管業 民法・区分所有法 問16:物権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
マンションの修繕工事を請け負った建設業者Aが、管理組合から工事代金の支払いを受けていないにもかかわらず、管理組合から引渡しを求められた。この場合の留置権に関する記述として、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア留置権は担保物権の一種であるため、Aが留置権を行使するには事前に登記が必要である。
- イAは工事代金の支払いを受けるまで、当該建物(工事対象部分)の引渡しを拒否する留置権を主張できる可能性がある。正答
- ウ留置権が成立している間も、Aは工事した建物を使用・賃貸して収益を得ることができる。
- エ管理組合がAに対して工事代金相当額の担保を提供した場合でも、Aは留置権を放棄する義務はない。
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「留置権」とは、相手から受け取るべきお金をもらうまで、その相手の物を手元に置いておく権利です(民法295条)。建設業者Aは工事代金をもらうまで、工事した建物の引渡しを拒むことができます。ただし、管理組合が相当の担保を提供した場合は留置権は消滅します(301条)。留置権の行使に登記は不要です。よって正答はイです。
留置権(民法295条〜302条)は、他人の物を占有する者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで留置できる権利です。成立要件は①他人の物を占有すること、②その物に関して生じた債権が弁済期にあること、③占有が不法行為に基づかないことです。本問では建設業者Aが工事対象建物を占有しており、工事代金(目的物に関する債権)の弁済期が到来しているため留置権の成立要件を充たします。アは「登記が必要」が誤りで、留置権は占有を要件とする法定担保物権であり登記は不要です。ウは「使用・賃貸可能」が誤りで、留置権者は物を保存するために必要な使用をする場合を除き、無断で使用・賃貸することはできません(298条2項)。エは「担保提供でも放棄義務なし」が誤りで、301条は「債務者は相当の担保を供して留置権の消滅を請求できる」と規定し、担保提供があれば留置権は消滅します。イが留置権の核心(引渡拒絶権能)を正確に示しており正答です。
留置権は法定担保物権(当事者の合意なく法律上当然に成立する担保物権)の一種で、民法295条に根拠を持ちます。留置権の牽連関係(物と債権の関連性)については、判例・通説は「物に関して生じた債権」として、目的物から直接生じた債権(修繕費・工事代金等)や目的物を媒介として生じた債権(費用償還請求権等)を含むとしています。問題となるのは建設工事の場合の「目的物」の範囲で、工事対象が建物全体か工事した部分のみかという問題がありますが、実務上は建物全体に及ぶとされることが多いです。留置権と抵当権の競合については、抵当権者は留置権の対象物が競売にかけられても留置権者が優先的に弁済を受けることはなく(留置権に優先弁済効はない)、ただし物の引渡しを拒絶できる効力が間接的に圧力となります。管理組合の実務では、修繕工事の際に代金支払いと引渡しの順序を明確に契約書で定めておくことで留置権問題を回避できます。また商法526条(商人間の契約)の商事留置権(商人間の商行為によって生じた債権について相手方の占有物全体を留置できる)は一般の留置権より広い範囲で認められる点も管理会社が当事者となる取引では留意が必要です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。