問題
区分所有者Aが管理費を滞納しているため、管理組合は区分所有法に基づく先取特権の行使を検討している。先取特権に関する次の記述のうち、民法および区分所有法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
管理組合は、管理費を払わない区分所有者に対して「先取特権」という担保権を持っています(区分所有法7条)。この先取特権の目的は、滞納者の区分所有権(共用部分の持分・敷地利用権を含む)と建物に備え付けた動産で、優先権の順位と効力は「共益費用の先取特権」とみなされます(同条2項)。先取特権は法律上当然に成立し、登記がなくても成立します。また、専有部分が売却されても、売却前の滞納管理費は買主(特定承継人)にも請求できます(区分所有法8条)。よって正答はイです。
区分所有法7条は「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する」と規定します。アは誤りです。区分所有法7条の先取特権の目的は、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む)と建物に備え付けた動産に限られ、Aの財産一般ではありません(優先権の順位と効力について共益費用の先取特権とみなされるにとどまります)。ウは「登記が必要」としていますが、先取特権は法律上当然に成立する法定担保物権であり登記なしでも成立・存続します(ただし抵当権との優先関係が問題となる場面はある)。エは「抵当権より常に優先」が誤りで、区分所有法7条2項により共益費用の先取特権とみなされ、抵当権等との優先順位は民法の規定に従うため「常に優先」とは言えません。イは、専有部分が第三者に売却された場合でも、売却前に生じた管理費の債権を特定承継人(買主)に対しても行うことができる(区分所有法8条)点を示しており正答です。
区分所有法7条の先取特権は民法上の先取特権とは異なる区分所有法固有の担保制度です。同条1項は管理費・修繕積立金等の区分所有法上の債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利・敷地利用権を含む)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を認めています。同条2項は「前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす」と規定し、民法の共益費用の先取特権(民法306条1号・307条)と同等の優先順位が与えられます。これにより一定の場面で他の債権者に優先します。さらに区分所有法8条は「前条第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる」と規定し、専有部分が売却された場合でも、売却前に生じた管理費等の滞納については買主(特定承継人)に対しても請求できます(イの記述はこの8条の効果を指します)。なお、同条の特定承継人の責任は元の区分所有者の責任を免れさせるものではなく、売主Aも引き続き支払義務を負います。実務上は、管理費滞納が生じた場合に先取特権の実行(競売申立て)を行う前に、支払督促・少額訴訟・通常訴訟・仮差押え等の手続きを経ることが多く、先取特権の直接実行よりも判決等の債務名義を得てからの強制執行が実務的です。管理業務主任者は先取特権の性質・対抗力・優先順位と8条の特定承継人への請求を正確に理解し、滞納管理費回収の法的手段を適切に選択できることが求められます。
- 建物の区分所有等に関する法律第7条・第8条e-Govで原文を読む
- 民法第306条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

