問題
マンション管理における不当利得及び事務管理に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
キーボード:1〜4で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
管理費の二重払いは「不当利得(法律上の原因なく利益を受けた場合の返還義務・民法703条)」であり、不法行為ではありません(ア:誤り)。事務管理(民法697条)は「他人のためにすることを知りながら、本人の委任なく事務を処理すること」であり、費用の求償が認められます(イ:正しい)。善意の不当利得受益者は「現存利益の限度」のみ返還義務を負います(ウ:誤り)。正答はイです。
民法697条1項は「義務なく他人のために事務の管理を始めた者(事務管理者)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理をしなければならない」と規定します。緊急性のある水漏れ修理を隣人のために施した行為は事務管理に当たり(本人の財産に対する急迫の危害を免れさせるための事務管理については、管理者は悪意又は重大な過失がなければ損害賠償責任を負わない・民法698条)、本人のために有益な費用の償還請求(民法702条1項)が認められます。イが正答。アについて、二重払いは「法律上の原因なく管理組合が利得した」不当利得(民法703条)であり、不法行為(民法709条)ではありません。アは誤り。ウについて、民法703条は、法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は「その利益の存する限度において」返還する義務を負うと規定し、善意の受益者は現存利益の返還で足ります。悪意の受益者は「受けた利益に利息を付して返還し、なお損害があるときはその賠償の責任を負う」(704条)。ウは誤り。エについて、民法700条は「管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、事務管理を継続しなければならない。ただし、事務管理の継続が本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかであるときは、この限りでない」と規定しています。また管理者は、本人の意思を知っているとき又は推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければなりません(697条2項)。エの「本人の意思に関わらず継続しなければならない」は誤り。
不当利得(民法703条〜708条)と事務管理(民法697条〜702条)はマン管試験でやや出題頻度が低いですが、実務事例との関連から出題されます。不当利得の要件は①受益、②受益者の利得(財産的利益)、③損失者の損失、④法律上の原因の欠如(直接因果関係)です。善意受益者は「現存利益の返還」(703条)、悪意受益者は「受けた利益+利息(法定利率・404条)+損害賠償」(704条)の責任を負います。「非債弁済」(民法705条:弁済義務がないことを知りながら弁済した場合・返還請求不可)は管理費過払いでの返還請求との関係で問題になることがあります(支払義務がないと知りながら払った場合は返還請求不可)。事務管理(697条〜702条)の成立要件は①他人の事務(本人のためになる事務)、②義務なく管理(委任等の法律関係なし)、③他人のためにする意思(管理意思)です。管理者の義務は①事務の性質に従い最も本人の利益に適合する方法での管理(697条1項)、②本人の意思を知っているとき又は推知できるときはその意思に従った管理(697条2項)、③本人又はその相続人等が管理をすることができるに至るまでの継続義務(700条・継続が本人の意思に反し又は本人に不利であることが明らかなときを除く)です。急迫の危害を免れさせるための事務管理(緊急事務管理)では、管理者は悪意又は重大な過失がなければ損害賠償責任を負いません(698条)。費用の償還(702条)は「①本人のために有益な費用の償還を請求できる(1項)」「②本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度に限られる(3項)」という構造です。マン管実務では隣接住戸の緊急修理・不在区分所有者宅への緊急対応(水漏れ・鍵の補修等)が事務管理として問題になります。
- 民法第697条・第703条・第698条・第702条・第709条・第700条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は公益財団法人 マンション管理センター・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはセンターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

