問題
マンション管理における不法行為責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
水漏れ等で隣接住戸に損害を与えた場合、不法行為(民法709条)または工作物責任(民法717条)に基づく損害賠償が問題になります。上の階の区分所有者が専有部分の設備管理を怠ったことで損害が生じた場合は、過失による不法行為(ウ:正しい)として請求できます。工作物責任(民法717条)は、まず占有者が責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは所有者が責任を負います(ア:誤り)。また「欠陥を知っていた場合のみ」ではなく、設置・保存の瑕疵(客観的な安全性の欠如)があれば成立します(エ:誤り)。正答はウです。
民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定します。専有部分の設備(給排水管の枝管等)の管理を怠り水漏れが生じた場合、上の階の区分所有者の過失(管理義務違反)が認められれば不法行為が成立します。ウが正答。アについて、民法717条1項は「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」と規定しています。占有者が必要な注意をしたときは所有者(共用部分であれば区分所有者)が責任を負うため、アは誤り。なお建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は共用部分の設置又は保存にあるものと推定されます(区分所有法9条)。イについて、使用者責任(民法715条)は「ある事業のために他人を使用する者」が被用者の加害行為について負う責任であり、管理業者が独立した事業者として管理委託を受けている場合は管理組合との間に使用関係がないのが通常で、715条の使用者責任は当然には成立しません(実質的な指揮監督関係の有無で判断されます)。「常に賠償責任を負う」というイは誤り。エについて、工作物責任(民法717条)は占有者・所有者が瑕疵を知っていたことを要件とせず、設置・保存の客観的瑕疵(通常有すべき安全性の欠如)で足ります。エは誤り。
不法行為責任(民法709条〜724条の2)はマンション管理で最頻出の論点の一つです。主要類型を整理します。①一般不法行為(709条):故意・過失・権利又は法律上保護される利益の侵害・損害・因果関係の要件。失火の場合は失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)により重大な過失がなければ709条の責任を負いません。②工作物責任(717条):設置・保存の瑕疵があれば、まず占有者が責任を負い(損害の発生を防止するのに必要な注意をしたことを立証すれば免責)、占有者が免責されるときは所有者が責任を負います(所有者には免責の規定がない無過失責任)。典型例は外壁タイル落下・エレベーター事故・廊下手すり倒壊。区分所有建物では、建物の設置・保存の瑕疵は共用部分の設置・保存にあるものと推定されます(区分所有法9条)。③使用者責任(715条):被用者が事業の執行について第三者に加えた損害についての使用者の責任(選任・監督に相当の注意をしたこと等を立証すれば免責)。管理業者が実質的に管理組合の指揮監督下にある場合は715条の適用可能性があります。④共同不法行為(719条):数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えた場合の連帯責任。マン管試験では水漏れ事故の責任の帰属が最頻出です。専有部分内の枝管は専有部分(区分所有者の管理責任)、本管(共用部分)は管理組合の管理責任という整理が基本ですが、配管の位置・構造によって帰属が争われることがあり、「その配管が専有部分か共用部分か」を個別に判定する必要があります。消滅時効(民法724条・724条の2)は「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年(人の生命・身体の侵害は5年)、不法行為の時から20年」です(改正前も20年でしたが、判例上は除斥期間とされていたものが、改正で消滅時効であることが明記されました)。また工作物責任の所有者責任は無過失責任である点、使用者責任の免責の立証が実務上容易でない点から、管理組合は「マンション総合保険(施設賠償責任・個人賠償責任特約)」の付保がリスク管理の核となります。上位資格との接続として、司法書士試験では工作物責任の占有者・所有者の二段階責任が頻出で、マン管の共用部分事故の事案と論理構造が同一であるため、横断学習で得点効率が高まります。
- 民法第709条・第717条・第715条・第724条e-Govで原文を読む
- 建物の区分所有等に関する法律第9条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は公益財団法人 マンション管理センター・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはセンターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

