問題
マンションの修繕工事を請け負った建設業者Aが、管理組合から工事代金の支払いを受けていないにもかかわらず、管理組合から引渡しを求められた。この場合の留置権に関する記述として、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
「留置権」とは、相手から受け取るべきお金をもらうまで、その相手の物を手元に置いておく権利です(民法295条)。建設業者Aは工事代金をもらうまで、工事した建物の引渡しを拒むことができます。ただし、管理組合は相当の担保を提供して留置権の消滅を請求することができます(301条)。留置権の行使に登記は不要です。よって正答はイです。
留置権(民法295条〜302条)は、他人の物を占有する者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで留置できる権利です。成立要件は①他人の物を占有すること、②その物に関して生じた債権が弁済期にあること、③占有が不法行為に基づかないことです。本問では建設業者Aが工事対象建物を占有しており、工事代金(目的物に関する債権)の弁済期が到来しているため留置権の成立要件を充たします。アは「登記が必要」が誤りで、留置権は占有を要件とする法定担保物権であり登記は不要です。ウは「使用・賃貸可能」が誤りで、留置権者は物を保存するために必要な使用をする場合を除き、無断で使用・賃貸することはできません(298条2項)。エは誤りで、301条は「債務者は、相当の担保を供して、留置権の消滅を請求することができる」と規定しています。イが留置権の核心(引渡拒絶権能)を正確に示しており正答です。
留置権は法定担保物権(当事者の合意なく法律上当然に成立する担保物権)の一種で、民法295条に根拠を持ちます。留置権の牽連関係(物と債権の関連性)については、判例・通説は「物に関して生じた債権」として、目的物から直接生じた債権(修繕費・工事代金等)や目的物を媒介として生じた債権(費用償還請求権等)を含むとしています。問題となるのは建設工事の場合の「目的物」の範囲と、請負人が目的物を「占有」しているかどうかで、居住者が住み続けながら行うマンションの修繕工事では、請負人の占有が認められるかが個別に問われます。留置権には優先弁済的効力はなく(抵当権のような優先弁済を受ける権利はない)、物の引渡しを拒絶できる効力が間接的に弁済を促す圧力となります。留置権者は留置物から生ずる果実を収取して優先的に弁済に充当できますが(297条)、使用・賃貸には債務者の承諾が必要です(298条2項)。管理組合の実務では、修繕工事の際に代金支払いと引渡しの順序を契約書で明確に定めておくことで留置権問題を回避できます。また商人間の双方的商行為によって生じた債権については、商法521条の商事留置権(目的物と債権の牽連関係を要しない)が認められる点も、事業者間の取引では留意が必要です。
- 民法第295条e-Govで原文を読む
- 商法第521条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 マンション管理業協会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

