除した場合、買主は損害賠償請求をすることができない。正答
- エ手付解除の期限について売買契約書で「引渡し後30日まで」と定めた場合、この定めは民法の規定に反するため無効である。
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民法557条の解約手付による解除では、売主が手付の倍額を返還して解除した場合、買主はそれ以上の損害賠償を請求することはできません(手付解除は損害賠償なしの解除)。これが解約手付の最大の特徴です。よって正答はウです。
民法557条1項は「買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる」と規定します。アは「相手方が履行に着手した後でも解除できる」としていますが、民法557条1項ただし書は「相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない」と規定し、相手方が履行に着手した後は手付解除ができません(着手の有無の基準は自らではなく相手方)。したがってアは誤りです。なお、売買における手付は反証のない限り解約手付と推定されるのが判例(最判昭29・1・21)です。イは「申込金交付のみで履行着手なし・売主の手付解除は可能」としていますが、「履行の着手」は個々の事案に応じて判断されます。申込金の交付も状況次第では「履行の着手」に該当する可能性があり(最判昭40・11・24等の判例を参照)、単純に「申込金交付のみ=未着手」とは言い切れません。エは「期限の定めは無効」としていますが、手付解除の期限を当事者が合意で制限・定めることは有効であり(557条は任意規定)、「引渡し後30日まで」等の合意は有効です。ウが手付解除後の損害賠償請求不可を正確に示しており正答です。
手付制度(民法557条)はマンション売買の実務で最重要の論点の一つです。手付の種類として①証約手付(契約締結の証拠としての機能・全手付に共通)、②解約手付(557条の解除権・最も実務的に重要)、③違約手付(債務不履行の損害賠償の予定・557条とは異なる趣旨)があり、当事者の合意によりどの性質を持たせるか決定します。「履行の着手」の判断(557条1項・手付解除の制限)については、①単に融資申込みをしただけでは未着手、②実際に登記申請書類を準備・提出した段階では着手、③引渡し期日前に売主が引越しの準備・残代金の準備をした場合は着手の可能性あり、等の判断基準があります(最判による)。手付解除と損害賠償の関係(557条2項)は「前項の規定による契約の解除があった場合においては、損害賠償の請求をすることができない」と明示されており、解約手付による解除は損害賠償なしの関係清算です。宅建業法上の制限として、宅建業者が売主の場合は手付額の上限(代金の2/10以下)が定められており(宅建業法39条)、民法よりも買主保護が強化されています。管業実務では、マンション売買時の仲介業者(宅建業者)が手付の性質・手付解除の条件を重要事項説明書および売買契約書で明確に説明・記載することが義務付けられています。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 マンション管理業協会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。