問題
マンション区分所有者Aが金融機関Bに対して自己の動産(高級時計)を担保として預けて融資を受けた(動産質権の設定)。この質権に関して、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
「質権」は、借りる人が担保として物を相手に預けて融資を受ける担保です(民法342条)。預けた物(質物)は返済が完了するまで質権者が持ち続けます。設定者は質物を使えません。また、弁済されない場合に質物を「自分のものにする」という合意(流質)は、弁済期前に設定されたものは無効です(349条)。動産質権者は、継続して質物を占有しなければ第三者に対抗できない(352条)ので正答はウです。
質権(民法342条〜355条)は、債務者・第三者が担保物を質権者に引き渡す要物契約です。動産質権の特徴は、(1)目的物の引渡しが効力発生要件(344条)、(2)質権者は設定者に自己に代わって質物を占有させることができない(345条)、(3)質権者の継続的占有が第三者への対抗要件(352条)、の三点です。アは「設定者が引き続き使用可能」としていますが、質権者は質権設定者に自己に代わって質物の占有をさせることができず(345条)、設定者が使用を続けることはできません。イは誤りです。弁済期が到来しただけで質権者が当然に質物の所有権を取得することはなく、しかも設定行為又は弁済期前の契約で、弁済として質物の所有権を取得させる旨(流質)を約することは禁止されています(349条。ただし商行為によって生じた債権を担保する質権には適用されない・商法515条)。エは「書面で通知するだけで成立」としていますが、動産質権は書面でなく目的物の引渡しが成立要件であるため誤りです。ウが動産質権の本質的要件(継続的占有=第三者対抗要件)を正確に示しており正答です。
質権(民法342条〜366条)は抵当権と異なり占有移転を要件とする担保物権であり、民法は動産質(352条〜355条)・不動産質(356条〜361条)・権利質(362条〜366条)の三類型を規定しています(342条〜351条は質権の総則)。動産質の対抗要件は質権者による目的物の継続占有(352条)であり、これを失うと第三者への対抗力を失います。流質(349条)の禁止は、弁済期前に「弁済できなければ目的物を取得する」旨の合意を無効とするもので、債務者保護の観点から設けられています(質物の価値が債権額を大きく上回る場合の丸取りを防ぐ趣旨)。ただし弁済期後の流質合意の効力については学説上争いがあります。不動産質(356条以下)は不動産を目的とする質権であり、質権者が不動産を使用収益できる(357条)反面、目的物の修繕費用等を負担する点で抵当権と性格が異なります。現代の不動産担保実務では不動産質より抵当権が圧倒的に利用されています。マンション管理実務との関係では、管理組合が管理費を担保として動産質・不動産質を取得するという場面は通常生じませんが、区分所有者の資産管理・相続の場面で質権が問題になることがあり、基本知識として理解が必要です。
- 民法第342条e-Govで原文を読む
- 商法第515条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

