問題
マンションの区分所有者Aが自己の専有部分を賃貸し、賃借人Bから敷金50万円を受領した。賃貸借が終了した場合の敷金に関して、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
「敷金」は、賃借人が家賃を払わなかった場合などに備えて預ける保証金です(民法622条の2)。賃貸借が終了して部屋を明け渡した後、オーナー(A)は賃借人Bが負担すべき損傷の修繕費等を差し引いて残りを返還します。Bが自分から「敷金で家賃を払って」とは言えません。物件が売却されて賃貸人の地位が新オーナーに移った場合、敷金の返還債務も新オーナーに引き継がれます(605条の2第4項)。また、敷金の返還は明渡しの後であり、明渡しと引換えではありません(622条の2第1項1号)。よって正答はイです。
敷金(民法622条の2)は2017年改正で明文化されました。622条の2第1項は、敷金を、いかなる名目によるかを問わず賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で交付される金銭と定義しています。イは、622条の2第1項が、賃貸人は「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」などに、受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の金銭債務の額を控除した残額を返還しなければならないと定めているとおりで正答です。アは「Bが敷金を賃料に充てるよう請求できる」が誤りで、622条の2第2項後段は「賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない」と規定しています。ウは誤りです。賃貸人たる地位が譲受人に移転したときは、敷金の返還に係る債務は譲受人に承継されます(605条の2第4項)。エは誤りです。敷金の返還義務は「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」に生じる(622条の2第1項1号)ため、明渡しが先であり、賃借人は敷金の返還を受けるまで明渡しを拒むことはできません。
敷金(622条の2)の2017年改正前は判例(最判昭和48年2月2日等)によって規律されていましたが、改正後は明文化されました。主要規定として①賃貸人による敷金の充当(622条の2第2項前段・賃借人が金銭債務を履行しないときは敷金を弁済に充てることができる)、②賃借人からの充当請求禁止(同項後段・「賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない」)、③返還時期(賃貸借が終了し賃貸物の返還を受けたとき、又は賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき・622条の2第1項1号・2号)が重要です。判例は、敷金返還請求権は賃貸物の明渡しが完了した時に、それまでに生じた賃借人の債務を控除した残額について発生するとしており(最判昭和48年2月2日)、622条の2第1項1号はこれを明文化したものです。したがって明渡しと敷金の返還は同時履行の関係に立たず、明渡しが先履行となります(エの誤り)。賃貸物件の譲渡に伴う敷金承継については、最判昭和44年7月17日が「賃貸人たる地位が移転すれば敷金関係も承継される(未精算の敷金は新賃貸人に引き継がれる)」としており、改正後は605条の2第4項が、賃貸人たる地位が譲受人に移転したときは敷金の返還に係る債務は譲受人に承継されると明文化しました。原状回復との関係(621条・敷金からの控除対象)については、「通常損耗・経年劣化は賃借人負担外、特別損耗は賃借人負担」が明確化されており(2017年改正・621条)、マンション管理業務の実務では退去時の精算トラブルの予防として入居時の現状確認書(チェックリスト)作成が標準的対応です。
- 民法第622条の2e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

