管業 民法・区分所有法 問31:債権・契約
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
管理会社の従業員Aがマンションの共用部分の清掃業務中に不注意でスリップし、通行中の区分所有者Bに衝突してBに怪我をさせた。使用者責任に関して、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア使用者(管理会社)は、Aの選任及び監督について相当の注意をしたことを証明すれば責任を免れる。正答
- イ使用者責任は無過失責任であり、管理会社は選任・監督に注意を払っていたとしても責任を免れることができない。
- ウ被害者Bは、加害者従業員Aに対してのみ損害賠償を請求でき、管理会社には請求できない。
- エ管理会社がBに損害賠償を支払った場合、管理会社はAに対して全額の求償をすることができる。
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「使用者責任」とは、会社(使用者)が雇った従業員(被用者)が仕事中に他人に損害を与えた場合に、会社も賠償責任を負う制度です(民法715条)。ただし会社が「Aの選任と監督に相当の注意をした」ことを証明すれば免責されます(715条1項ただし書)。ただし実際に免責が認められることは少ないです。Bは会社にも加害者個人にも請求できます。よって正答はアです。
使用者責任(民法715条)の要件は、①被用者が不法行為をしたこと、②被用者の行為が使用者の事業の執行についてなされたこと、③使用者と被用者の使用関係(雇用・それに準じる関係)があること、です。715条1項ただし書は「使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったとき」は免責とすると規定します。アはこの免責規定の内容を正確に示しており正答です。イは「無過失責任」としていますが、条文上は免責の余地があり(ただし実際に認められることは稀)、純粋な無過失責任とは言えません。ウは「Aにのみ請求可能」が誤りで、BはAへの不法行為責任(709条)と管理会社への使用者責任(715条)のいずれにも請求可能です(不真正連帯債務の関係)。エは「全額求償可能」が誤りで、判例(最判昭和51年7月8日)は信義則上、使用者は被用者に対して全額求償はできないとしており、相当と認められる限度で求償できるとしています。
使用者責任(715条)の免責規定(1項ただし書)は条文上は免責の余地を残しますが、判例は「相当の注意」の立証について厳しい判断をしており、実際に免責が認められるケースはほとんどありません。これは実質的に無過失責任に近い機能を果たしているとも言えます。「事業の執行について」の解釈については判例が「外形理論」を採用しており、客観的外形上使用者の事業の執行行為に属すると認められる場合には、実際に業務外の行為でも715条が適用されることがあります(最判昭和40年11月30日等)。求償権(715条3項)については最判昭和51年7月8日が「信義則上相当と認められる限度で求償可能」として全額求償を否定しています。これは被用者が使用者の指揮命令下で事業を遂行していることから、損失分担の公平を図るためです。マンション管理実務では、管理会社従業員の業務中の事故(清掃・設備点検・案内業務等)について使用者責任が問われる場面があり、管理会社は業務中の事故に備えた損害賠償保険に加入することが通常の実務です。また管理業務主任者自身が業務上の過失で損害を与えた場合も同様の問題が生じます。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 マンション管理業協会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。