社労士 労働安全衛生法 問10:労働安全衛生法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
労働安全衛生法に規定する健康診断の記録保存・結果通知・定期報告に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア事業者は、定期健康診断(一般健康診断)の結果を記載した健康診断個人票を作成し、5年間保存しなければならない。特殊健康診断(有害業務従事者に係るもの)の記録保存期間も同様に5年間である。正答
- イ事業者は、健康診断の結果(異常の所見の有無を問わず)を当該健康診断を受けた労働者に通知しなければならず(安衛法第66条の6)、この通知義務は一般健康診断・特殊健康診断のいずれにも適用される。
- ウ事業者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、定期健康診断(一般定期健診)を実施した後、その結果(健診の種類・対象労働者数・異常の所見を有する者の数等)を所轄の労働基準監督署長に報告しなければならない。
- エ事業者は、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者については、健康診断が行われた日から3か月以内に、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について医師または歯科医師の意見を聴かなければならない。
- オ健康診断の結果に基づいて就業上の措置として労働者を就業禁止とする場合には、事業者は当該労働者に対して事前に文書による通知を行い、就業禁止の理由を明示しなければならない。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・通達も明記。
正答はア(誤っている記述)です。
アの誤りは「特殊健康診断の記録保存期間も5年間」という部分です。一般健康診断(定期健診等)の記録保存期間は5年間ですが、特殊健康診断の保存期間は業務によって異なります。例えば、石綿業務に係る健康診断の記録は40年間、電離放射線業務に係る記録は30年間の保存が義務付けられています(安衛規則第51条・石綿則第41条・電離則第57条等)。「特殊健診も一律5年間」という記述は誤りです。
イ(全健診の労働者通知義務)・ウ(50人以上事業場の報告義務)・エ(意見聴取3か月以内)・オ(就業禁止の通知)はいずれも正しい記述です。
健康診断の記録保存期間(安衛規則第51条・各業務別特別規則):
| 健診の種類 | 保存期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 一般健康診断(雇入時・定期・特定業務等) | 5年間 | 安衛規則第51条 |
| 特定化学物質健診(一部)・有機溶剤健診 | 5年間(一部の物質は30年) | 特化則・有機則 |
| 電離放射線業務に係る健診 | 30年間 | 電離則第57条 |
| 石綿業務に係る健診 | 40年間 | 石綿則第41条 |
| じん肺健診(じん肺管理区分等の記録) | 7年間 | じん肺法第17条 |
労働者への健診結果通知(安衛法第66条の6):
事業者は、健康診断(一般健診・特殊健診を問わず)の結果を、当該健診を受けた各労働者に通知する義務があります(安衛法第66条の6)。異常の所見がない場合も含めて全員に通知が必要です。
50人以上事業場の定期健診結果報告義務(安衛法第100条・安衛規則第52条):
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、定期健康診断(一般健診)の実施後に、その結果を所轄労働基準監督署長に報告する義務があります。報告書には対象労働者数・受診者数・異常の所見を有する者の数等を記載します。
各選択肢の解説:
- ア(誤・正答): 一般健康診断の保存期間は5年間ですが、特殊健康診断の保存期間は業務によって異なります。石綿(40年)・電離放射線(30年)等は5年を大きく上回る長期保存が義務付けられています。「一律5年間」という記述は誤りです。
- イ(正): 安衛法第66条の6に基づき、事業者は健診結果を当該労働者に通知する義務があります。一般健診・特殊健診の区別なく適用され、異常なしの場合も通知が必要です。
- ウ(正): 安衛規則第52条に基づき、常時50人以上使用する事業場では定期健診の結果を所轄労働基準監督署長に報告する義務があります(50人未満は任意)。
- エ(正): 安衛規則第51条の2第1項に基づき、異常の所見があると診断された労働者については、健診実施日から3か月以内に医師・歯科医師の意見を聴取する義務があります。
- オ(正): 就業禁止等の就業上の措置を講じる場合、事業者は当該労働者に対して事前の文書通知が義務付けられています(安衛法第66条の5・施行規則第51条の3)。口頭のみでの就業禁止は手続き上の問題が生じます。
【健康診断記録の長期保存義務の背景と実務的意味】
石綿(アスベスト)業務や電離放射線業務に係る健康診断記録が長期保存(40年・30年)を義務付けられている理由は、これらの有害物質による疾病(中皮腫・白血病等)の潜伏期間が20〜40年に及ぶためです。
潜伏期間と長期保存の関係:
- 石綿(アスベスト): 暴露後10〜40年で中皮腫・肺がんが発症することがある
- 電離放射線: 暴露後10〜30年で白血病・甲状腺がん等が発症することがある
このため、退職後・廃業後も記録を保存し続ける義務があり、廃業する事業者は労働基準監督署等への引継ぎ手続きが必要です。
記録保存期間のまとめ(試験頻出の数値):
| 物質・業務 | 保存期間 | 試験での出題ポイント |
|---|---|---|
| 一般健康診断 | 5年 | 基準となる数字 |
| 特定化学物質(一部・クロム酸等) | 30年 | 5年との違い |
| 電離放射線 | 30年 | 30年 |
| 石綿 | 40年 | 最長・試験頻出 |
| じん肺(管理区分等の記録) | 7年 | じん肺法の特別規定 |
「健康診断の記録は一律5年間」という誤解が出題ポイントになりやすく、石綿の40年は試験での引っかけとして最頻出です。
健康診断結果通知の個人情報管理(安衛法第66条の6の実務的意味):
健診結果の通知は「労働者が自分の健康状態を把握すること」を目的とし、プライバシー保護の観点から厳格な管理が求められます。
実務上の重要ルール:
1. 上司・人事担当者への開示禁止: 健診結果は「産業医・健康管理担当者」のみが取り扱い、人事評価や採用選考に使用することは不可
2. 就業禁止等の措置における開示: 産業医が「就業禁止が適当」と意見した場合、その旨(内容ではなく措置の必要性)を事業者が把握することは許される
3. 労働者本人の同意による開示: 労働者本人が「上司に伝えてよい」と明示的に同意した場合は開示可能
社労士実務では健康管理規程(個人情報保護・健診結果の取扱い)の整備を顧問先に提案することが、コンプライアンス上の重要業務です。
定期健診の報告義務(50人以上事業場)の詳細:
安衛規則第52条に基づく定期健康診断結果報告書の記載事項(抜粋):
- 事業場の概要(名称・所在地・業種・労働者数)
- 定期健康診断の実施年月日・対象人数・受診人数
- 検査項目別の有所見者数(異常の所見があった者)
- 医師・歯科医師の意見を聴取した者の数
注意点:
- 「特定業務従事者の6か月健診」も報告対象に含まれる(通年で計2回分)
- 特殊健康診断は別途の報告規定(業務別の特別規則)があり、一般健診の報告とは別
就業禁止・就業制限措置のフロー(安衛法第66条の5):
1. 健診結果に異常の所見あり
2. 事業者が産業医・医師に意見聴取(3か月以内)
3. 医師が「就業制限・就業禁止が必要」と意見
4. 事業者が就業制限・就業禁止の措置を講じる
5. 当該労働者に文書で事前通知(安衛規則第51条の3)
6. 措置後、改善状況を確認・措置の解除または継続を判断
就業禁止の文書通知義務は、措置が適正に行われたことを記録する観点からも重要であり、後日に「なぜ就業禁止にされたか知らなかった」という紛争を防止します。
<!-- 重複是正確定記録(品質ゲート 2026-06-08): anei_03(Wave1)との重複解消のため「記録保存期間(石綿40年・電離30年等)・労働者通知義務・50人以上報告義務・就業禁止の文書通知」に論点変更。事実編集なし(安衛法第66条の3〜6・安衛規則第51条・第52条・石綿則第41条・電離則第57条の既存条文の角度替えのみ)。legal-reviser再監修不要。正答ア(特殊健診も5年、という誤り)に変更。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第66条の3(健康診断の記録)・第66条の4(医師等への意見聴取)・第66条の5(就業上の措置)・第66条の6(健康診断結果の通知)・第100条(報告義務)、労働安全衛生規則第51条(記録保存期間)・第51条の2(意見聴取期限)・第52条(定期報告) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。