管業 民法・区分所有法 問27:債権・契約
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
マンションの専有部分の売買契約において、買主Aが売主Bに手付金200万円を交付した。その後、引渡し前に買主Aが「やっぱり購入を止めたい」と申し出た場合の手付に関して、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア手付は証約手付としての性質のみを持つため、Aが手付を放棄しても契約解除の効果は生じない。
- イ売主Bが履行に着手する前であれば、Aは手付金200万円を放棄することで契約を解除できる。正答
- ウ買主Aが手付を放棄して解除した場合でも、Bは別途損害賠償を請求することができる。
- エBが履行に着手した後であっても、Aは手付200万円の倍額(400万円)をBに支払うことで解除できる。
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売買契約で交付された「手付」は、「解約手付」としての性質が認められます(民法557条)。解約手付があれば、「相手方が履行に着手するまでは」、買主は手付を放棄することで、売主は手付の倍額を返すことで、それぞれ解除できます。Bが履行に着手した後にAが解除しようとしても手付解除はできません。よって正答はイです。
手付の種類には、①証約手付(契約締結の証拠)、②解約手付(手付解除の根拠)、③違約手付(違約の場合の損害賠償予定)があります。民法557条は「買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる」と規定します。アは「証約手付のみ」が誤りで、交付された手付は特約がない限り解約手付としての性質が推定されます(判例)。ウは「手付解除後に損害賠償請求可」が誤りで、557条2項は「解除の場合には損害賠償を請求することができない」と規定しており、手付解除は損害賠償のない解除です。エは「履行着手後でも倍額返還で解除可能」が誤りで、「当事者の一方が履行に着手した後は手付解除不可」が557条の規定です。イが557条の要件(相手方の履行着手前・手付放棄)を正確に示しており正答です。
手付解除(民法557条)の「履行の着手」の意義については判例が重要な基準を示しています。最判昭和40年11月24日は「履行の着手とは客観的に外部から認識できる形で履行行為の一部をなし、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合をいう」と定義しています。売主の「履行の着手」の例としては、登記手続きの準備・物件の引渡し準備・残代金受領準備等が挙げられます。「相手方が履行に着手した後は解除不可」の解釈については、「自己が着手していても相手方が未着手なら解除可」とする判例があります(最判昭和40年11月24日)。手付解除は損害賠償を排除する(557条2項)ため、当事者にとっては解除の代償が手付額(放棄または倍額返還)のみとなり予測可能性が高いという機能があります。マンション売買実務では手付金の保全義務(宅地建物取引業法41条・41条の2)が別途問題となります。管理業務主任者はこれらの規定を区別して理解することが求められます。また違約手付(損害賠償額の予定・民法420条)との区別も重要で、違約手付の場合は実損額と無関係に手付額が賠償額となります。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 マンション管理業協会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。