管業 民法・区分所有法 問53:相続
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
マンション区分所有者Aが「すべての財産を内縁の妻Dに遺贈する」旨の遺言を残して死亡した。Aには妻(法律上の配偶者)B、子Cがいる。遺留分に関して、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- アBとCはDの遺贈を全部取り消すことができ、Aの全財産をBとCで相続する権利がある。
- イCの遺留分は総体的遺留分の割合(相続財産の1/2)をCの法定相続分(1/4)で計算した結果として相続財産の1/8となる。
- ウBの遺留分侵害が発生している場合、BはDに対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求する(遺留分侵害額請求権を行使する)ことができる。正答
- エ遺留分侵害額請求権は、遺留分を有する相続人が遺留分を侵害する遺言の存在を知ってから10年で消滅する。
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「遺留分(いりゅうぶん)」とは、法定相続人が相続財産から最低限取得できる割合です(民法1042条)。遺言で「全財産をDに遺贈する」としても、法定相続人(B・C)は遺留分を侵害されたとして金銭の支払いを請求できます(遺留分侵害額請求権・1046条)。2017年改正前は「物の返還請求(遺留分減殺請求)」でしたが、改正後は「金銭請求」に変更されました。よって正答はウです。
遺留分(1042条〜1049条)の総体的遺留分は「相続人が直系尊属のみの場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1」(1042条1項)です。本問の場合、相続人はB(配偶者)とC(子)なので総体的遺留分は2分の1。Bの個別遺留分は2分の1×2分の1(Bの法定相続分)=4分の1、Cの個別遺留分は2分の1×2分の1(Cの法定相続分)=4分の1です。アは「全部取り消し可能」が誤りで、遺留分の権利は遺留分侵害額に限定された金銭請求権であり、遺言全体を取り消す権限はありません(1046条1項)。イはCの遺留分を1/8と計算していますが、Cの法定相続分は配偶者Bが存在するため1/4(B:1/2、C:1/2の残りをCが全部=1/2×1/2=1/4)、Cの遺留分は1/2×1/4=1/8です(計算自体は正しい方向)が、1046条の手続き(金銭請求)を説明していないため最も適切ではありません。エは「10年で消滅」が誤りで、1048条が「遺留分侵害額請求権は遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年または相続開始から10年で時効消滅」と規定しています(「知ってから1年」が先に到来することが多い)。ウが1046条の金銭支払い請求を正確に示しており正答です。
遺留分制度(民法1042条〜1049条)は2017年改正で大幅に変更されました。改正前の遺留分減殺請求権(物権的効果・物の返還等)から、改正後の遺留分侵害額請求権(債権的効果・金銭の支払い請求)への転換が最大の変更点です(1046条)。これにより不動産等が遺留分減殺の対象となっても物件が共有状態になるリスクがなくなり、遺言の実現がより確実になりました。遺留分の算定基礎となる財産には、相続財産のほか、一定の贈与(死亡前1年以内の贈与・双方が遺留分を害することを知ってした贈与等)が含まれます(1044条)。遺留分を侵害する遺言は有効に成立し、遺留分権利者が行使しなければ遺言のとおり実現されます(1046条の形成権的性質)。侵害額の計算(1043条〜1045条)では基礎財産の算定・各自の遺留分の計算・実際に侵害された額の計算という手順を踏みます。マンション管理実務では、区分所有者死亡後の遺言・相続の確認において、遺留分侵害を巡る相続人間の紛争が発生し、専有部分の権利関係(管理費請求先・議決権者)が不明確になるケースがあります。管理組合としては遺産分割または相続登記の完了を確認してから管理費請求先を正式に変更することが重要です。なお2024年4月施行の改正不動産登記法により相続登記が義務化(相続を知った日から3年以内)されたため、今後は相続後の名義放置が減少し管理組合が権利者を特定しやすくなると期待される一方、登記未了期間の管理費滞納リスクへの対処方針を管理規約・管理委託契約上で整理しておくことが実務上の課題です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 マンション管理業協会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。