マン管 管理組合の運営 問36:管理組合の運営
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
マンション管理組合において、理事長が理事会決議なく緊急専決した修繕工事について、後の理事会で事後承認が否決された場合に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ア理事長の緊急専決により締結された工事請負契約は、理事会で承認されなかった場合、当然に無効となり、業者は報酬を請求できない。
- イ工事が既に完了している場合、管理組合は不当利得返還義務を負わないため、業者への支払いを完全に拒否することができる。
- ウ理事長の専決行為が代表権の範囲内の行為であれば、理事会の事後承認の否決は内部的な問題にとどまり、善意の第三者(業者)との契約は有効に成立している可能性が高い。正答
- エ理事会の事後承認否決により、契約は管理組合に対して無効であるとともに、理事長は業者に対して個人的な損害賠償責任を常に負う。
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理事長の緊急専決が代表権の範囲内であれば、相手方(業者)は有効な契約として扱われます。内部的な「承認するかどうか」の問題は外部の契約の効力に直接影響しません。これが正答ウです。アの「当然に無効」は誤りで善意の第三者は保護されます。イの「支払い完全拒否」も不当利得(工事完成の利益を受けた場合)の問題として支払義務が生じ得ます。エの「常に個人責任」も自動的ではありません。
管理組合の代表者(理事長)が代表権の範囲内で行った行為は、内部手続き(理事会決議の有無)に関係なく、善意の第三者に対して有効であるのが原則です(標準管理規約38条1項・区分所有法26条3項「権限制限は善意の第三者に対抗できない」類推)。よってウが正答です。アについて、代表権の範囲内の行為であれば業者は善意で契約しており、承認否決だけで契約を無効とすることはできません。イについて、工事が完了し管理組合が利益(修繕の効果)を受けた場合、不当利得(民法703条)として相当額の支払義務が生じる可能性があります。エについて、理事長個人の損害賠償責任は、理事長の行為が代表権を逸脱・濫用した場合(超えた権限行使・故意・重過失)に問われるものであり、事後承認否決だけで「常に」個人責任が発生するわけではありません。
理事長の専決行為と事後承認の法的構造は、代理権の範囲・内部制限・善意第三者保護の三つのレイヤーで分析します。第一に、代理権の範囲の問題です。理事長は区分所有法26条1項・標準管理規約38条1項に基づく包括的代表権を持ちますが、その範囲は「管理行為の性質・金額・緊急性」によって実質的に画されます。緊急漏水対応工事(数十万円以内)は通常の管理行為として代表権の範囲内ですが、億単位の大規模修繕工事は理事会・総会決議なしの専決は代表権逸脱とみなされる可能性があります。第二に、内部制限の問題です。標準管理規約が「○○万円以上の工事には理事会決議が必要」と定めている場合、これは代表権に対する「内部的制限」です。区分所有法26条3項は「管理者の権限制限は善意の第三者に対抗できない」と規定するため、この内部制限を知らない業者は保護されます。第三に、事後承認否決の効果です。承認が否決された場合の外部的効果(契約の効力)は「善意業者との契約は有効」として処理される可能性が高い一方、内部的効果として理事長の善管注意義務違反・損害賠償責任が問われ得ます。不当利得については、契約が無効であっても管理組合が修繕の利益(建物の価値維持・住民の安全確保等)を実際に受けた場合は民法703条の返還義務が発生します。この場合、「利得した価値」の評価が問題となり、完成した工事の市場価値が基準となります。実務的教訓として、専決処分を行った理事長は速やかに理事会を招集し、専決の事情・内容・金額を正確に報告し、承認を求める義務があります。理事会への報告を遅らせたり、内容を隠したりすることは善管注意義務違反として理事長個人の責任強化につながります。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は公益財団法人 マンション管理センター・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはセンターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。