問題
マンション管理組合の代表者でない者が管理組合の名を用いて契約を締結した場面における無権代理・表見代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
表見代理の民法110条(権限外行為の表見代理)は、代理人が基本代理権の範囲を超えた行為をした場合に、相手方が権限があると信じたことに「正当な理由(善意無過失)」があるときに本人への効果帰属を認める制度です。エは正しい記述です。アは誤りで、無権代理人の責任は相手方が悪意の場合などには生じません。イも誤りで、代理権授与の表示の表見代理(民法109条)も、相手方が知っていた・過失で知らなかった場合は成立しません。ウも誤りで、本人が無権代理人を相続した場合、本人は本人の立場で追認を拒絶できるとするのが判例です。正答はエです。
民法110条(権限外の行為の表見代理)は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときに本人に責任を負わせる規定です。「正当な理由」は善意無過失と解されており、エは正しく正答。アについて、無権代理人の責任(民法117条1項)は「相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う」ものですが、同条2項により①相手方が代理権のないことを知っていたとき(1号)、②相手方が過失によって知らなかったとき(2号・ただし無権代理人が自己に代理権がないことを知っていたときを除く)、③無権代理人が行為能力の制限を受けていたとき(3号)は責任を負いません。相手方が常に請求できるわけではないためアは誤り。イについて、民法109条1項ただし書は「第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない」と規定しています。過失ある善意の相手方は保護されないためイは誤り。ウについて、本人が無権代理人を相続した場合、判例は、本人は相続人として本人の資格で追認を拒絶しても信義則に反しないとしています。「追認を拒絶することができない」とするウは誤りです(逆に、無権代理人が本人を単独で相続した場合には、判例は本人が自ら法律行為をしたのと同様の法律上の地位を生ずるとしています)。
表見代理(民法109条・110条・112条)は「権限があるように見えた外観への信頼保護」であり、相手方の善意無過失を要件とします。三類型は①代理権授与の表示(民法109条1項)、②権限外行為(民法110条)、③代理権消滅後の行為(民法112条1項)です。2017年改正(2020年施行)では、代理権授与の表示や代理権消滅後の場面で表示・消滅前の代理権の範囲外の行為がされた場合について、110条と同様に正当な理由があるときに限り本人が責任を負う旨の規定(109条2項・112条2項)が新設されました。民法110条の「正当な理由」の判断では、相手方が基本代理権の範囲から越権行為の権限もあると信じた経緯・状況・確認を尽くしたかどうかが考慮されます。無権代理と相続について、判例は、無権代理人が本人を単独で相続した場合には本人が自ら法律行為をしたのと同様の法律上の地位を生ずるとし、本人が無権代理人を相続した場合には、本人は本人の資格で追認を拒絶しても信義則に反しないとしています。管理組合実務では、理事の権限範囲(規約・集会決議で定められた範囲)を超えた契約締結(例:理事会決議なしの大規模修繕契約)が問題になります。ここで注意が必要なのは、区分所有法上の管理者(多くは理事長)の代理権に加えた制限は善意の第三者に対抗することができない(区分所有法26条3項)という特則です。管理組合法人の代理権に加えた制限についても同様です(同法47条7項)。したがって、規約で「理事長と副理事長の連名で契約する」「総会決議を要する」等の制限を定めていても、その制限を知らない相手方に対しては、制限違反を理由に契約の効力を否定することはできません。規約の制限を知っていた相手方との関係では、制限違反の行為は無権代理として扱われ、本人の追認がなければ効果は帰属しません。
- 民法第110条・第109条・第117条・第112条e-Govで原文を読む
- 建物の区分所有等に関する法律第26条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は公益財団法人 マンション管理センター・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはセンターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

