マン管 民法・区分所有法 問29:債権・契約
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
マンション管理における不法行為責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、最も適切なものはどれか。
- ア管理組合が管理する共用部分(廊下・階段等)の欠陥により第三者が損害を受けた場合、当該損害に対する賠償責任は、共用部分の所有者(区分所有者全員)が連帯して責任を負う。
- イマンションの管理者(管理会社)が管理委託契約上の安全管理義務を怠り第三者が損害を受けた場合、管理組合は常にその使用者として賠償責任を負う。
- ウ上の階の区分所有者が専有部分内の設備(給排水管等)の管理を怠り水漏れが発生し、下の階の区分所有者に損害が生じた場合、下の区分所有者は上の区分所有者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求することができる。正答
- エマンション管理において、区分所有者が共用部分の欠陥について知っていた場合のみ、工作物責任(土地工作物の設置・保存の瑕疵)が認められる。
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水漏れ等で隣接住戸に損害を与えた場合、不法行為(民法709条)または工作物責任(民法717条)に基づく損害賠償が成立します。上の階の区分所有者が専有部分の設備管理を怠ったことで損害が生じた場合は、故意・過失ある不法行為(ウ:正しい)として請求できます。工作物責任(民法717条)は「欠陥を知っていた場合のみ」ではなく(エ:誤り)、設置・保存の瑕疵(客観的欠陥)があれば占有者が第一次責任を負います。正答はウです。
民法709条の不法行為は「故意又は過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定します。専有部分の設備(給排水管枝管等)の管理を怠り水漏れが生じた場合、上の階の区分所有者の過失(管理義務違反)が認められれば不法行為が成立します。ウが正答。アについて、工作物責任(民法717条)は「土地工作物の設置または保存の瑕疵」により他人に損害が生じた場合、「占有者(まず責任を負う)」が免責できない場合に「所有者」が責任を負います。所有者は共用部分の場合は区分所有者全員ですが「連帯責任」の形式については民法717条の「所有者の賠償責任」が直接適用され、連帯か持分割合かについては議論があります。アの「連帯して責任を負う」は正確な表現か問題があるため、ウが最も明確です。イについて、使用者責任(民法715条)は「事業のために使用する他人」の不法行為についての責任であり、管理業者が「独立した専門業者」として管理委託を受けている場合は管理組合の「被用者」ではなく、715条の使用者責任は成立しない場合があります(判例は「実質的指揮命令関係」で判断)。「常に賠償責任を負う」というイは誤り。エについて、工作物責任(民法717条)は占有者・所有者の「知」を要件とせず、設置・保存の客観的瑕疵(安全性の欠如)で足ります。エは誤り。
不法行為責任(民法709条〜724条の2)はマンション管理で最頻出の論点の一つです。主要類型の整理をします。①一般不法行為(709条):故意・過失・違法性・損害・因果関係の要件。失火の場合は失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)により重大な過失がなければ免責。②工作物責任(717条):設置・保存の瑕疵があれば占有者が無過失責任(ただし免責事由あり)→占有者免責なら所有者の無過失責任。典型例は外壁タイル落下・エレベーター事故・廊下手すり倒壊。③使用者責任(715条):被用者の不法行為についての使用者の連帯責任(免責には選任・監督の相当注意の立証必要)。管理業者が実質的に管理組合の指揮監督下にある場合は715条適用可能性あり。④共同不法行為(719条):複数の者が共同して不法行為をした場合の連帯責任。マン管試験では水漏れ事故の責任帰属が最頻出です。専有部分内の枝管は専有部分(区分所有者の管理責任)、本管(共用部分)は管理組合の管理責任という整理ですが、老朽化・腐食が進む旧式マンションでは本管・枝管一体交換の問題(管理組合と区分所有者の責任分担・費用負担)が実務上重要です。消滅時効(民法724条)は「損害及び加害者を知った時から3年(人の生命・身体は5年)、不法行為時から20年」(改正民法・旧法10年→20年)。実務応用として、最判平成12年9月14日は「専有部分内の枝管漏水について、共用部分(本管)と一体不可分の場合は管理組合の管理責任が及ぶ」と判示し、漏水事故では「枝管が専有部分か共用部分か」を判定する必要があります。また工作物責任(717条)の所有者責任は無過失責任である点、使用者責任(715条)の選任監督上の相当注意の免責立証が極めて困難である点から、管理組合は「マンション総合保険(施設賠償責任・個人賠償責任特約)」の付保がリスク管理の核となります。上位資格との接続:司法書士試験では工作物責任の占有者・所有者の二段階責任が頻出で、マン管の共用部分事故事案と論理構造が同一であり、横断学習で得点効率が高まります。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は公益財団法人 マンション管理センター・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはセンターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。