問題
マンション管理における留置権及び先取特権に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
区分所有法7条は管理費・修繕積立金の滞納について先取特権を認めており、滞納者の区分所有権(共用部分に関する権利・敷地利用権を含む)と建物に備え付けた動産に行使できます(ウ:正しい)。留置権は「占有して代金を払ってもらうまで返さない権利」ですが、債務者の承諾なく留置物を賃貸することはできません(エ:誤り)。管理業者が建物全体を留置できるか(ア)は、工事対象物と債権の牽連性が問題です。正答はウです。
区分所有法7条1項は「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする」と規定します。ウが正答。アについて、留置権(民法295条)は「他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる」とする権利です。管理業者が「建物全体」を留置するには、工事した部分と建物全体との関係(牽連性)や占有の有無が問題となり、建物全体の留置は通常認められません。アは誤り。イについて、区分所有法7条2項は「前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす」と規定しています。共益費用の先取特権は一般の先取特権であり、不動産について登記をしなくても特別担保を有しない債権者には対抗できますが、登記をした第三者には対抗できません(民法336条)。したがって登記された抵当権に当然に優先するとはいえず、イは誤り。エについて、民法298条2項は「留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない」と規定しています。エは誤り(なお留置物から生ずる果実を収取して弁済に充当することはできます・297条1項)。
区分所有法7条の先取特権はマン管試験で頻出の最重要論点の一つです。その内容を整理します。①被担保債権:共用部分・敷地・附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権、規約・集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権(管理費・修繕積立金等)、管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権。②目的:債務者(滞納した区分所有者)の「区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む)」および「建物に備え付けた動産」。③効力:優先権の順位及び効力については共益費用の先取特権とみなされ(7条2項)、即時取得に関する民法319条が準用されます(7条3項)。④他の担保権との関係:一般の先取特権として扱われるため、登記をした抵当権者等には対抗できません(民法336条ただし書)。実務では、滞納管理費の回収手段として先取特権に基づく担保権の実行(区分所有権の競売・動産競売の申立て)が用いられます。先取特権の実行は債務名義(確定判決等)なしで申し立てられる反面、担保権の存在を証する文書が必要であり、差押え→競売→配当の手続きに一定の期間・費用がかかります。また区分所有権が譲渡・競売された場合、7条1項の債権は債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる(区分所有法8条)ため、新所有者・買受人にも滞納管理費を請求できる点が実務上極めて重要です。留置権(民法295条〜302条)との対比では、留置権は「その物に関して生じた債権」という牽連性が要件であり、留置権者は善良な管理者の注意をもって留置物を占有しなければならず(298条1項)、債務者の承諾なく使用・賃貸・担保提供をすると、債務者は留置権の消滅を請求できます(298条3項)。上位資格との接続として、宅建士試験では先取特権・抵当権・賃借権の優先関係が頻出であり、マン管の管理費先取特権と抵当権の関係は宅建の応用版として整理すると効率的です。
- 民法第295条・第336条・第298条・第319条e-Govで原文を読む
- 建物の区分所有等に関する法律第7条・第8条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は公益財団法人 マンション管理センター・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはセンターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

