マン管 民法・区分所有法 問26:債権・契約
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
マンションの専有部分を区分所有者が第三者に賃貸する場合における賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア賃貸人(区分所有者)が専有部分を売却した場合、売却先の新所有者は「売買は賃貸借を破る」原則により、賃借人に明渡しを求めることができる。
- イ賃借人が賃貸人の承諾なく専有部分を第三者に転貸した場合、賃貸人は常に賃貸借契約を解除することができる。
- ウ賃貸借の存続期間は最長50年であるが、当事者は50年を超える期間を定めることができず、50年を超える定めは50年に短縮される。
- エ賃貸人は賃借人に対して賃借物の使用収益に必要な修繕義務を負うが、賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要になった場合は、修繕義務を負わない。正答
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「売買は賃貸借を破る」(アの誤り)は原則ではなく、賃借人が先に対抗要件を備えていれば新所有者に対抗できます(「賃貸借は対抗要件で売買に対抗できる」)。転貸も「常に解除」ではなく、「背信的行為と認められないとき」は解除できないとするのが判例です(イ:誤り)。賃貸借の最長期間は50年です(ウ:正しい形)。賃借人の帰責事由による修繕は賃貸人の義務外です(エ:正しい)。正答はエです。
改正民法606条1項は「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない」と規定します。エが正答。アについて、民法605条は賃借権の物権的登記(不動産賃貸借の登記)により第三者対抗を認め、借地借家法31条は建物賃貸借について「建物の引渡し」を対抗要件とします。「売買は賃貸借を破る」は旧原則であり、現行法は対抗要件具備の賃借権が売買後の新所有者にも対抗できます。アは誤り。イについて、民法612条2項は「賃借人が無断転貸した場合に賃貸人は解除できる」と規定しますが、判例(最判昭和28年9月25日)は「転貸が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情があるときは解除不可」としています。「常に解除できる」というイは誤り。ウについて、改正民法604条1項は「賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときも、その期間は50年とする」と規定します(旧法20年から50年に延長・2017年改正)。ウの「50年を超える定めは50年に短縮」は正しいですが、「当事者は50年を超える期間を定めることができない」というイの表現は条文と異なり(定めることはできるが効力が50年に制限されるという構造)、微妙です。最終的にエが最も明確に正しい。
賃貸借(民法601条〜622条の2)はマン管試験で区分所有者の賃貸行為・管理組合との関係で頻出です。2020年改正の主要点は①賃貸人の修繕義務の明文化(606条)、②賃借人の修繕権(607条の2:急迫の事情・通知後相当期間内に賃貸人が修繕しない場合は賃借人が修繕可)、③賃料減額請求(611条:賃借物の一部滅失等で使用収益できなくなった場合は当然に賃料減額)、④敷金(622条の2:敷金の定義・返還義務の明文化)です。606条のただし書き(賃借人の帰責事由による修繕)は旧法になかった明文規定で、エの根拠となります。無断転貸の解除制限(判例・最判昭和28年9月25日「背信行為なき特段の事情」論)は宅建・マン管で必出の判例です。背信性判断要素は①転借人の使用実態、②賃貸人との信頼関係、③無断の経緯(止むを得ない事情等)です。区分所有者がマンションを賃貸する場合、賃借人(占有者)も区分所有法の「占有者」として集会への参加資格(意見陳述権・区分所有法44条)を持ちます。管理組合の規約・集会決議で定めた事項は賃借人にも効力が及ぶため(区分所有法46条2項)、騒音・違法使用等の問題は管理組合が直接賃借人に対して措置を求めることができます。対抗要件としての「引渡し」(借地借家法31条)は実際の占有の移転で足り、登記は不要です(旧法から変わらず)。実務応用として、サブリース業者を介した転貸借では「区分所有者→サブリース業者→入居者」の三層構造となり、各層で賃料減額請求権(借地借家法32条)が問題になります。最判平成15年10月21日(サブリース賃料減額)は「サブリースも通常の賃貸借であり32条が適用される」と判示し、不減額特約の一定限度での効力制限を示しました。上位資格との接続:行政書士試験では契約類型論(賃貸借・使用貸借・請負・委任)の比較が頻出で、特に賃借人の修繕請求権(607条の2・2020年改正)はマン管では区分所有者の専有部分・共用部分修繕義務との切り分けで応用問題化されるため、双方を意識した学習が有効です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は公益財団法人 マンション管理センター・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはセンターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。