マン管 民法・区分所有法 問36:債権・契約
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
マンション管理における不当利得及び事務管理に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア区分所有者が誤って同一の管理費を二重に支払った場合、管理組合は二重払いの分を返還する義務を負うが、これは不当利得返還義務ではなく、不法行為による損害賠償義務である。
- イ隣接住戸の区分所有者が不在中に、別の区分所有者が隣の専有部分で水漏れが発生したのを発見し、損害拡大を防ぐために緊急の修理を施した場合、これは事務管理(民法697条)として費用の求償が認められる場合がある。正答
- ウ不当利得の受益者(利益を受けた者)が「善意」の場合でも、受けた利益の全額を返還する義務を負う。
- エ事務管理者(他人の事務を管理した者)は、事務管理を始めた後は本人の意思に関わらず事務管理を継続しなければならない。
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管理費の二重払いは「不当利得(法律上の原因なく利益を受けた場合の返還義務・民法703条)」であり、不法行為ではありません(ア:誤り)。事務管理(民法697条)は「他人のためにすることを知りながら、本人の委任なく事務を処理すること」であり、費用の求償が認められます(イ:正しい)。善意の不当利得受益者は「現存利益の限度」のみ返還義務を負います(ウ:誤り)。正答はイです。
民法697条1項は「義務なく他人のために事務の管理を始めた者(事務管理者)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理をしなければならない」と規定します。緊急性のある水漏れ修理を隣人のために施した行為は事務管理(民法698条:緊急事務管理)に当たり、費用の求償(民法702条)が認められます。イが正答。アについて、二重払いは「法律上の原因なく管理組合が利得した」不当利得(民法703条)であり、不法行為(民法709条)ではありません。アは誤り。ウについて、民法703条は「不当利得の返還義務は現存利益の限度(受益がなければ生活費に充てるなどで利益が消滅していれば返還不要)」と規定し、善意の受益者の保護を図っています。悪意の受益者は「受けた利益の全額+利息+損害賠償」(704条)。ウは誤り。エについて、民法700条は「管理者は本人またはその相続人若しくは法定代理人が管理できるようになるまで管理を継続する義務を負う」としながら、「本人の意思に反することが明らかなとき」は継続不要とする解釈があります(700条ただし書き参照)。また事務管理は本人の意思が判明した場合は原則として本人の指示に従う義務があります(697条2項)。エの「本人の意思に関わらず継続しなければならない」は誤り。
不当利得(民法703条〜708条)と事務管理(民法697条〜702条)はマン管試験でやや出題頻度が低いですが、実務事例との関連から出題されます。不当利得の要件は①受益、②受益者の利得(財産的利益)、③損失者の損失、④法律上の原因の欠如(直接因果関係)です。善意受益者は「現存利益の返還」(703条)、悪意受益者は「受けた利益全額+利息(年5%)+損害賠償」(704条)の責任を負います。「非債弁済」(民法705条:弁済義務がないことを知りながら弁済した場合・返還請求不可)は管理費過払いでの返還請求との関係で問題になることがあります(支払義務がないと知りながら払った場合は返還請求不可)。事務管理(697条〜702条)の成立要件は①他人の事務(本人のためになる事務)、②義務なく管理(委任等の法律関係なし)、③他人のためにする意思(管理意思)です。管理者の義務は①最も本人の利益に適合する方法での管理(697条1項)、②本人の意思が明らかな場合は本人の意思・利益に反しても「最も本人の利益に適合する方法」で管理(697条2項・本人意思が不合理な場合は否定的)、③急迫の場合の緊急事務管理(698条・管理者は悪意または重過失がなければ損害賠償責任を負わない)です。費用の求償(702条)は「①必要費・有益費の範囲で求償可」「②本人の意思に反した管理は現存利益の限度」という制限があります。マン管実務では隣接住戸の緊急修理・不在区分所有者宅への緊急対応(水漏れ・鍵の補修等)が事務管理として問題になります。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は公益財団法人 マンション管理センター・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはセンターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。