問題
管理組合が修繕積立金不足のため区分所有者Aに対して追加の修繕積立金を請求したところ、Aは「管理組合が共用廊下の損傷を修繕するまで積立金の支払いを拒否する」と主張した。同時履行の抗弁権に関して、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
キーボード:1〜4で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
「同時履行の抗弁権」は、売買などの双務契約で「相手が履行するまで私も履行しない」と言える権利です(民法533条)。この権利が成立するには、双方の債務が「対価的牽連関係」にある必要があります。修繕積立金は区分所有者全員の「共同の費用」として管理組合に積み立てるものであり、特定の修繕工事の対価として支払うものではありません。したがってAの主張は認められにくいです。よって正答はウです。
同時履行の抗弁権(民法533条)の成立要件は、①双務契約から生じた双方の債務があること、②双方の債務が対価的牽連関係にあること(同じ契約から生じた対価的関係)、③相手方が自己の債務の履行または履行の提供をしていないこと、です。アは「売買のみに適用」としていますが、533条は双務契約全般に適用され、売買に限りません。ただし管理費・修繕積立金の支払義務は双務契約から生じる対価関係ではなく、区分所有法上の義務(法定の義務)であるため、修繕工事の実施との間に533条の対価的牽連関係はないと解されます。イは「対価的牽連関係あり・認められる」としていますが、修繕積立金は特定修繕への対価ではないため誤りです。エは「常に支払拒否可能」が明確に誤りです。ウが対価的牽連関係の欠如を正確に示しており正答です。
同時履行の抗弁権(533条)の「対価的牽連関係」は双務契約の本旨から導かれる観念的・法的関連性であり、単に同一当事者間の債権債務であれば成立するわけではありません。区分所有法上の管理費・修繕積立金の支払義務は、区分所有法19条(共用部分の負担)と規約・集会の決議に基づいて負う義務であり、個別の管理サービスの対価ではありません。したがって管理組合が特定の修繕を怠っているとしても、区分所有者は修繕積立金支払義務を同時履行の抗弁で拒絶できない、とするのが通説・実務です。ただし、管理組合が特定の義務(例:管理委託契約上の修繕報告義務)を履行しない場合に管理費支払義務との対価関係を認めるかどうかは、個別の契約内容によります。管理費の不払いを正当化するためにAが利用する抗弁として実務上よく見られる主張ですが、一般的には認容されにくい。管業試験では533条の要件論(対価的牽連関係)と管理費支払義務の法的性質の組み合わせが問われる重要論点です。なお533条ただし書は、相手方の債務が弁済期にないときは同時履行の抗弁権を主張できないとしており、双務契約であっても先履行の義務を負う当事者は抗弁できない点もあわせて押さえておきましょう。
- 民法第533条e-Govで原文を読む
- 建物の区分所有等に関する法律第19条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 マンション管理業協会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

