問題
管理組合が区分所有者に対して有する管理費等の滞納請求権について、時効の完成猶予及び更新に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
キーボード:1〜4で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
2020年改正民法は「時効の中断・停止」を「完成猶予・更新」に整理しました。催告による完成猶予は「催告の時から6ヶ月」です。ただし、その6ヶ月の間にもう一度催告しても、完成猶予の期間は延びません。催告を繰り返して際限なく時効を延ばすことはできないため、6ヶ月以内に訴訟提起・支払督促などの手続を取る必要があります。ウは「再度の催告で更に6ヶ月延びる」と言っているので誤りです。正答はウです。
民法150条1項は「催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」と定め、同条2項は「催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない」と定めています。再度の催告で更に6ヶ月猶予されるとするウが誤りで正答です。アについて、支払督促は民法147条1項2号に掲げられた事由であり、申立てにより完成が猶予され、確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは時効が新たに進行を始めます(同条2項)。正しい。イについて、一部弁済は「権利の承認」(民法152条1項)に当たり、その時から時効は新たに進行を始めます(更新)。正しい。エについて、訴訟提起は民法147条1項1号「裁判上の請求」に該当し、その事由が終了するまで(確定判決等によって権利が確定することなく終了した場合はその終了の時から6ヶ月を経過するまで)時効は完成しません。正しい。
2020年改正民法は旧法の「時効の中断・停止」を「時効の完成猶予(おおむね旧・停止に相当)」と「時効の更新(旧・中断のうち時効期間を新たに進行させる効果に相当)」に整理しました。主要な完成猶予・更新事由の整理は①裁判上の請求・支払督促等(民法147条:事由終了まで完成猶予、確定判決等で権利が確定したら更新)、②強制執行等(民法148条:終了まで完成猶予、原則として終了で更新)、③仮差押え・仮処分(民法149条:終了から6ヶ月完成猶予)、④催告(民法150条:6ヶ月完成猶予・更新効なし)、⑤協議を行う旨の合意(民法151条:書面又は電磁的記録による合意が必要)、⑥承認(民法152条:承認の時から時効更新)です。催告(民法150条)の重要ポイントは「更新効はなく完成猶予のみ」「6ヶ月以内に訴訟提起等をしないと時効完成」「猶予期間中の再催告は完成猶予の効力なし(延命不可)」という三点です。管理組合実務では、①各月の管理費の弁済期から一定期間内に法的措置(支払督促・訴訟提起)または承認(一部弁済・債務承認書の差入れ)を確保する、②規約で遅延損害金や督促の手続を明確にしておく、③少額訴訟(60万円以下の金銭支払請求)の活用、といった対策が実務上とられます。なお改正民法で新設された「協議を行う旨の合意による完成猶予」(民法151条)は、書面又は電磁的記録による合意があれば、①合意があった時から1年、②合意で定めた協議期間(1年未満に限る)、③当事者の一方が協議の続行を拒絶する旨の書面による通知をした時から6ヶ月、のいずれか早い時まで完成が猶予される制度で、管理費滞納をめぐる話合いの間に時効完成を防ぐ手段として活用できます。
- 民法第150条・第147条・第152条・第148条・第149条・第151条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は公益財団法人 マンション管理センター・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはセンターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

