民法・区分所有法31債権・契約

マン管 民法・区分所有法 問31:債権・契約

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11

マンション管理における相殺に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

  • 区分所有者が管理組合に対して管理費を滞納している場合、当該区分所有者が管理組合に対して別途損害賠償請求権(例:共用部分の欠陥による損害)を持っていれば、自動的に相殺されて滞納管理費は消滅する。
  • 相殺を行うためには、①両債権が同種の目的を持つこと、②双方の債権が弁済期にあること、③相殺が法律で禁止されていないこと、の要件を全て満たす必要がある。
  • 管理組合が滞納区分所有者に対して滞納管理費の支払いを請求した場合、区分所有者は、管理組合に対する別途の金銭債権(過払金返還請求権等)をもって相殺の意思表示をすることができる。正答
  • 相殺の意思表示は、期限の利益を放棄して行使しなければならず、相殺後の利息は相殺時から発生する。
正答:管理組合が滞納区分所有者に対して滞納管理費の支払いを請求した場合、区分所有者は、管理組合に対する別途の金銭債権(過払金返還請求権等)をもって相殺の意思表示をすることができる。

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相殺(民法505条〜511条)は「相互に対立する同種の債権を意思表示によって消滅させる」制度です。「自動的に」消滅するのではなく、意思表示が必要です(ア:誤り)。要件は①双方が弁済期(受動債権の弁済期が到来していれば足りる・自働債権は弁済期到来が必要)、②同種の目的、③相殺禁止でないことです(イ:弁済期要件は「自働債権の弁済期が到来していること」が正確)。区分所有者が管理組合への別途債権で相殺することは可能です(ウ:正しい)。正答はウです。

標準試験対策の基準レベル

民法505条1項は「二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺をもって債権者に対抗することができる」と規定します。ウが正答。区分所有者が管理組合に対して金銭債権を持ちかつ弁済期が到来している場合、相殺の意思表示により滞納管理費と対当額で消滅させることができます。アについて、相殺は「意思表示によって」行われるものであり(505条1項)、自動的に消滅するわけではありません。アは誤り。イについて、相殺要件の「弁済期」については「自働債権(積極的に相殺を行使する者が持つ債権)の弁済期が到来していること」が要件です。受動債権(相殺される側の債権)は、相殺する者が期限の利益を放棄すれば弁済期前でも相殺可能です(505条1項・期限の利益の放棄・136条)。イは「双方の債権が弁済期にあること」と記述しており、不正確(自働債権の弁済期到来が必要・受動債権は期限の利益放棄で対応可)。エについて、相殺の効力は相殺適状になった時に遡及して生じます(民法506条2項:相殺の意思表示は双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる)。「相殺後の利息は相殺時から発生する」というエは誤り(遡及効により相殺適状時まで遡る)。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

相殺(民法505条〜511条)の2020年改正の主要点は①不法行為等に基づく損害賠償債務への相殺禁止の整理(509条:故意の不法行為・人の生命身体侵害の場合の相殺禁止の範囲明確化)、②差押えと相殺の優先関係(511条)です。差押えと相殺の優先関係(511条)は「差押え後に取得した債権による相殺は差押え前取得債権との相殺のみ有効」という整理で、「差押え前に対立債権を取得した者は差押えにもかかわらず相殺可」(最判昭和45年6月24日の判例法理を明文化・511条2項)という重要な改正がなされました。管理組合実務での相殺は、①区分所有者が管理組合に対して修繕費用の立替金返還請求権を持ち、これで滞納管理費と相殺する事例(合理的な相殺の要件充足時に有効)、②管理会社との精算で管理組合が過払い報酬返還請求権を持ち相殺する事例などがあります。相殺の禁止(民法509条)として、不法行為等(故意の不法行為・人の生命・身体侵害)に基づく損害賠償請求権を「受動債権」とする相殺は禁止されます(被害者の現実の金銭取得を保護)。例えば、管理組合が区分所有者の不法行為(マンション設備の故意破壊)に対する損害賠償を請求した際、区分所有者がそれと管理費で相殺しようとしても、損害賠償が受動債権となる場合は509条違反で相殺不可です。実務応用として、管理組合が滞納区分所有者から「共用部分の瑕疵による損害賠償請求権」をもって相殺を主張された場合、相殺適状の判定(自働債権の弁済期到来要件・受動債権の支払拒絶可能性)と請求権競合(不当利得・不法行為)の双方を検討する必要があります。最判平成2年11月26日は「損害賠償請求権を自働債権とする相殺は許される(509条が禁止するのは受動債権の場合のみ)」と判示しており、相殺の方向性で結論が逆転する点が要注意です。上位資格との接続:行政書士・司法試験予備試験では相殺の遡及効(506条2項)と差押え優先関係(511条)が頻出で、マン管の管理費回収実務でも同様の整理が応用可能です。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は公益財団法人 マンション管理センター・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはセンターと一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。

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