問題
マンション管理委託契約における管理業者の債務不履行に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
債務不履行による損害賠償では、債務者が「自分には責任がない(帰責事由がない)」ことを立証しない限り賠償責任を負うという構造がとられています(2020年改正民法415条1項ただし書で明文化)。管理組合は故意・過失を証明する必要はなく、管理業者側が「帰責事由なし(不可抗力等)」を立証しない限り賠償責任を負います(ア:誤り、イ:正しい)。管理組合にも過失がある場合は過失相殺で減額されます(ウ:誤り)。正答はイです。
改正民法415条1項は「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」と規定します。「帰責事由がない(不可抗力等)」場合の損害賠償免除は、債務者側が主張・立証する責任があります(免責事由の立証は債務者側)。イが正答。アについて、債権者が債務者の「故意または過失」を証明する必要はなく、債務不履行の客観的事実(履行不能・履行遅滞・不完全履行)を立証すれば足り、アは誤り。ウについて、民法418条(過失相殺)は「債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める」と規定します。必ず考慮される必要的なものであり、管理組合に過失がある場合は損害額が減額されます。ウは誤り。エについて、改正民法562条(履行の追完)は「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」と規定します。売買の規定は、その性質がこれを許さないときを除き売買以外の有償契約に準用される(民法559条)ため、有償の管理委託契約の不完全履行についても追完の請求が認められ得ると解されており、エは誤り。
債務不履行(民法415条)の規定は2020年改正で整理されました。改正前も、帰責事由がないことは債務者側が主張・立証すべきものと解されていましたが、改正法は415条1項ただし書で「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由」による場合は損害賠償責任を負わないと明記し、帰責事由の有無を契約の内容や取引上の社会通念に照らして判断することを示しました。管理委託契約は「管理事務の実施(手段・努力義務的側面)」と「特定結果の達成(例:修繕工事の完成)」が混在するため、帰責事由の判断は契約内容・社会通念による個別判断になります。債務不履行の効果は①損害賠償(民法415条)、②契約解除(民法541条〜543条)、③履行の追完請求(売買・請負の特則)の三種類です。2020年改正で「解除は帰責事由不要」となり(民法541条・542条に帰責事由要件なし)、解除と損害賠償の要件が分離されました。損害賠償の範囲(民法416条)は「通常生ずべき損害(通常損害)」および「特別の事情によって生じた損害であって、当事者がその事情を予見すべきであったとき(特別損害)」に限定されます。過失相殺(民法418条)は「損害賠償の責任及びその額を定める」とされ、債権者の過失が認定された場合は必ず考慮される必要的なものです。これに対し不法行為の過失相殺(民法722条2項)は「損害賠償の額を定めることができる」とされ、考慮するかどうかは裁判所の裁量に委ねられ、責任そのものを否定することもできない点で異なります。マン管試験では管理委託契約・工事請負契約・区分所有者間の損害賠償請求で本条が適用されます。
- 民法第415条・第418条・第562条・第559条・第541条・第416条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は公益財団法人 マンション管理センター・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはセンターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

