問題
労働安全衛生法に規定する健康診断の記録保存・結果通知・定期報告に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答はア(誤っている記述)です。
アの誤りは「特殊健康診断の記録保存期間も5年間」という部分です。一般健康診断(定期健診等)の記録保存期間は5年間ですが、特殊健康診断の保存期間は業務によって異なります。例えば、石綿業務に係る健康診断の記録は40年間、電離放射線業務に係る記録は30年間の保存が義務付けられています(安衛規則第51条・石綿則第41条・電離則第57条等)。「特殊健診も一律5年間」という記述は誤りです。
イ(全健診の労働者通知義務)・ウ(50人以上事業場の報告義務)・エ(意見聴取3か月以内)・オ(病者の就業禁止の前の医師の意見聴取・安衛規則第61条第2項)はいずれも正しい記述です。
健康診断の記録保存期間(安衛規則第51条・各業務別特別規則):
| 健診の種類 | 保存期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 一般健康診断(雇入時・定期・特定業務等) | 5年間 | 安衛規則第51条 |
| 特定化学物質健診(一部)・有機溶剤健診 | 5年間(一部の物質は30年) | 特化則・有機則 |
| 電離放射線業務に係る健診 | 30年間 | 電離則第57条 |
| 石綿業務に係る健診 | 40年間 | 石綿則第41条 |
| じん肺健診(じん肺管理区分等の記録) | 7年間 | じん肺法第17条 |
労働者への健診結果通知(安衛法第66条の6):
事業者は、健康診断(一般健診・特殊健診を問わず)の結果を、当該健診を受けた各労働者に通知する義務があります(安衛法第66条の6)。異常の所見がない場合も含めて全員に通知が必要です。
50人以上事業場の定期健診結果報告義務(安衛法第100条・安衛規則第52条):
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断(安衛規則第44条・第45条の健康診断で定期のもの)の実施後に、その結果を遅滞なく、電子情報処理組織を使用して所轄労働基準監督署長に報告する義務があります(安衛規則第52条第1項)。報告には対象労働者数・受診者数・異常の所見を有する者の数等を記載します。
各選択肢の解説:
- ア(誤・正答): 一般健康診断の保存期間は5年間ですが、特殊健康診断の保存期間は業務によって異なります。石綿(40年)・電離放射線(30年)等は5年を大きく上回る長期保存が義務付けられています。「一律5年間」という記述は誤りです。
- イ(正): 安衛法第66条の6に基づき、事業者は健診結果を当該労働者に通知する義務があります。一般健診・特殊健診の区別なく適用され、異常なしの場合も通知が必要です。
- ウ(正): 安衛規則第52条に基づき、常時50人以上使用する事業場では定期健診の結果を所轄労働基準監督署長に報告する義務があります(50人未満は任意)。
- エ(正): 安衛規則第51条の2第1項に基づき、異常の所見があると診断された労働者については、健診実施日から3か月以内に医師・歯科医師の意見を聴取する義務があります。
- オ(正): 病者の就業禁止(安衛法第68条・施行規則第61条第1項)をしようとするときは、事業者は、あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見を聴かなければなりません(施行規則第61条第2項)。
【健康診断記録の長期保存義務の背景と実務的意味】
石綿(アスベスト)業務や電離放射線業務に係る健康診断記録が長期保存(40年・30年)を義務付けられているのは、これらの有害因子による疾病(中皮腫・白血病等)が、ばく露から長い期間を経て発症することがあるためと説明されます。
このため、労働者の退職後も長期間にわたり記録を保存し続ける必要があります(事業を廃止する場合の記録の扱いは各特別規則に定めがあります)。
記録保存期間のまとめ(試験頻出の数値):
| 物質・業務 | 保存期間 | 試験での出題ポイント |
|---|---|---|
| 一般健康診断 | 5年 | 基準となる数字 |
| 特定化学物質(一部・クロム酸等) | 30年 | 5年との違い |
| 電離放射線 | 30年 | 30年 |
| 石綿 | 40年 | 最長・試験頻出 |
| じん肺(管理区分等の記録) | 7年 | じん肺法の特別規定 |
「健康診断の記録は一律5年間」という誤解が出題ポイントになりやすく、石綿の40年は試験での引っかけとして最頻出です。
健康診断結果通知の個人情報管理(安衛法第66条の6の実務的意味):
健診結果の通知は「労働者が自分の健康状態を把握すること」を目的とし、健診結果は労働者の心身の状態に関する情報として適正な管理が求められます。
条文上のルール(安衛法第104条):
1. 収集・保管・使用の範囲: 事業者は、安衛法に基づく措置の実施に関し、労働者の心身の状態に関する情報を、労働者の健康の確保に必要な範囲内で収集し、収集の目的の範囲内で保管・使用しなければならない(第1項。本人の同意がある場合等の例外あり)
2. 適正な管理: 事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない(第2項)
社労士実務では、健康情報の取扱規程の整備を顧問先に提案することが、コンプライアンス上の重要業務です。
定期健診の報告義務(50人以上事業場)の詳細:
安衛規則第52条に基づく定期健康診断結果報告書の記載事項(抜粋):
- 事業場の概要(名称・所在地・業種・労働者数)
- 定期健康診断の実施年月日・対象人数・受診人数
- 検査項目別の有所見者数(異常の所見があった者)
- 医師・歯科医師の意見を聴取した者の数
注意点:
- 「特定業務従事者の6か月健診」も報告対象に含まれる(通年で計2回分)
- 特殊健康診断は別途の報告規定(業務別の特別規則)があり、一般健診の報告とは別
健診後の就業上の措置と病者の就業禁止のフロー:
1. 健診結果に異常の所見あり
2. 事業者が医師・歯科医師に意見聴取(健診実施日から3か月以内・安衛規則第51条の2)
3. 医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮等の措置(安衛法第66条の5)
4. 伝染性の疾病等にかかった者の就業禁止(安衛法第68条・安衛規則第61条第1項)をしようとするときは、あらかじめ産業医その他専門の医師の意見を聴く(同条第2項)
5. 措置後、改善状況を確認・措置の解除または継続を判断
なお施行規則第51条の3は指針の公表に関する規定で、就業禁止の文書通知を定めたものではありません。
- 労働安全衛生法第66条の6・第100条・第68条・第104条・第66条の5e-Govで原文を読む
- 石綿障害予防規則第41条e-Govで原文を読む
- 電離放射線障害防止規則第57条e-Govで原文を読む
- 特定化学物質障害予防規則e-Govで原文を読む
- 有機溶剤中毒予防規則e-Govで原文を読む
- じん肺法第17条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第66条の3(健康診断の記録)・第66条の4(医師等への意見聴取)・第66条の5(就業上の措置)・第66条の6(健康診断結果の通知)・第100条(報告義務)、労働安全衛生規則第51条(記録保存期間)・第51条の2(意見聴取期限)・第52条(定期報告)・第61条(病者の就業禁止)、労働安全衛生法第68条 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

