管業 民法・区分所有法 問34:債権・契約
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
区分所有者Aが管理組合に対して管理費50万円の滞納があり、一方でAは管理組合に対して専用使用部分の損傷修繕費20万円の債権を持っている。相殺に関して、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- アAはAの債権と管理費債務を当然に相殺でき、管理費の滞納額が30万円となる。
- イ相殺をするには、双方の債権が同種の目的(金銭同士等)を持ち、双方の債権が弁済期にあることが必要である。
- ウ相殺は両当事者の合意なしに一方的に意思表示(相殺適状・相殺の意思表示)によって行うことができる。正答
- エ管理組合が相殺禁止特約を設けていない場合、Aが一方的に相殺の意思表示をしても効力は生じない。
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「相殺(そうさい)」とは、お互いに同種の債権を持っている場合に、一方的な意思表示で両方の債権を対等額だけ消す制度です(民法505条)。相殺するには「相殺適状(双方が弁済期・同種の目的等)」が必要です。相殺は一方当事者の意思表示のみで効力が生じます(506条)。当事者の合意は不要です。よって正答はウです。
相殺の要件(民法505条1項)は、①双方の債権が同種の目的(通常は金銭)を有すること、②双方の債権が弁済期にあること(自働債権が弁済期)、③双方の債権が有効に存在すること、④相殺が禁止されていないこと、です。ただし受働債権(相殺される側)は弁済期が到来していなくても相殺可能(期限の利益の放棄で対応可能)とされます。アは「当然に相殺できる」として「相殺の意思表示」が不要かのように読めますが、505条は当然相殺ではなく相殺の意思表示が必要(506条)なため誤りです(ただし相殺適状自体は当然に生じる)。イは「双方の弁済期が到来していること」は正確な要件の一部ですが、「双方」が弁済期に達している必要があるとすると過剰で、自働債権(相殺する側の債権)の弁済期到来のみが必要(受働債権は期限前でも相殺可能)です。エは「一方的意思表示でも効力なし」としており506条に反し誤りです。ウが506条(一方的意思表示で効力)を正確に示しており正答です。
相殺(民法505条〜512条の2)の機能は、①簡便な債権消滅(清算の簡素化)、②担保的機能(自己の債権と相手方の債権を相殺することで自己の債権の回収を確保できる)の二点です。相殺の意思表示(506条)は遡及効を有し、相殺適状が生じた時点に遡って効力が生じます(506条2項)。相殺禁止事由として、①当事者の特約(505条2項)、②不法行為債権を受働債権とする相殺(509条1号・2号)、③差押禁止債権(510条)、があります。2017年改正で509条が見直され、「悪意による不法行為に基づく損害賠償請求権」および「生命・身体の侵害による損害賠償請求権」を受働債権とする相殺が禁止されました(改正前は不法行為全般が受働債権の相殺禁止)。管理組合の実務では、区分所有者が「管理組合に対する損害賠償債権(漏水修繕費等)を管理費と相殺する」と主張するケースがあります。このような相殺が適法に成立するか否かは、相殺適状の充足・相殺禁止特約の有無・個々の債権の内容によります。管理組合側としては標準管理委託契約の規定等で相殺に関するルールを明確にしておくことが紛争防止に有効です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。